V系じゃないアーティストで、V系っぽいCDを作ってみよう。 | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

先日行われたバンギャル男座談会にて、クリスマスっぽい企画として行ったプレゼント交換。

参加者が独自のコンセプトでCDを作って持ち寄るという、なんとも集めたものを拘ったり選んだりするのが好きなバンギャル男気質をくすぐる企画になったと思います!(自画自賛)


さて、僕が設定したコンセプトは、「V系じゃないアーティストの曲で、V系っぽいCDを作ってみよう」という試み。

まぁ、スリップノットとか、コーンとか、洋楽のラウドやメタルなあたりに手を出せば、簡単に作れてしまうのだけれど、それをやってしまったら面白くない。

あくまで、邦楽のアーティストから、それっぽい曲をピックアップしていくからこそ、意外性が出てくるんだと思います。


そんなわけで、作成にあたっての俺ルール。


① 邦楽であること


② 男女ボーカルの割合を同程度にすること


③ V系っぽい曲を集めるのではなく、V系っぽいアルバムを作るのが目的


ポイントは③ですね。

ラウドっぽい、メタルっぽいのをやみくもに集めてくるのではなく、王道なヴィジュアル系バンドが作りそうな構成にすることが条件。

V系バンドがアクセント的に入れてくるバラードや、ポップナンバーまで再現しようと思うと、なかなか難しい。



1.If the story's over...

2.Vapor Trails & Powder Snow / HOLSTEIN



このコンセプトで作ろうと思ったときに、まっさきに思い浮かんだのがホルスタイン。

そのインスピレーションを活かそうと思い、SEも含めて導入をお任せしました。

英詞なのが、ちょっと反則かなぁという思いもありましたが、聴いてもらいたいという気持ちのほうが強かったので。


系統としては、HAWAIIAN6やBRAHMANに近い音楽性。

曲に凝り過ぎて、作品が作りきれないことから解散に至ってしまったというほど、練りに練った綿密な構成は様式美とエモーショナルが絡まった格好良さ。

何度か書いたこともありますが、声がMoranのhitomiさんっぽいというのも、トップバッターに持ってきた理由です。


Delivered from the Past/HOLSTEIN
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3.蒼

4.月アカリサイレース / UNLIMITS



これも、絶対入れると決めていたアーティスト、アンリミッツ。

オルタナパンクに、歌謡曲的なメロディを重ねたような疾走感と激しさがたまらないバンドです。

女性ボーカルが嫌いじゃなければ、V系王道聴きには自信を持っておススメいたします。


2曲目の繋がりを考えて、ギターのリフに通ずるところがある「蒼」をまず持ってきて、代表曲でもあり、マイナーコードで疾走する哀愁感がたまらない「月アカリサイレース」を続ける構成にしてみました。

ホルスタインが、やや展開が多い複雑なバンドなこともあり、同じように激しくも、ストレートな曲を続けたことで、アルバムに勢いを出すことに成功したんじゃないでしょうか。


蒼 -アオイ-/UNLIMITS
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夢幻シンドローム/UNLIMITS
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5.いっさいがっさい(密命ヴァージョン) / 奥村愛子



V系シーンのバンド達が、オルタナバンドに影響を受けている昨今、その手のバンドばかりを並べたら、V系っぽくなって当たり前というもの。

この辺で外しを入れておきます。

アクセントとして、思いっきりレトロ&ジャジーな曲が映えるだろうなと思いまして、この選曲。


歌詞の少し病んだ感じと、アレンジから漂うレトロ集は、初期のシドなんかが好んでやっていそうです。

女性ボーカルを続けることで、バンドサウンドからの変化も滑らかになっているのではないかと。

万華鏡/奥村愛子
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6.傷だらけのマリア(proof mix) / アーバンギャルド



個人的に、冒険だったのがこの曲。

中二病的な世界観と、ガーリーポップにテクノを組み合わせたような不思議な音づかい。

ポップなんだけど、どこか病的で気味悪く、V系シーンにおけるピコピコ系的な位置づけで入れてみました。


ピコピコ界隈を好む人には間違いなくおススメできるバンドなんだけれど、王道V系的なアルバム構成の中で馴染むか、ちょっと心配だったのですが、ロックテイストのギターリフと、疾走感あるけれどマイナーコードで淡々と進んでいく展開は、遊び心が効いていて良いじゃないですか。

畳みかけるような語りが途中で入ってくるのも、それっぽい!

