なんだか、マイナーバンドのライブは久しぶりな気がします。
なんて俺得な、昭和歌謡系や雰囲気重視のバンドばかりが集まった対バンなうえに、気になっているスィミーが、東京初上陸ということで、行ってきました。
もっとスカスカかと思ったけれど、それなりに形にはなっていたかな。
緑玉歌留多
男性ソロアーティストっぽいのだけれど、途中から生ドラムも入って演奏してました。
昭和歌謡をベースに、打ち込みだったり、轟音ギターを加えたり、とにかく音を重ねてやかましくしているような音楽性。
ギターを弾きながらなので、ステージングは限定的になってしまうのだけれど、盛り上がりが少ない中でも動じない、度胸だけはありそうなイメージです。
音作りが下手なのか、そういう狙いなのかはわかりませんが、全体的にノイジーで、音の輪郭がぼやけてしまっていたかな。
せっかく良さげなメロディがあっても、きちんと聞き取れず。
もったいない。
yazzmad
この日はサポートギターが一人欠けていて、4人編成でした。
ゆるめの曲が多くて、リズム隊が走り出しそうになるのを必死に堪えているような部分もあるのですが、しっかり演奏しきっていましたね。
ボーカルの調子も良さそうで、伸びやかな部分も、ファルセットも、気持ちよく出せていた。
無理にオーディエンスを盛り上げようとするスタイルを捨ててから、日に日に成長しているのがわかる。
この手の世界観重視のバンドって、突き放したステージングが多い気がするのですが、yazzmadは、ひとりひとり救い上げてくれるような優しさがあるのですよね。
演奏面でも、表現力が増しているし、サポートメンバーとのコンビネーションも良くなっている。
笑いかけるように歌うナオキさんが印象的でした。
Dunkelheit
1曲目、ボーカルさんが椅子に座って歌っているのが、インパクト大でした。
deadmanが活動していた時代の名古屋系といった音楽性で、ひたすら暗く蠢く、雰囲気重視の楽曲の連発。
デスヴォイスを使い、激しさを見せるナンバーもあるのですが、煽るというよりも、世界観のひとつとして溶け込んでいましたね。
ダークなバンドが、この日の対バンではいなかったこともあり、個性的に見えました。
ただ、雰囲気で聴かせるのには長けているのだけれど、これ!といった曲がないのが残念。
無難に聴けてしまう分、引っかかるものがないというか。
音楽性としては好きな方向だけに、非常に惜しいなぁ。
誰が聴いても鉄板とわかる、掴みの1曲があれば、といったところ。
レインマン
ボーカルが変わってからは初めて見たのですが、なかなか上手ですね。
相乗効果で楽器隊もよく動くようになって、ステージングも含めて、派手さが増した。
音楽性では大きく変化はしていないものの、パフォーマンスにバリエーションが広がった分、モノトーン一辺倒から、色味が出てきました。
ただ、少し他のバンドとの境界性が曖昧になってしまった部分はあるかもしれません。
とことん暗い・・・という空気感は薄れ、オーディエンスを乗せるような煽りもしばしば。
アッパーなアプローチも増えているので、レトロなお洒落系といった雰囲気に進もうとしているのかな?
これはこれでマッチはしているので、何とも言えないのだけれど、スキル的には二期、世界観としては一期が、個人的には好みですね。
ネイムレス
表記を改めてからは、初見となるネイムレス。
演奏は相変わらず並なのですが、曲がどんどん育っていますね。
この日は、主催とワンマンの合間ということで、良い意味で力が抜けていたのかもしれません。
自然体のノリやすいライブでした。
まぁ、ラストの「夕空」はキラーチューンながら、突き刺さるような気合が足りなかった気もするので、一長一短か。
新曲として披露された楽曲がとても好みでした。
歌謡曲風のメロディに、荒々しい演奏。
強みがはっきりしてきたので、ここら辺で化けたいところですね。
流通シングル、無料ワンマンと楽しみが増えてきているので、ますますの成長に期待したいです。
スィミー
お目当てでしたが、ノセ方が上手いですね。
初見の人が多かったと思いますが、かなり会場を巻き込んだライブを繰り広げていました。
歌唱力、表現力も申し分なく。
前半飛ばしすぎた感があり、「嘆雨」の前半がちょっと怪しかったのですが、きちんと途中からリカバリーできていて、後半に行くにつれて、声が安定していった印象。
MCが長くて、次の曲に入ったころには、前の曲の余韻が消えてしまっていたり、煽りパートがあったり、純粋な懐メロ歌謡の楽曲の割には、アットホームな雰囲気もあって、その辺は好みをわけるところかもしれませんが、ダレない上手さがありましたね。
初東京ということで、カタさも見られたし、コンビネーションのミスもあったけれど、補って余る曲のパワーに圧倒されました。
活動が関東圏だったら、間違いなくもっと売れているだろうなぁ。
せめて、全国流通する規模まで育ってもらいたいものです。
ヴィデオグラマァ
前言撤回。
あまりライブに良い印象がなかったバンドですが、この日はプロ意識も見られて、なかなか好印象でした。
セットリストが僕好みだったということもあったんですが、ボーカルのペース配分も意識されていたし、トラブルにMCでつなぎつつも、内輪ノリになりすぎないように、ほどよい空気感を保っていた。
これが安定してできるようになれば、申し分ないですね。
「桎梏は雨」の現在のアレンジが、かなり好み。
もともとはcali≠gariっぽさ全開なのですが、ディスコロック風にリメイクされて、オリジナリティが増している。
ネタとして、それっぽさは残しつつ、グラマァだからこその何かを上乗せできれば、生き残る道も見えてくるでしょう。
それにしても、ベースの弦が連続で切れるって凄いですね。
ギターならともかく、あまり切れるものではないのですけど。
ちなみに、ボーカルさん、女型の度合いが増して、ますます前田敦子でした。
対バン的に、どうせだったら雨が降っていればよかったんじゃないかと思うほど、じめじめ感のあるイベントでしたね。
ここまで、雨モチーフのバンドや、昭和歌謡系のバンドが揃うことも珍しいので、貴重な空間だった。
5バンド目終了時点では、20時半には終わってしまうのでは?と思うほど、早いペースで進んでいる印象でしたが、スィミー、グラマァに時間を割いていたのか、結局は21時半頃に終了。
ボリューム的にも、充実感でいっぱい。
ぜひ、またこんなアングライベントを企画してもらいたいものです。