桜 / MARRY+AN+BLOOD | 安眠妨害水族館

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桜/MARRY+AN+BLOOD



1. 桜

2. Fallin Ballet


Soleilバンド、MARRY+AN+BLOODの、2本同時で発売された2ndデモテープ。
耽美なメロディで勝負していた、ダークバンドでした。
和風ダークの世界観の中に、メロディアスで耽美な雰囲気を持ち込んだことが、当時としては斬新で、このデモテープ発売と同時に瞬く間に知名度を広げましたね。

MARRY+AN+BLOODといったらこれ、と言わんばかりの代表曲、「桜」は和風の妖しい雰囲気から始まるメロディアスなナンバー。
全編がサビのような、インパクト、パワーのあるフレーズが目白押しで、とにかくメロディの良さに聴き惚れてしまいます。
Bメロ、"さくら さくら"の掛け合いの高揚感を、サビの出だしではぐっと堪え、感情を殺したように仕切り直す構成が実に渋い。
ただただエモーショナルに歌うのではなく、こういう緩急がついているからこそ、日本的な儚さ、美しさ、妖しさが表現できているのだと解釈。
ダークなだけでは終わらず、様式美にも収まらず、評価されるべきして評価された名曲です。

カップリングの「Fallin Ballet」は、耽美色を強めたムーディなナンバー。
ストリングスを取り入れたアレンジ、流れるようなメロディ、美しく儚く歌い上げるKAMIYAさんの切ない声、これもまたインパクトの強い曲を持ってきましたね。
サビでの高揚感は鳥肌が立ちました。
イントロがMALICE MIZERの「au revoir」にそっくりなのが少し気になるけれど。

2曲とも良曲なのですが、聴く人を選ぶなという部分は、KAMIYAさんの歌い方でしょうか。
語尾を無理やりビブラートにしようとしているような、歌い尻の不安定さがあります。
フラフラと声を震わせる癖があり、聴きにくさを生んでしまっているような。
声質は、耽美な楽曲に映える、渋くて艶っぽいミドルボイスなだけに、もったいないかな。

この2曲は両方とも、解散後に発売したミニアルバムに収録されていますので、無理してデモテープで買う必要はないのかと。
ただし、そのミニアルバムも入手が容易とは言えないので、こちらから入っても良いでしょう。

もう1本、「般若」というデモテープが同時発売しているのですが、面白いくらいに、話題になったのはこちらの「桜」ばかり。
「般若」も決して出来が悪かったわけではなく、それだけ「桜」の衝撃度が大きかったということで。
V系サクラソングの、隠れた定番曲です。