被災地を回ってすぐに気がつくのは至る所に自衛隊の方々がいるということだ。
瓦礫を片付け、行方不明者の捜索をし、道が無くなってしまったところには道を作る。その活動に対しての被災者の皆さんからの深い感謝の言葉を行く先々で聞いた。

5月16日現在、今回の震災で亡くなった方は1万5069人。
それではそのほとんどの遺体を瓦礫の山や泥の中、そして水中から抱き上げたのは誰なのか?
言う間でもなく自衛隊をはじめとした救助活動に従事する方々だ。
それが仕事だ、それが任務だ、と言われれば確かにそうだが彼らも普通の人間だ。過酷な状況の中で次々と凄まじい場面を目撃し体感していく。彼らの心は壊れずにいるのだろうか?

僕が初めてそう考えたのはニューヨークタイムズのwebサイトで見た次の1枚だった。
*瓦礫から遺体を抱き上げようとする自衛隊員(2011年3月12日撮影)

左の隊員が泣いているのがわかる。そして他の隊員のやりきれない表情。いったい1日に何度こんな体験をしなければならなかったのか?


さらにその数日後に「災害派遣、現場自衛官から上がる悲痛な声(※注)」という手記を読んだ。
現場で瓦礫の撤去作業と行方不明者の捜索に従事する自衛隊員からの生の声だった。想像以上に過酷な状況で、それでも収容した遺体に最大限の敬意といたわりを払っての活動に胸が詰まる。

これで気持ちが決まった。
被災地支援の活動は引き続き続ける。でも自衛隊のみなさんのためにも何かしたい。


そんな気持ちを4月3日のイベントの共同発起人である山寺宏一さんに伝えたが、その時には山寺さんのお父さんが、かつて自衛隊に勤めていたことは全く知らなかった。
(→その2へ)


※注…このタイトルでぜひ検索を。ただし手記の投稿が4月14日以前であることを踏まえつつ読んで欲しい。状況は改善された部分もあるが、何も変わっていない部分もある。そして行方不明者の捜索については時間の経過と気温の上昇で、さらに困難な状況となっている。