恋愛ROCK’N ROLL / Mist of Rouge | 安眠妨害水族館

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恋愛ROCK’N ROLL/Mist of Rouge
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1.ロマンティック
2.ピンク色の生活環境
3.一日一歩
4.184
5.グッバイ
6.Cross Road

ダウトの幸樹さんや、12012の塩谷朋之さんが在籍していたMist of Rouge。
コテコテだったヴィジュアルを、お洒落系風に変えて、大幅にイメチェンを図った3rdミニアルバムです。

もともとはツタツタ発狂系だった彼ら。
コンスタントにCDを出すようになった頃から、少しずつマニアックでドロドロした楽曲もやるようになって、ヴィジュアル系の枠組みの中で、音楽の幅を広げていった印象。
本作では、それまでに構築したコテコテの音楽性に加えて、お洒落系の要素を強めに打ち出した作品になっています。

SEの「ロマンティック」から、繋がって始まるのは、「ピンク色の生活環境」。
跳ねるようなリズムで、おふざけ的なアプローチも詰め込んでいく、リリースされた2002年という世相を反映したようなナンバーですね。
この世界観の軽さを受け入れられるかが、それまでのミストを聴いていた人たちにとっての分岐点になっていたような。
音楽性として、こういうシャッフル路線があってもおかしくはないバンドではあるのですが、コンセプト、方向性が変わってしまったところはありましたよね。

「一日一歩」、「184」といった楽曲たちにも、その傾向は見られます。
シャウトの応酬など、従来から押し出してきた、激しさ、攻撃性というところは、しっかりと存在しているのだけれど、ダミ声で騒いでみたり、はっちゃけた歌詞を歌ってみたり、これまではなかった手法も織り込まれている。
深度を増した進化というよりも、横にスライドした変化といったほうが適切でしょうか。

もっとも、ギターのサウンドは、だいぶ重くなっているし、ベースのフレーズも、ちゃんと聴くと格好良い。
ドラムもタイトで、しっかり叩けている。
スキル面では、だいぶ成長を遂げているのです。

それなのに、作品にどっぷり浸かっていけないのは、やっぱり、味付けがその場しのぎすぎるからなのだろうな。
演奏は無難にこなしているし、クオリティもそこそこ高いけれど、奏でている音楽にプライドがないというか。
初期のツタツタ発狂時代も含めて、そのときに流行っている音楽に、後乗りでコロコロスタイルを変えていくスタイルが身についてしまっていましたね。

黒夢やムックのように、スタイルを変えていくバンドであっても、独自路線でオリジナルに昇華できているバンドなら、相応の評価を受けている。
しかし、何のポリシーもなく乗っかっていくだけというイメージが強すぎました。

まぁ、それでも、「グッバイ」、「Cross Road」の2曲は、正統派なメロディアスナンバーで格好良い。
良くも悪くも、「ピンク色の生活環境」のインパクトに持っていかれてしまっている節はありますので、曲順が違えば、印象も変わったのかも。
ストレートな楽曲で、バンドとしてのまとまりが出せるのだったら、全曲、真面目路線で統一していても、それなりの作品になったはず。
そう思うと、なんだか、もったいない気がします。