Freaks Day@仙台HooK(2011.8.14) | 安眠妨害水族館

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お盆ということで、実家の仙台へ帰省していたわけですけれど、たまたま、実家から徒歩圏内のライブハウスにMerryが来ているということで。

Beautiful Dayと、Freaks Dayにコンセプトを分けて行われているレコ発ツアー。

仙台は、Freaks Dayでした。


仙台HooKは、地元ながら初めてのハコ。

縦に長いのですが、段差があるため、ジャンクボックスほどは後ろでも見にくくありませんね。

天井は低く、キャパは200人くらいでしょうか。

特効はできませんが、何気に照明にムービング機能がついていたり、個性があるハコと言えるかと。

普段は、ツアーファイナル的な都内の広い会場で見ることが多かったので、ここまで狭い&近いハコでMerryを見るのははじめて。

どんなステージングになるのか、期待が高まります。


セトリは、以下のとおりでしょうか。

他会場と、そんなに変わってはいないようですね。


sabbat (SE)

1.不均衡キネマ
2.絶望
3.スカル
4.月食
5.BLUESCAT

choral (SE)

6.センチメンタル・ニューポップ
7.赤い靴
8.高層ビルの上でラストダンス
9.ハーメルン
10.ハライソ
11.stupid×cupid
12.オリエンタルBLサーカス
13.ジャパニーズモダニスト
14.夜光
15.The Cry Against ME
16.消毒

en1.デジーノート
en2.迷彩の紳士
en3.【human farm】
en4.Midnight Shangrila
en5.PLTC

en6.finale

予想どおりとでも言いますか。

パンキッシュな曲を中心に、「高層ビルの上でラストダンス」のようなレトロックテイストの強い曲も織り交ぜていて、そこまで暴れ曲一辺倒になっていませんでしたね。

それが結果的にメリハリを生んで、ライブ感を増していたと感じました。


ニューアルバムに挿入されているSEを、登場シーンやMCの代わりに使用して、世界観を構築。

演出はあまりできない会場だからこそ、こういった音の使い方がポイントになる。

そういう意味では、こういう演出はマッチしていました。


スタートから、「不均衡キネマ」、「絶望」のコンボという、一気に盛り上がるセットリスト。

いやー、熱い。

これまで見てきたMerryは、上述のとおり広めの会場だったこともあり、SHOW的な要素が強くて、ガラさんの変態的なパフォーマンスや、淡々と演奏する楽器隊とのコントラストというところに魅力を見出すライブのイメージだったのですが、この日は違いました。

このバンドは、ライブバンドなのだと改めて実感できる、オーディエンスとの近さを意識した攻撃的なステージング。


既に上半身裸のガラさんは、終始お立ち台の上から会場を煽り、楽器隊もガシガシ前に来る。

特に、ベースのテツさんがアグレッシブに移動を繰り返していた印象です。

これはこれで、しっかりサマになっていて、いつ見ても安定しているMerryのライブではありますが、そのバリエーションのひとつとして、小さいハコならではの武器も持っているのだなぁと見せ付けられた。

遠征しなければ、気付けない魅力。これは格好良い。


地方会場ということもあり、序盤はオーディエンスが新曲のノリ方に戸惑う様子も見られましたが、「月食」くらいからは、旧譜時代の定番ナンバーも交ざり出して、吹っ切れた模様。

同じフレーズで、ジャンプも、折り畳みも、ヘドバンも混在するファンのノリ方は、洗練されていない地方だからこそ。

画一的なフリをみんなで揃えるスタイルよりも、それぞれが自由に暴れているイメージで、むしろライブ感が出て気持ち良かった。

ノリ方はバラバラなのだけれど、前から後ろまで、オーディエンスのテンションには差がなくて、一体感もあったように見えました。


個人的には、「ハーメルン」以降の流れが最高。

「ハライソ」は、そこまで好きな曲ではないはずなんですが、ライブで演奏されると楽しいし、聴きたかった曲も聴けた。

「ジャパニーズモダニスト」のサビ前で、あの捻くれ者のガラさんが、「仙台!一緒に歌ってくれ!」と、ストレートな煽りをしたのも印象的でした。

レコ発とはいえ、ニューアルバムの楽曲をふたつのコンセプトでまぶしたため、結局はいつもの定番セトリと大差はない構成だったのですが、既存曲が、ここまで新鮮に聴こえるなんて。


ラスト、「消毒」は、前回同様、スモークをまき散らすホースを手にするガラさん。

小さい会場があっという間に煙幕に包まれます。

終わったと見せて、ラストの煽り部分を繰り返す手法は、ベタながら、ラストにふさわしい盛り上がりを見せ、いよいよMerryにも終盤に演奏する定番曲が出来上がったかといったところ。

アンコールは、インストの「デジーノート」から始まり、定番ナンバーを畳み掛ける構成。

「【human farm】」、「Midnight Shangrila」は、何度聴いてもテンションが上がります。

勢いを殺さぬまま、最後まで突っ走ったといったところ。

ガラさんは、Tシャツを着て登場していたわけだけれど、本編が裸で、アンコールで服を着る人って珍しい気がしますね(笑)


客電が点いたので、帰る人もちらほらいたようですが、止まないアンコールに、セカンドアンコもありました。

演奏したのは、「finale」。

アルバムの始まりの曲で幕を閉じるあたり、これからのMerryにも期待できるような、そんなメッセージが込められているよう。

この曲、彼らにとっては新しい曲調だと思うのですが、哀愁もあり、パンキッシュな部分もあり、まさに、軸はそのままに次のステージに進んだナンバーです。

後味の良いラストシーン。


演奏が終わり、全員がステージからはけた後、ネロさんが「お互いに頑張ろう。」と挨拶。

シンプルな一言でしたが、少ないMCのうち、あえてこれをメッセージとして選んだ言葉がこれだと思うと、重くて、深いですよね。

「頑張って」ではなく、「頑張ろう」。

押しつけでもなく、他人事でもない。

全力のアクトだったのがわかるだけに、素直に受け取ることができたな、と。


15分近く押したのに、8時前に終わるという潔さ。

アンコールを含めて、2時間に満たないステージでしたが、密度は濃かった。

安定しすぎて、マンネリ感が出ていたと思っていた矢先に、このライブを見れたのは貴重でした。

まだまだ引き出しが多い。純粋に格好良いバンドだわ。


残念なのは、新譜からの楽曲を、全曲やっているわけではないこと。

哀愁系のナンバーで聴きたい曲も多かっただけに、Beautiful Dayも見てみたいな。

どうせだったら、各地で2Daysでやれば良いのに!(笑)