一辺倒にならず、バラエティを増やす意味でも、スパイスになっている一曲。

少女の証明/アーバンギャルド
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7.眩暈 / GENERAL HEAD MOUNTAIN



前の曲が畳みかけたうえで余韻を残す終わり方なので、勢いのある曲がマストだと思いまして、シンプルで速くて激しいこのバンドを入れてみました。

音楽的には、ACIDMANを荒々しくしてみたイメージ。

3分に満たない潔い構成で、アクセントパートからの切り替えとしては、役割を十分に果たしてくれています。


サビの「回る 回る」というフレーズも、なんだかV系っぽいと思ってしまうのは病気でしょうか(笑)

ヴィジュ声ではありませんが、下手だけどエモーショナルに歌い上げるボーカルは、通じる部分があるかもしれません。


深まる日々に、微笑みを。/GENERAL HEAD MOUNTAIN
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8.君の歌よ響け / WRECKingCReW



勢いを消さずに、だけど違う系統の曲も入れたいなと思い、この曲をピックアップ。

このバンドも、系統としてはUNLIMITSやGENERAL HEAD MOUNTAINと近いものがありまして、正直、V系っぽい曲だったら、他にももっと妥当なものがあります。

だけど、激しく、速いのだけれど、癖が出ている曲がバランス的に欲しいかな、と思ったときに、Aメロはそれっぽいのに、サビで男女ツインボーカルのとらえどころのない雰囲気になるこの曲は持ってこいだった。


譜面どおりに歌ったというような表情のない女性ボーカルと、エモーショナルに歌おうとする男性ボーカルのギャップが面白くもあり、不気味でもあり。

これも潔く終わるので、繋ぎとしてはほどよいブリッジになってくれました。


夜と太陽のDNA/WRECKingCReW
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9.黒髪ストレンジャー / 鴉



さきほどの本格派のレトロさとは対照的な、激しいレトロックがあると映えるなと思いまして、激情的な歌い方には定評がある鴉をここに。

疾走感があるのだけれど、リズムはジャジーで、荒々しくも伸びやかなボーカルも相まって、中盤から後半への盛り上げに貢献している。

後半に考えていた流れに、うまく繋げてくれる曲がなかなか見つからなかったんですが、1つ前のWRECKingCReWと、この鴉で、うまいこと持って行けました。


収録時間に余裕があれば、もっと鴉の音楽性の真髄を知ってもらう意味でも、「風のメロディ」あたりを入れてみたかったのですが、欲張り過ぎは良くない。

ここは、全体的なバランスを考えて、名残惜しいくらいがちょうどよいのです。


黒髪ストレンジャー/鴉
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10.フェルディナン・グリフォン・サーカス / a flood of circle



レトロさをそのままに、ロックンロールに昇華するイメージ。

勢いは消さないけれど、雰囲気作りに徹していた7~9曲目の流れを集約させるかのように、キラーチューンを持ってきてみました。

この辺りで、シングル曲を入れてくるようなニュアンスですね。


荒々しいボーカルは、あまりV系っぽくはないですが、ギターのレトロなフレーズと、歌謡曲ベースのメロディは抵抗なく盛り上がれるかと。

エモーショナルなバンドを並べる中で、最高潮がここにくるような構成を意識したといったところ。


ZOOMANITY(初回限定盤)(DVD付)/a flood of circle
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11.ペルソナ

12.パラノイア / THE BACK HORN



やはり、このバンドは外せない。

退廃的な曲、感傷的な曲、どれをとっても、フォロワーが多いなということを感じさせるバックホーン。

バックホーンがV系っぽいというか、V系がバックホーンを意識しているといったほうが適切かもしれません。


その中でも、特に最近のV系っぽい「ペルソナ」を選曲。

サビでメロディアス&ツタツタになる高揚感は、V系が忘れてしまったV系感を持っているといったら言い過ぎでしょうか。

そして、もう1曲、「パラノイア」を採用。

「ペルソナ」が最近のV系っぽいナンバーなら、こちらは、ゴシックで宗教的な、古き良きV系を彷彿とさせる。


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戦う君よ(初回限定盤)/THE BACK HORN
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13.聲

