- IN PHYSICAL(通常盤)/Ken
- ￥3,150
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1. Repose in Sound Sleep
2. “S”
3. In Physical
4. Spin Along
5. ETERNAL REST
6. Speed
7. Deeper
8. Gimme Your Name
9. Relax Over
10. My Angel
11. Save me
L'Arc～en～Cielのギタリスト・kenさんによる、Ken名義でのソロアルバム。
もはや説明の必要がないほどの知名度を誇っている彼ですが、ソロアーティストとしては、まだ、あまりピンとこない人も多いのではないでしょうか。
本作は、シングル曲である「Speed」、「Deeper」を含む、全11曲。
LUNA SEAの真矢さんや、BUGのTAKASHIさんなど、レコーディングメンバーも、いちいち豪華です。
音楽性としては、「REAL」以降のラルクを凝縮したと言うべきか、幅広く集めてきたというべきか。
この辺は、さすが、メロディメーカーの多いラルクのメンバーの中でも、もっとも存在感際立つコンポーザーといったところ。
初期のような幻想的な曲は見られないにしても、ファンには必聴のKen節は健在。
ダークな曲、ムーディーな曲、ロック調なナンバーにバラードまで、バラエティも豊富に揃っています。
特徴的なのは、そのアダルティな歌詞でしょうか。
全体的に、艶めかしく、ときにストレートすぎるくらいのエロティシズムに溢れている。
それを更に淫靡に深めようとするのが、水面を漂うようにゆらゆら揺らめく、シンセ・ストリングス。
これが、とてもハイセンスですね。
官能的な歌詞世界を、下世話なイメージを与えず、神秘的なオブラートに包む役割を果たす。
特に、表題曲でもある「In Physical」で見せるスリリングさが格好良い。
ソロワークスだからこその、堂々とした打ち込みの使い方と、バンドっぽさをあえて消していこうとするリズミングが面白いのですが、ギターだけは生音にこだわって練り込んでいるのは、彼のポリシーなのだろうか。
サビでは、それまで沈んでいた水面から、フワフワと浮かび上がっていくような浮遊感を加えてきていて、世界観の構築も上手いなぁ。
ボーカリストとしてのスキルは、並ですかね。
hydeさんは別格として、他のメンバーと比べたら、きちんと歌いきれている印象ではあります。
地声が高いため、高めのキーでも苦しそうにならないのは、得をしている部分なのかもしれません。
まぁ、荒々しい曲は、若干ぎこちないですかねぇ。
ちょっと、hydeさんを意識している節が見られるのは、ご愛嬌。
ずっと隣であの歌声を聴いていた人なのだから、影響を受けていても責められません。
ボーカリストになったKenさんという視点からも、ギタリストであるkenさんという視点からも、注目すべきポイントがあるアルバム。
流れも決して悪くなく、失礼な言い方で恐縮ですが、思った以上にまとまっていました。
曲のセンスは言わずもがなだし、歌がこなれてくれば、名盤のひとつやふたつ、簡単に作ってしまうポテンシャルはある。
一方で、ついつい、この作品をhydeさんの声で聴きたいと妄想してしまうのも、誰にも止められない自然現象。
今度は、バンドでの動きも楽しみです。