- CAPSULE/Dolly
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1. -Enter-
2. capsule world
3. PLAY
4. 1999-Last Judgement-
5. 紫陽花
6. アルビノ
7. -Shift-
8. レイトカーニバル
9. Verigo
10. GOTHIC PARTY
11. downer’s pool
12. 星の砂時計
13. 「S.O.S」
2009年にメジャーデビューを果たしたDolly。
デビュー直後、メンバーの体調不良のため、活動休止というアクシデントを乗り越え、活動再開してからは初となる2ndオリジナルアルバム。
マーダースーツケースからの発売なんだけど、結局シングル1枚でインディーズに戻ったということなのでしょうか
通常盤には、CD初収録の「S.O.S」が追加で収録されております。
全体を通した感想としては、バラエティに富んだまとまった作品。
ギターが一人欠けたのを補うべく、デジタルなシンセや、サンプリング音が目立っているのですが、元々の音楽性がレトロ感のある曲を得意としていたために、デジタルとアナログが融合したような音楽に昇華させています。
ネオ・ヴィジュアル系の王道といった、キラキラしたノリの良い曲を中心として、従来どおりのレトロな曲や、ゆったりとしたバラードなど、ひととおり最近のバンドがやってみるような曲を、高いクオリティでこなしているイメージ。
密さんの浮遊感のある声も、そこに上手くフィットしていて、違和感はありません。
インストでの導入からはじまり、その後の3曲はデジタルロック。
続く「紫陽花」、「アルビノ」が、彼らの本来の王道であるレトロ・メロディアスナンバーなので安心しますが、結構、新境地的な曲を積極的にやっているんだな、という印象。
「アルビノ」は、淡々とした浮遊感のある曲に、フワフワしたサンプリング音がまざって、なかなか世界観のある仕上がり。
従来の持ち味も、新しい試みによってパワーアップしているのもポイント高いですね。
再び、インストが入り、はじまる後半戦も、今回際立っているデジタルさを織り交ぜながら、ダークでアダルトな雰囲気のある「レイトカーニバル」に、ベタに切ない「Verigo」、ダンサブルな「GOTHIC PARTY」と、色味は鮮やか。
ラストは、「downer’s pool」、「星の砂時計」と、ミディアム~スローなナンバーで締めます。
「星の砂時計」は再録なので、他の曲と比べると、やや馴染んでいない気もしないでもないですが、リアレンジで隙間が埋まるように工夫はされている。
なんだかんだで良い曲ではありますからね。
ボーナストラックの「S.O.S」は、前半の流れに戻るような、スリリングさのあるナンバー。
デジタル色は薄く、楽器隊の重たい演奏を重視しているのが、このラインナップでは異質なところもあって、インパクトが出ていて良いかと。
本作は、全体的にメジャーデビュー前に見られたPlastic treeっぽさが薄れていて、現代的になった印象。
音楽の流行に合わせて、柔軟にスタイルを変えていけるバンドなのでしょうね。
急激な変化、流行りに乗っかって路線変更をした、という嫌らしさを見せず、自然な流れでそれができるところに、センスを感じます。
無節操に何でもやるのではなく、きちんと自分たちの色になりそうな部分だけ選択して取り込んでいるような。
一方で、器用貧乏のまま終わってしまうのではないか、という不安はあります。
このバンドだけのオリジナルがあるかというと、まだ何とも言えない。
上手いこと、流行に合わせる力はあっても、作り出せるまでには至っていないというのが現状なのかな。
「無難に良いバンド」の域から脱出できるかどうかが、今後の課題でしょうか。