14.鮫 / 天野 月子



「パラノイア」がアクが強すぎて、普通のJ-POPでは違和感がある繋ぎになってしまう・・・

ということで、世界観のあるロックバラードを入れてみようと思い、選曲。

バラードの選曲が、本当に難しかった。

変な話、V系だろうがそうじゃなかろうが、バラードに個性を出しているアーティストってそうはいないので、なんでもそれっぽくなってしまうのですよね。


その中で、ベストなピックアップができたのではないでしょうか。

この繋がりは、なかなか格好良い。

女性アーティストで、この世界観を出せるのと、この流れで馴染むバンドアレンジという条件に、見事合致している。

バラードの湿っぽさを引っ張るつもりはなかったので、続く曲は、ツタツタナンバーである「鮫」に。

個人的にはお気に入りの流れでもあります。


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天龍/天野月子
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15.D-tecnoRize / UVERworld



本音ですけれど、この流れは、あまり気に入っていません(笑)

イントロ部分からバンドサウンドで疾走してくれていればよかったのですけれど、ちょっと繋がりに隙間が出来てしまったなぁ。

収録時間に余裕があったら、もう1曲、疾走系の曲を挟むと良かったんでしょうねぇ。


しかしながら、曲単体では、最近のポップロックミクスチャーブームの源流だけあって、それっぽいです。

キラキラしたアレンジで、ホストみたいなバンドマンが、メジャーでやっていそうな音楽っていうと伝わってしまうのが複雑なところ。

バランス的にも、ポップロックはあったほうが良いだろうなと思って、選曲しました。


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16.旅路 / Hysteric Blue



意外性があり、ラスト前の疾走感があってキャッチーで切ない曲、というイメージにぴったりだったので、これを選択しました。

メロディメーカーのたくやさんは、解散時に、「初期ラルクや黒夢のメロディを参考にしていた」と語っていたことからも、この曲の馴染みやすさには納得がいきます。


単純に名曲だと思いますし、個人的には大好きなアーティストだったため、僕のエゴも含まれてますが、アルバムの終盤という雰囲気がよく出ているかと。

ラスト2曲は、作り始めの段階から、構想があったのですよね。


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17.The Revolutionary / 9mm Parabellum Bullet



最後は、9mm。

ベタですが、選曲は意外なところかもしれません。

とにかく爽やかに最後っぽい曲を探したときに、これしかないな、と思いました。


彼らにしては、聴きやすく、ストレートなナンバー。

複雑なバンドが、ふいに見せるシンプルさって、やけに格好良く見えるものです。

僕のイメージしていたアルバムの完成像にも、それが上手く一致した。

ラストは単純に気持ちが良いだけの曲を選んだ結果、こうなりました。


Revolutionary/9mm Parabellum Bullet
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はぁ、長かったですね。

自己満足企画ですが、最後まで読んでいただいた皆様、どうもありがとうございます。

このブログを読んでいて、かつ、今回紹介した曲を全部知っている人なんて、皆無に近いのでしょうけれど、なんとなく雰囲気が伝わっていただければ幸い。

そして、そのうえで、普段聴くアーティストの幅を増やすきっかけになったら、嬉しいことこの上ないです。


正直なところ、バンギャル男をこじらせてしまっている僕は、自分の好きな音楽=V系っぽいってことなんじゃね?っていう短絡的な思考に陥りだしていて、最終的には、よくわかんなくなってきました(笑)

まぁ、僕が好きなアルバム構成になっているのは間違いないんですけれど。

こういう曲も入れたらいいかも!こういうバンドもおススメです!的なアーティストがあったら、ぜひぜひ教えていただきたいですね。

化粧してようが、してまいが、世界観が表現できている格好良いバンドだったら、いつでもウェルカムなのです。