1.SE
2.♂禁欲ラリー♀
3.サヨナラプソディー(泣)
4.黒い雨
2002年にリリースされた、GARDENのコンセプトCD。
もともとは、メンバーのソロ活動の一環として準備していた曲たちを、結局バンドの作品として完成させた一枚です。
Matinaに所属していた彼らですが、コテコテ系レーベルにまで、お洒落系の波が訪れたことを実感した作品。
昭和歌謡系のサウンドと、ノリ重視の世界観を軽めに設定した路線で、この当時に溢れていた音楽性ですね。
何でもやってみようというスタイルだった彼ららしいと言えばらしいのですがね。
「♂禁欲ラリー♀」は、ウネウネギターのイントロが特徴的なレトロ+マニアック。
所謂、コテオサ的なナンバーでしょうか。
Fatimaっぽいところを狙ったのかも。
不可思議な構成で、キメや転調が多いですし、歌い方も、心なしか、Hitomiさんを意識したようなところが見られます。
続く、「サヨナラプソディー(泣)」も、系統は同じですが、メロディの哀愁感を強めている。
サビだけを切り取れば、なかなか聴きやすく、割と好みです。
一方で、イントロなどでは、ハネるようなノリの良さを引き立てており、2面性を見せたいところだったのでしょうね。
曲の途中でガラっと雰囲気が変わる繋がりの部分を、強引さを出さずに、うまく表現したなとは思いますが、曲のイメージが散漫になってしまっているのも確か。
哀愁メロディアス一色に染め上げてくれたほうが、1曲目との違いも出て、良かったのかもしれません。
ラストは、バラードナンバーである「黒い雨」。
この曲については、コンセプトとしてどうこうというよりも、最後をしっとりと締めるために収録されたといったところで、あまり、1曲目、2曲目との連関性は感じられませんでした。
当時のMatinaバンドとしては、ボーカルはまともな方ではあるのですが、さすがにバラードでは、もったりした印象になってしまっているかな。
なんというか、当時の流行の焼き回し感が拭えないのが残念。
1曲1曲は無難にこなしているし、そこそこのクオリティも保っているのだけれど、他のバンドと比べたときの個性が押し出されていません。
メロの乗せ方には定評があったし、2番煎じにしてはセンスもあったので、プラスαが見出せなかったのは、悔やまれる。
この時期は、V系シーンが急激に転換期を迎え、コテコテで慣らした中継バンドの迷走が多く見られました。
このGARDENについては、もともと軸となる音楽が明確ではなかったところもあり、その渦に飲み込まれてしまったのは必然だったのか。
失敗したら、もとの音楽に戻るための布石として、コンセプトCDと銘打ったのは賢かったのですけれど、結局、うまく落とし込めずに、バンドも空中分解。
器用貧乏なバンドのまま、大成せずに終わってしまいました。
この才能の活かし方を、もっと探ってほしかったなぁ。
＜過去のGARDENに関するレビュー＞
VIVIDARIUM