先日発売されたJIGGER'S SON19年ぶりのニューアルバム「SOUND of SURPRISE」セルフライナーノーツ第3回。今日は「マスターYAMASHITA」と「最新式を買ってやる」の2曲。

 

 

●05. マスター YAMASHITA

 

【data】

word & music 坂本サトル

recorded at Sound Village (2012 山梨県山中湖村)

坂本サトル:vocal, electric guitar, hand clap, shout

渡辺洋一:electric guitar, hand clap, shout

坂本昌人:bass, chorus, hand clap, shout

鈴木慎也:drums, tambourine, hand clap, shout

柴田俊文:clavinet

森山公一:hand clap

 

【self liner notes】

11年ぶりに活動を再開して1番驚いたのが慎也のドラムだった。明らかに11年前よりいいドラムを叩くようになっている。ブランクを感じさせない、というような単純なことではなく「楽器とは人間がそれまで生きてきた人生をまとって演奏するのだ」ということがよくわかった。バラードはもちろんこういったストーンズ的なシンプルな8ビートも素晴らしい。今回のアルバムを一足早く聴いてくれた人が「解散があって活動しない11年があったからこそ、こんな素晴らしいアルバムができたのだ」というような事を話してくれたが、確かにそうかも。

なんとこの曲、コーラス録りの日に歌詞書きが間に合わなかったため、歌詞が確定していない状態で昌人のコーラスを先に録らなければなくなった。

苦肉の策というか面白半分というか、実はサビのマットのコーラスは全て「アスター!」と歌ってもらっている。後で歌詞を書く時に韻を踏んでいって無理矢理つじつまを合わせたという荒技。あらためて聴いてもちゃんと歌詞に合わせてハモっているように聴こえるから不思議です。エレキは左が渡辺、スタートを切る右が私。ギターソロは渡辺。ボーカルはタイミングもピッチもノーエディット。頭から最後まで一気に歌ってそのまんまOKテイクに。

 

 

●06. 最新式を買ってやる

 

【data】

word 坂本サトル music 渡辺洋一&坂本サトル

recorded at 音屋ホール (2017 福島県相馬市)

坂本サトル:acoustic guitar, chorus, programming

渡辺洋一:electric guitar, chorus

坂本昌人:vocal, bass

鈴木慎也:drums, chorus

 

【self liner notes】

マットはJIGGER’S SON解散後も僕のバンドメンバーとして相変わらずベースを弾いたりコーラスやったりしてくれていて、2017年6月1日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われた僕のデビュー25周年&生誕50周年記念ライブでもJIGGER’S SONのベーシストとしてだけではなく「坂本サトル with his band」のメンバーとしても弾いたり歌ったりしてくれた。と、そのステージを見た森山が「マットさんの歌っていいですね。アルバムの中で1曲、メインボーカルの曲があっていいのでは?」と提案してきたのだ。「バンドのアルバムだからそれもありじゃないですか?」と。

一方その頃、僕は3人に「せっかくバンドでアルバムを出すのだからみんなで曲を書こう」と話していた。1曲でも、いや断片でもいいからと。慎也とマットは多忙につき難しいとのことだったが渡辺からは「作ってみたよ」と連絡があった。

送られてきたのはiPhoneで録ってそのままiPhoneで送った、という味ありまくりな音源。弾き語り状態のデモだった。

それを分析しコードとメロディを整理し、あれこれくっつけて1曲に仕上げたのがこの曲で、森山に聴かせると「マットさんが歌うのはこれでしょう!」と。確かにこのぼよよんとしたムードはマットにぴったりだなー、それじゃ歌詞もぼよよんとさせて…と楽曲提供モードになって歌詞を書いた。

相馬RECから約1ヶ月経った8月のある日。ねぶた期間中の青森市内の僕のスタジオに大阪から森山が、川崎からエンジニアのナベちゃん、そして車で2時間ほどの距離にある実家からマットがやって来てくれて、ねぶたにちょいちょい顔出しながらも6曲分のボーカルとコーラスを2日間で録りきった。

面白かったのがコーラス録り。僕の声はその時に、慎也の声は後日ちゃんとしたマイクで録れたのだが、渡辺は北海道に住んでいるため、またも自分でiPhoneで録ってもらう事になった。お願いしたその日のうちにその「渡辺コーラス」が送られてきたのだが、それは「同じiPhoneなのにどうやったらこんなローファイに録れるのだ?」という不思議な質感のテイクだった。面白かったのでそれをそのまま使用。

ギターソロは渡辺。懐かしの逆再生。アコギはギルド。ライブでは追っかけパートはぜひとも全員で!

 

 

JIGGER'S SON『SOUND of SURPRISE』

DQC-1584 / 全12曲入り / ¥3,240(tax in.)

 

produced by 森山公一 and JIGGER’S SON

recorded and mixed by 渡辺正人(Spark Kid Sound)

masterd by 山崎翼(Bernie Grundman Mastering Tokyo)

 

詳細、購入→ http://bit.ly/2gHIvDK