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成城にあるグラフィックデザイナー駿東宏さんのご自宅に遊びに行って来た。

駿東さんの愛犬ララプーが愛らしくじゃれてくれる中、音楽業界におけるグラフィックデザイナーの現在の状況、お互いの家族の事、駿東さんが最近作っている作品について、僕の今後の活動について…等々、話しは尽きない。
いつまでも枯れる事のない「何かを作りたい」という衝動をいつもキープしている駿東さんを僕は心から尊敬している。

駿東さんとのお付き合いは早13年。
僕が1998年にソロ活動を始めようと決めた時に、デザイン関係を誰に任せるのか?ということが最初にスタッフと話した事だった。
佐野元春さんのジャケットデザインが素晴らしいと思っていた僕は、クレジットから駿東宏さんの名を知り「駿東さんとやってみたい」と告げた。
駿東さんは佐野さんの1986年以降ほぼ全ての作品を手がけていた。

ソロ活動は「スタジオワークを主体とする。ライブはあまりやらない。弾き語り?そんな貧乏くさいことやるわけない」と決めていた僕に、駿東さんは撮影中に無理矢理アコギを持たせたり、ご自分が主催するイベントに「1人でライブをやって欲しい」などとけしかけた。
そう、僕の初めての弾き語りライブは1998年の秋。今はなき西麻布のYellowで行われた駿東さん主催のイベントだったのだ。
それまで弾き語りの経験がほぼゼロだった僕は、20分のステージをギター1本でやることが精一杯だった。
(このライブのために書いた曲が「Yellow」)

しかしそのステージでの経験がきっかけとなり、そして自信にもなり、その数ヶ月後には「超弾き語り野郎。3ヶ月でライブ200本」なんつうことになっていた。

その話をすると「僕は坂本さんに弾き語りでやって下さいなんて一言も言ってません」と必ず返されるが、結果的には駿東さんが僕を今の道に導いたのは事実なのだ。


それから今日までに駿東さんと作ってきた作品はDVD、写真集も含め約20作品。
ある時には「坂本さん、今度のジャケットは坂本さんが画いた絵です。」
またある時には「カメラ預けますから今度のジャケットは坂本さんが撮ってきて下さい。」
「海に入って浮かんでて下さい(4月初旬)」
「噴水の中に入って下さい」
「今度の撮影は写真館です」
などなど要求はめちゃくちゃ。しかしどれも僕を気持ちよく振り回してくれた。

その20作品の中で、2003年にリリースしたアルバム「プライド」のジャケットデザインが「1000 music graphics(※注)」に選出された。
ビョークやU2のジャケットと一緒に収録されているのを見た時には興奮したものだ。

駿東さんは僕よりも10才以上も年上で、音楽にもめちゃくちゃ詳しいし、僕の知らない事をたくさん知っていて教えてくれる。
親戚のお兄ちゃん、という感じかな。

これからも頼りにしてます。
今年は一緒に何か作りましょうね!


写真は駿東さんとララプー。
人なつこくてほんとに可愛い。


※注…1000 music graphics
2008年アメリカのロックポート出版から出されたデザインブック。
先進国で2003年~2007年頃に発表された音楽に関するデザイン物(CDジャケット、ライブポスター、Tシャツ等)の中から、有名無名に関わらず「デザイン的に優れている事」のみを選出基準に1000個を選出し掲載した本。
洋書を扱う書店か、米国のアマゾンで購入が可能。