マニアックヘブン Vol.5@新木場STUDIO COAST(2010.12.20) | 安眠妨害水族館

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仕事を早めに切り上げて、行ってきました、THE BACK HORNの企画ワンマン、マニアックヘブン。

実は、職場から新木場まではそこそこ近いってことが、アサイラムツアーで判明したので、無謀ながらスーツで参戦しました。


マニアックヘブンは、知る人ぞ知るバックホーンのレア曲が堪能できる、年末恒例のイベント。

普段のライブではセトリに入ることのない、初期の曲や、カップリング曲など、ここでしか聴けない曲ばかりやってくれることから、マニアにはたまらない企画なんです。

ライブの他に、メンバーのアートワークやツアーフォトなどが展示されているギャラリーや、メンバーオリジナルカクテルが楽しめるなど、バックホーンのみのフェスといったところ。


そんなライブなんもんで、セトリは以下のとおり。

お決まりの「コバルトブルー」をはじめ、定番曲を一切外した構成になっております。


1.8月の秘密
2.ピンクソーダ
3.孤独な戦場
4.ミスターワールド
5.ファイティングマンブルース
6.ハッピーエンドに憧れて
7.水槽
8.ディナー
9.花びら
10.砂の旅人
11.舞い上がれ
12.リムジンドライブ
13.パッパラ
14.青空
15.共鳴
16.枝


en1.夕焼けマーチ
en2.魚雷
en3.さらば、あの日


ライブの定番曲を外すとなると、地味な曲、ゆるい曲ばかりになってしまうのではないかというのが心配なところだったりするのだけれど、そうはならないのが彼らの魅力。

普段のツアーでも、ライブ映えしそうなメロディアスな曲、激しい曲を平気で外してくる分、マニヘブ用の楽曲にも、しっかりと緩急を付ける余地は残されている。


最初は、雰囲気モノの、「8月の秘密」からのスタート。

季節外れだったということもあって、会場から漏れるざわめきが、意外性を物語っていました。

この曲、ジュリィーの「暁」の元ネタかな。似てますよね(笑)


「ピンクソーダ」から、「ファイティングマンブルース」くらいまでが、序盤の盛り上がりの部分。

懐かしい曲が多いながらも、メンバーの楽しげな感じが、音やパフォーマンスから伝わってきて、とてもテンションの高い空間になっていました。

世界観も、今ほど洗練されておらず、その分、ライブでのパワフルさにつなげている荒々しさ、初期衝動を再確認できる貴重な場所。


演奏は、正直、調整不足とは言わないまでも、ぎこちなさがあって、クオリティ面では普段のライブに比べたら劣っていました。

しかし、それでも当時よりレベルアップしていることは明確で、ライブでやっていない曲であっても、バンドが成長すれば、成長してしまうものなのだな、と感動すらしてしまう。

個人的な反省点は、もっと予習をすべきだった!

音源はだいたい聴いているので、知ってはいるのですが、ライブで盛り上がるレベルまでは聴き込んでいなかった曲もいくつかあって、激しく後悔。

マニヘブをなめていました(笑)


中盤は、ゆるい曲、暗い曲が中心。

初期にコンピ盤に収録されたのみの「砂の旅人」、CD化がされていない「舞い上がれ」の2曲は、レア曲中のレア曲でしたね。

「舞い上がれ」は、比較的、最近作成された曲だと思うので、今後収録する予定はあるのでしょうか。

普通のバラードといったところで、バックホーンの良さが詰まった曲、というには少し弱いかなと感じましたが。


「リムジンドライブ」からは、再びモッシュ上等の盛り上がりゾーンへ。

聴きたかった「パッパラ」や「共鳴」あたりが、ここで聴けたのが良かった。

特に、「共鳴」は、シングルカットできるのではないかというくらいメロディアスで高揚感のあるナンバーなので、終盤の盛り上がりにはもってこい。

なんでこれを普段のライブでは干しているんだっていうくらいです(笑)


本編ラストは、ボーカルの山田さんもギターを持って熱唱する「枝」。

これだけ、過去にライブで聴いたことがあった曲だけれど、後半の痛烈な叫びが、インパクトを増していました。

序盤は淡々と、優しく歌っているのに、徐々に感情が高まり、何かを訴えるように声を張り上げるテンションの移り変わりが、本当に格好良い。

この曲だけでなく、ボーカルラインを少しいじっている曲も数曲ありましたが、これが一番違和感なく聴けた。

むしろ、完成度が上がっていました。


MCは、相変わらず、基本的には松田さんが喋って、他のメンバーが茶々を入れる構成。

栄純、光舟の食べ物トークも健在。

オリジナルカクテルについて触れる場面もあり、ドリンクを頼む際の参考になりました。

なんだよ、山田さんのオリジナルドリンク。25度の酒を、35度の酒で割ったって(笑)

勢いで頼まなくて良かった・・・

SEも格好良かったのだけれど、松田さんと光舟さんの音だしセッションに、栄純さんがギターを足したものだそう。

どおりで、ゾクゾク感がたまらないわけだ。


アンコールは、バックホーンスタッフ達が「マニアック楽団」として登場し、笛やコーラスを担当した「夕焼けマーチ」から。

山田さんがホーンを吹く場面もありましたが、あまり上手くはなかったです(笑)

まぁ、ノリ的にも軽く賑やかな雰囲気でやる曲なので、そこまでのクオリティは求めておらず、楽しくできれば良いってところですけれど。


「魚雷」、「さらば、あの日」という、ライブ感のある2曲で締め。

この辺は、定番曲が使えない縛りがあるため、完全燃焼!とはならないのが残念なところではあるけれど、総じてプレミアム感の高い、テンションの上がるライブでした。

セトリ的には、中盤のゆるめの曲を固めたゾーンで、「浮世の波」などの、メロディアスチューンを切ってほしかったところですが。

「ホワイトノイズ」も、季節的には聴きたかったなぁ。


後半、光舟さんの動きが止まっていたように思うのですが、何かアクシデントでもあったのかな?

MCで、胃が痛い的なことを言っていたので、体調不良だったりするのでしょうか。

(久々にやる曲ばかりで緊張して・・・というニュアンスだと思いますが、もしや・・・という思いもあり。)

2010年は、V系界隈でミュージシャンの病気休養が多かったこともあり、心配なところ。

いくら慣れない曲だとはいえ、光舟さんの技術で、いつものステップを刻めないほど難しい曲ばかりではなかったと思われるだけに、気になります。


もっとも、それを踏まえても、来年にも期待せざるを得ないほどの盛りだくさんの内容だったことには変わりなく。

聴きたかったレア曲、聴けなかったレア曲。今年も楽しかった、来年も楽しみ・・・と思わせる、この企画は正解。

活動歴が長くなって、やらない曲も増えてきたバンドさんたちは、見習ってやったら面白いですよ。