SPOOKYWONDERLAND / The Candy Spooky Theater | 安眠妨害水族館

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SPOOKYWONDERLAND/The Candy Spooky Theater
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1. SPOOKYWONDERLAND PARADE -Introduction-

2. PRINCE OF DARKNESS

3. The LIVING DEAD

4. SPOOKYWONDERLAND PARADE -CABARETTA-

5. La Dance Macabre

6. SPOOKYWONDERLAND PARADE -SPOOKY HALLOWEEN-

7. THIS IS HALLOWEEEN

8. SPOOKYWONDERLAND PARADE -Kill You!-

9. Alice

10. SPOOK HOUSE

11. SPOOKYWONDERLAND PARADE -Finale-

12. TRICK or TREAT -End Credits-

13. Let's Meet With Chocolate And Candy


1st FULL "HALLOWEEN HORROR" ALBUMと銘打ってリリースされた、The Candy Spooky Theaterの復活を告げるフルアルバム。

ハロウィンをコンセプトにした作品なので、やや季節外れなところもあるのですが、「THIS IS HALLOWEEEN」は、「NIGHTMARE BEFORE CHRISTMAS」からのカヴァーだからと強引に紐付けて、この時期にレビューいたします。


Vo,Jack Spooky、Gt.Kal Bone Jr.、Ba.peggy Gigglesと、メンバーの名前からも想像できる、オカルトホラーな世界観の徹底ぶり。

ゴシックな雰囲気をまといながらも、少しコミカルで、ただ暗いだけでは終わっておらず、それがかえって本格派っぽく仕立てているのでしょう。

まるで、ゴシックメルヘンなお化け達が、パーティをしているよう。

ホーンテッドマンション的なイメージを想像していただければ、まず間違いないかと。

ところどころに「SPOOKYWONDERLAND PARADE」と題したSEを挿入し、アルバムの全体的な流れをコントロールしており、場面の移り変わりなどに、繊細な拘りを感じます。

ピアノや、合唱的なコーラスなど、世界観を彩るための上モノを取り入れる工夫は当然ながら、雷や雨風といったサンプリング音もとても効果的。

耳だけで体感するような映画のような、アトラクション的に楽しめる作品に仕上がっている。


本作の制作に3年もの歳月を要しただけあって、完成度はかなり高い。

それこそ、ファミリー向けホラーのサントラといってもおかしくないような出来栄え。

衣装やメイク、セットの作り込みなど、視覚的なアプローチも含めて、すべてが、表現したいひとつのコンセプトに帰結しているようで、一切の無駄がないとさえ思えます。


ただし、これを聴ける人は、かなり限定されてしまうかな。

ヴィジュアル系的な音楽と結び付けるわけでもなく、ひたすらゴシックホラーを追及した音楽性は、シーンの中でも異端。

ボーカリストを要しているものの、歌を前面に押し出した曲はほとんどなく、基本的には世界観を徹底した演奏に合わせて、台詞のように語ったり、効果音の一部として歌ったりと、確固たる存在感は、あえて示していないのですよ。


彼らの音楽性が、どの層に受け入れてもらえるかというのは、限りなく未知数。

バンドとしての完成度、作品としての完成度は誰もが認めるところとは思いますが、次の作品も、他の作品も、と聴いてみたくなるかというと、意見がバラける気がします。

そういう意味では、これからの展開が楽しみなるような、コンセプトからはみ出すくらいの楽曲も聴いてみたかったな。


良くも悪くも、本作で、彼らのすべてが凝縮されている印象。

導入として、彼らの世界観にどっぷり浸れるCDとしては、もってこいですけどね。