1.Jealousy mode
2.悪魔を憐レム歌
ex-RIBBONの神埼さんが、KAMIYA名義で在籍していたMARRY+AN+BLOOD。
2本同時にリリースされたデモテープのうちの1本。
当時は、V系バブルだったこともあり、デモテープでも数千本単位で売れていて、本作も「桜」と合わせて5,000本程度が出荷されていたようです。
メロディアスで切なさが際立っていた「桜」に対して、こちらは、ダークさが基調。
正直なところ、「桜」と2本に分ける必要があったのかというほどのメリハリは感じられないのですが、特に「Jealousy mode」で感じられるメロディの美しさは、どの音源でも共通して見られる彼らの強みでしょう。
ただ耽美に奏でるだけでなく、ギターの和風なリフが妖しく響くのも、当時のコテコテバンドには見られなかった個性でした。
その「Jealousy mode」は、マイナーコードで疾走する王道系のナンバー。
デモテープということで音質的な限界はあるものの、最近のバンドだったら同期で済ませてしまうようなフレーズを、生音だけで表現しようとしていて、耽美な楽曲ながら、硬派さも感じられます。
前半は、ミドルボイスを駆使しての堪えどころの部分と捉え、サビで、少しキーを上げるような高揚感のある構成にしているあたり、とてもドラマティック。
KAMIYAさんのビブラートをかけようと意識しすぎたような歌い癖が好き嫌いを分けそうですが、この曲と「桜」、どちらもA面で出したいという気持ちは、確かにわからなくもないですね。
個人的には、後半のサビの繰り返し部分、キメが多くなるところが好み。
ただし、ちょっと歌が走りすぎている感があるでしょうか。
見せ場なので、もっとしっかり揃えてほしかったなぁ。
B面の「悪魔を憐レム歌」は、三拍子のダークナンバー。
最初は、和風ホラーのような淡々と物語る妖しさがあるのですが、サビになると開ける構成。
ここで、よくある三拍子バラードになってしまい、少しトーンダウンしてしまうのがもったいないかな。
この頃のKAMIYAさんは、あまり高音に力がなく、薄暗い展開で押し切っても良かったような。
ドラムも、無理に手数を増やそうとして、フィルインがもたつくのが気になります
何故か、この2曲は、解散後に発売されるメモリアルアルバムには収録されませんでした。
「Jealousy mode」こそ、CDで聴きたかったのだけれど、どういう選曲方針だったのだろう。デモテープ世代のマイナーバンドは、振り返って聴こうと思っても、ハード面でハードルが上がるのが厳しいですな。
<過去のMARRY+AN+BLOODに関するレビュー>