『niNe.』 / SIX-R | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

「niNe.」/SIX-R
¥2,100
Amazon.co.jp

1. Lost・・・Days instant

2. after「9」

3. カケラ

4. 「Sixth」

5. -MOSQUITO-

6. MARRY


ex-PhobiaのKISUIさんが隼として復活を果たしたバンド、SIX-R。

ジャケットや歌詞カードには、上記の曲順で表記されていますが、実際は「カケラ」と『「Sixth」』が逆に収録されています。


隼さんだけでなく、ギターのカイネさんは、ex-Vizell、ベースの皇子さんは、ex-WAILと、90年代好きには懐かしいメンツ。

ドーナツレコードからのリリースというのもアツいですね。


音楽的には、古き良き名古屋系の延長線上といってもいいでしょうか。

今のバンドなら、もはや当たり前となっているラウドな演奏や、デスヴォイスは見られず、その代わりに、甲高いシャウトや、メロディアスに蠢く、艶めかしいフレーズが多用されている。

割とメリハリがはっきりしていて、ドロドロ、アングラな雰囲気は薄いですが、そういう意味では、そもそもPhobiaも、名古屋系の中でもメロディがわかりやすいバンドでしたしね。

ロックンロールよりのアプローチをベースに、「MARRY」などの王道名古屋系メロディアスナンバーを織り込んでくるあたり、昔のファンも、今のファンも聴きやすい構成になっているのではないかと。


KISUIとしてのソロワークスや、ユニットで見せていた、ラップ的な手法も、「カケラ」の中で見ることができます。

この手の遊びは、聴く人を選ぶかもしれませんね。

純粋な名古屋系を望む人には邪道だと思いますし、細くて尖ったボーカルに映えるというほどでもなく、曲のバリエーションとして受け入れられるかどうか。

個人的には、少し雑多なイメージになってしまっているかな、と。


とはいえ、『「Sixth」』のマイナーコードで疾走する王道感や、やや開けたイメージの「「MARRY」」など、これだこれだ!とゾクゾク感が止まらないナンバーもしっかり詰まっている。

最近のキラキラしたシーンにはうんざり、だけど、マニアックすぎて聴きにくいバンドもちょっと・・・という人には、ちょうど良い路線を走っていた気がします。

活動時期は、2006年~2009年にも関わらず、良い意味で90年代の香りがするなぁ。


そんなわけで、Phobiaが好きだった人なら、流れで聴いても安心できる作品に仕上がっているとは思います。

しかし、隼さんは途中で脱退してしまい、新ボーカルを迎えて活動を続けていましたが、結局、すぐに活動休止になってしまいました。

いつの間にか復活して、いつの間にか脱退していた印象。

もうちょっと話題になっても良かったんですけどねー。