- devils in bedside/9GOATS BLACK OUT
- ¥2,520
- Amazon.co.jp
1. sink
2. 690min
3. 夜想- nocturne -
4. Den lille Havfrue
5. raw
6. float
9GOATS BLACK OUTの1stミニアルバム。
このバンド、とても好きではあるのですが、昨今のryoさんの神格化には抵抗があって。
なんだか、みんな無条件に絶賛している気がしてしまい、少々穿った見方をしてしまうのです。
万人受けする音楽性ではないのに、万人受けしていると錯覚しそうになるほど評判が良すぎるというか。
いや、とても素敵なボーカリストなので、称賛されることに何の異論もないんですが、伝わりますかね、この感じ。
それだけ魅力的なボーカリストを擁するバンドが、話題にならないはずがなく。
名古屋出身ではないものの、V系的な音楽区分をすれば名古屋系に属すると思われる彼らですが、その枠に囚われない、神秘的で深みのある音楽性にレベルの高さを感じます。
どの曲にも詰め込まれた世界観があって、色味が微妙に違っている。
例えるならば、海の底に漂いながら、水のちょっとした色彩の違いで、「あ、今日は晴れなんだな」とか、「今日は曇りで日が差さないんだな」とかがわかるようなイメージ。
言葉や絵で表現してしまうと、「青みがかった水の色」なんですが、当事者にとってはその日の天気ってはっきりとわかると思うのですよね。
それと同じで、音楽を言葉にしてしまうと、どの曲も「暗くて世界観のある曲」になってしまうのですが、音に触れてしまえば、ひとつひとつの個性が際立っているのが手に取るように感じられる。
この、身を投じてみないと体験できないバリエーションの豊富さっていうところに、このバンドの一番の深みがあるのだと勝手に思っています。
そして、なんだかんだ言ってもryoさんの声。
かつては耳が痛くなるほどに細く尖った声を持った人だと思っていたのですが、ここにきて、優しさが表れるようになってきた。
まるで女性のような優しい表現は、今までにはなかったもので、9GOATS BLACK OUTの音楽性の底の深さを垣間見たような気がしました。
ハイトーンな歌声には浮遊感があり、バンドの毛色ともマッチしていますね。
さて、このアルバムは最初の「sink」から世界観どっぷり。
シックでシンプルなのですが、なんだろう、この深みに堕ちて行くような感覚。
派手さは無い分、何度でも聴ける渋いナンバーです。
続く「690min」はやや毛色が違ってデジタルとバンドサウンドが融合したような激しい曲。
シーンで見かけるコテコテ系やラウド系の激しさとは違う、声も楽器のひとつになったインストに近い雰囲気を醸し出しています。
そこからは、ミディアムテンポの曲が続きますが、どの曲も捨て曲にはなり得ない、存在感の強さ。
最後まで浮遊感と緊迫感の狭間にいるようで、耳を傾けずにはいられません。
冒頭であんなこと言っておいて、結局絶賛しているっていうオチ。
ちなみに、今回紹介するのに、このアルバムを選んだ理由は、店頭で買っても損した感が少ないからです。
どのCDも名盤だとは思うのですが、通販盤にはボーナストラックが付いてくる仕様になっているものが多く、ちょっと商売してるぞ感があるんですよねぇ・・・
そりゃあ、小売店通さない方が粗利はとれるから、手売り分を増やしたいのでしょうけれど、バンドマン自らCD屋さんが売れなくなるビジネスモデルを考案しちゃダメだろう、と。
ユーザー側からすれば、カップリング違いで3パターンとかよりは良心的なのは言うまでもありませんが。