赤い激情 / KuRt | 安眠妨害水族館

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赤い激情/KuRt
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1.赤い激情


ケミカルピクチャーズのVo.平さんが、てんてん名義で在籍していたバンド。

メンバー的には、餞ハナむケと、美空が合わさってできたような印象。

本作時点では加入前ですが、後に、MoranのZillこと、三狼さんも所属します。


このバンドは、初期は餞ハナむケの延長線上の音楽を交えながら、ゴリゴリのロックを目指していましたが、メンバーチェンジを経て、ケミカルピクチャーズのヒントとなるようなオルタナ風のアプローチも見えるようになっていきました。

1stシングルで、まんまバックホーンの曲構成をインスパイアしていたりするので、もともとそっちの方向性に行きたかったのかもしれませんが、途中、ヴィジュアル系として人気を出すために、煽り路線に走ったという感じですかね。

断然、贅肉が落ちた後期の作風のほうが好きです。


本作は、シングル「赤者」、「歪む黒」の2枚同時リリースを控えた、O-WESTでの2DAYSライブの初日で配布されたもの。

タイトルから、「赤者」の導入編として、またはアンサーソングとして作られたのでしょうか。

ちなみに、2日目は「205号室黒い面会時」が配布されていて、こちらは「歪む黒」に対応しています。

どちらも、シングルには未収録。


てんてんさんの絶叫からスタートする、ヘビィさを重視した楽曲、「赤い激情」の1曲入り。

ミディアムテンポでダウナーにヘヴィに迫るR&Rですが、サビになると、少々開けて、小気味良いリズムになります。

4分に満たないナンバーですが、転調、リズムチェンジに加え、Cメロも用意されていたり、展開はなかなか忙しい。

それは、さながらラウド+ミクスチャーといったところで、2005年の当時は、メロディからサビへの繋がりが強引すぎるなと思っていたのですが、今ではそこまで違和感なく聴けますね。

これは、時代が彼らに追いついたからなのか、僕の耳が寛容になったからなのか・・・


もっと続くのかな、というところで、やや唐突にフェードアウトしてしまいます。

だからこそ、当初は「予告編なのかな?」と思っていたのですが、特に再録とかはされていないようですし、もともとこういう構成だったのでしょう。

せっかく、ここまでヘビィにこだわって曲を作ったのであれば、サビでもそれを貫いてほしかった。

ちょっと、開けるために、音が薄くなってしまうのは残念ですね。


消化不良感は否めないので、初心者にはおススメしませんが、KuRtの煽り曲が好きだった人には、あの時代を思い出せる臨場感はあるかな。

要所要所でキラーチューンを作り出しているバンドではあるので、まずはベストあたりを聴いてみて、コレクター気質を発揮したくなった、という段階で購入を検討すれば良いと思います。