VAMPS / VAMPS | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

VAMPS(初回限定盤)(DVD付)/VAMPS
¥3,500
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1. BITE
2. LOVE ADDICT
>3. COSMOS
4. SECRET IN MY HEART
5. EVANESCENT
6. VAMPIRE DEPRESSION
7. REDRUM
8. DEEP RED
9. I GOTTA KICK START NOW
10. TIME GOES BY
11. SWEET DREAMS
12. HUNTING
13. SEX BLOOD ROCK N' ROLL

L’Arc~en~CielのHYDEさんと、Oblivion DustのK.A.Zさんによるユニット、VAMPS。
ユニット名のとおり、吸血鬼を連想させるジャケットが印象的です。

SEで幕を開け、デビューシングル「LOVE ADDICT」で爽快にスタートダッシュを決める本作。
この曲の印象で、HYDEさんのソロの延長線上と捉えられることが多いのですが、実態は、もっと遊び心が詰まっている。

洋楽ライクな荒々しく歌うロックンロールも、確かに中核を担ってはいるのだけれど、「SECRET IN MY HEART」や「VAMPIRE DEPRESSION」などダークに沈んでいくようなアプローチもあり、一筋縄では行きません。
ガラガラとダミ声で歌ったかと思えば、消え入りそうな透明な声も響かせ、ラルクっぽかったり、オブリっぽかったり、どっちでもなかったりと、コロコロと表情を変えていく。
トータル的に見れば微々たる変化なのかもしれませんが、その移ろいを追いかけてみると、実に面白いのです。

率直に言って、音楽性という意味では、あまり触れ幅が大きいアルバムではない。
アレンジは、いたってシンプル。
だけど、1曲1曲の粒が大きいというか、それぞれにグッとくるアイディアが隠れているというか、最後まで飽きずに聴けてしまう。
要所要所で、K.A.Zさんが良い仕事をしていることも、ソロに比べて、バリエーションが増えた要因でしょうな。

中でも、心を奪われたのは「DEEP RED」。
艶っぽくて、妖しくて、HYDEさんに歌わせたらハマらないわけがないダークナンバー。
ミディアムテンポながら、シンセの加え方が絶妙で、ゾクゾクとスリリング。
初期からのHYDE狂にも、納得のサウンド、納得のメロディなのではないでしょうか。

幻想的なベールに包まれたようなバラード、「SWEET DREAMS」も美しい。
「I GOTTA KICK START NOW」で、あんなにがなり立てていたボーカリストと、同じ人とは思えないほどの幻想的な表現。
透明感のあるファルセットは、いつまで経っても衰えませんね。

初期のラルクを必要以上に引きずってしまっている人にはおススメしませんが、近年のラルクや、HYDEさんのソロが好きなら、安心できる内容。
アルバムとしてのバランスも良い。
個人的には、これにメロディ重視のアッパーチューンでもあれば、完璧でしたかね。
勢いのある曲が、若干アメリカンロックに偏ってしまっているのは、もっとたくさん引き出しはあるのに、という意味で、もったいない気はしてしまいます。