- 重力/ワタシメスラッグ
- ¥2,300
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1.重力
2.Shiny day
3.Prime
4.RUN BULLET
5.WISH
6.キルンベルガー第一法
7.アーシャルマーツ
少女-ロリヰタ-23区の2代目ボーカルとして加入が決まった総史さんが所属していたワタシメスラッグ。
メガマソの涼平がプロデュースを手掛けたことでも話題になりました。
このアルバムの聴きどころは、なんといっても豪華なコンポーザーの面々の多彩な楽曲。
新人のヴィジュアル系バンドに、どうして!?と驚かざるを得ないほどのビックネーム揃いでした。
表題作でもある「重力」を作曲しているのは、浅倉大介。
何十年も変わらないだろうデジタル色の強い音楽性に、今風のヴィジュアル・アレンジが重なると独特な雰囲気になりますね。
もうちょっと音を増やしてほしかったな、という部分はありますが、少しダークで淡々とした展開が癖になる。
続く「Shiny day」は、中島卓偉が作曲。
ヴィジュアル系の先輩として、どんな楽曲を提供してくれるのかと期待しましたが、割と平凡なミディアムナンバーだったのはちょっとがっかり。
TAKUI時代のハードでアグレッシブな楽曲を期待しちゃったもんで。
でも、ボーカルは意外と曲負けしていない。
表現力はまだ弱いけど、上手い部類に入るボーカルさんだと思います。
「Prime」は、奈良岡撫子さんが作曲、とのことですが、この人だけ知らなかった。
なぜかこの曲だけボーカルさんがhydeっぽい歌い方をするもんで、ラルクっぽく聞こえてしまいます。
前半戦は、少し抑えめなイメージですかね。
一転して、後半戦は疾走感がある王道路線の曲が続きます。
「RUN BULLET」は、再び浅倉大介の作曲。
こちらは、正々堂々の浅倉節です。
pool bit boysなんかが好きだった人は、懐かしさを感じてしまうデジタルポップ。
やっぱり、この音にはアップテンポが合いますね。
そして、まさかのつんくが作詞・作曲を手掛けた、「WISH」。
最近ではアイドルのプロデューサーというイメージも強いですが、彼の本質はバンドサウンド!ということを見せつけてくれる作品。
メロディアスで、どこかノスタルジック。ボーカルの声質にもなじんでいて、さすが、プロデュース業のベテランだけあって、アーティストの活かし方をよく熟知しているな、という印象です。
「キルンベルガー第一法」は、プロデューサーである涼平が提供。
メガマソを結成して、ポップソングが中心になってきた涼平の曲でしたが、これはマニアックな譜割、わかりやすく癖のあるギターフレーズ、サビではメロディアスになる曲構成など、初期アヤビエを彷彿させていました。
大物プロデューサーの影に埋もれることなく、しっかりとインパクトを与える曲を持ってこれるのも、正統派じゃなく、ちょっと癖が強いのを持ってくるのも、いかにもりょっぺらしい。
ラストの「アーシャルマーツ」だけが、メンバーのレオさん作曲。
これだけ、特に個性がなく、最近のヴィジュアル系バンドのよくある曲で終わってしまっているのが、ある意味で可哀そう。
激しさを狙ったのか、なんかボーカルを活かしきれず、中途半端な印象なのが残念です。
コンポーザー陣の面子がこれだけ豪華なので、やはりアルバム全体としては良い出来ですね。
ボーカルとギターのコンビなので、音の使い方には自由度が高く、作曲者の好みに合わせて、アレンジの方向も変えているような面白味があります。
ただ、ラストの自分たちの曲の出来で、バンドの限界がうっすら見えてしまうような、ちょっと背伸びしすぎたかな、っていう印象は否めません。
後半戦の流れはかなり好きですが、ラストの曲でのがっかり感は・・・
歌はなかなか上手いタイプなので、次バンドでは、しっかりボーカリストとして成長してほしいです。