1.ゆりかご(Instrumental~second scene)
2.Doll~奇妙な物語~
3.めまい
4.Mystery....Travelin
5.MONA LISA
6.A.C.I.D 脳内麻薬
7.SUSPICION
8.哀色の旋律(Instrumental~second scene)
9.最後のくちづけ
ある意味で伝説となった賛美歌の作品。
blogの趣旨としては、好きな作品だったり、このバンドを聴くなら、まずはこのCDを聴け!的な音源を紹介していきたいところなんですが、作品単位でリクエストがあったからには、お応えしなければなりません。
まぁ、このバンドについては、ネタとしてあらゆるところで既に語りつくされている部分もありますので、今更細かく紹介する必要はないのかもしれませんが、念のため、簡単におさらいです。
前身バンドである舞をベースに1996年に結成された賛美歌。
美しさと激しさを表現することをコンセプトとした耽美系バンドで、結成からわずか数カ月でホールワンマンを決行、更には1年弱でメジャーデビューと、数々の伝説を打ち立てる。
2000年に解散しますが、解散ライブは渋谷公会堂で行われ、これだけを見ると、かなり規模の大きい人気バンドだったような気がしてきます。
しかしながら、そこまでの人気、実力がなかったというのが実態だったようで、ライブの動員はほぼサクラ、メジャーデビューもカネやコネの力ではないかと噂されるほど。
コアなV系ファンであっても、頭の上の"?"を消すことができないほどの謎の躍進ぶりで、謎の金回りが良く分かる事例としては、V系雑誌に、インタビューや連載に見せかけたカラー広告を毎月掲載していたなんてこともありました。
富豪刑事ばりの戦略ですが、それで人気バンドであると一定数に思わせていたのも事実ですから、もしかしたら効果はあったのかもしれません。
さて、そんな賛美歌の、良くも悪くも代表作となるのがこちら。
ミニアルバムとして発売された作品が、メジャーデビューの発表に合わせ、2ndプレス盤として再ドロップされた「甘く危険な香り」。
3曲の追加収録があり、曲順も大幅に入れ替えて再構築されております。
タイトルのとおり、作りこみが甘く、聴くのが危険な作品。
これがメジャーデビューを決めたバンドの作品なのかというチープな仕上がり。
時代的なものはあるにしても、音質なのかミックスなのか、聴いたときのちぐはぐさといったら。
昔の携帯電話の着メロのような軽いシンセの音をバックに、マイクのゲインを思いっきり上げきったようなバランスの悪いボーカルが重なって、バックの音の詳細が聴こえなくなるというセンスのなさ。
なんだか、隣の部屋の住人に怒られないように布団をかぶりながら恐る恐る歌っているよう。
ちょっとでも声を張ると音は割れてしまいますし、そもそも曲の出だしの頭の音が切れてしまっていたりと、再プレスしてまで流通させる必要があったのかという出来栄えです。
現代であれば、マイナーバンドの無料配布CDRであっても、これよりはマシな音を出していますよ。
曲は必ずしも悪くはないだけに、もっとまともなテイクはとれなかったのでしょうか。
そして、触れずにはいられないのが、このアルバムの悪名を世に知らしめした「A.C.I.D 脳内麻薬」。
ヴィジュアル系なのに・・・耽美系なのに・・・
「そこでは、化粧をした男達が黒尽くめの女の子の胸を鷲掴みにしているんだぁ!」と、何を狙ったのかわからない歌詞を、もったいぶったナルシストな語りで披露。
感想は、たった一言で十分。恥ずかしい。
激しいサウンドに、闇世界の語り部的な世界観で、ラフな詩を乗せたかったんでしょうけど、さすがに空回りすぎですね。
極めつけは、この曲、このバンドの代名詞ともなってしまった「クソ!バカ!死ね!」という迷台詞。
そういうスタイルのバンドであったならともかく、賛美歌として、どこに向かいたかったのか。
世界観も何もあったもんじゃない。
個人的には、ある程度勢いで聴ける「A.C.I.D 脳内麻薬」よりも、「SUSPICION」のボーカルの不安定ぶりと、音の足りなさが、聴くに堪えないと思うのですが、もうどっちだっていいやぁ。
安眠妨害水族館が、自信を持って駄作と言い切る作品。
多少音質が悪くても、曲が良ければ、バンドが好きなら、聴けてしまうのがバンギャル、ビジュヲタですけれど、こればかりは、ネタとして受け入れるしか使い道がない気がします。
さぁ、賛美歌を知らない諸君。
これ、逆に聴きたくなってきませんか?
色々と毒を吐いたかもしれませんが、今回は、そういう層を狙ってリスナーを増やそうという試みということで、何卒よろしくお願いします。