毎週水曜恒例、エッセイ再録シリーズ。

今日お送りするのは、ためになるようなどうでもいいような。
的を射てるような、若干ハズしているような。

今から8年前。35才頃の作品。
前置きが非常に長いです。


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「Q or O」


あなたは「オバケのQ太郎」という漫画をご存じか?

さあ、突然ですがここでお送り致しましょう。
「知ってるようで意外に知らなかったオバQ講座」!


1,連載開始は1964年(昭和39年)、週刊少年サンデーにて。

2,作者はドラえもんで有名な藤子不二雄(藤本弘と安孫子素雄のコンビ名)、と思われているが、連載開始時においては「藤子不二雄とスタジオゼロ」名義となっていた。
このスタジオゼロというのは藤本、安孫子の他に鈴木伸一、石森章太郎、つのだじろうの5人で設立した有限会社で、それらのメンバーや他の漫画家らも執筆に関わっていた。
例えば「よっちゃん」「ゴジラ」などの脇役キャラは石森が、背景は北見けんいちが担当する、といった具合。

【参考:それぞれの後年の代表作】
・石森章太郎:「仮面ライダー」「サイボーグ009」「HOTEL」等
・つのだじろう氏:「うしろの百太郎」「恐怖新聞」等。つのだ☆ひろの兄ちゃん
・北見けんいち:「釣りバカ日誌」

3,1965年(昭和40年)テレビアニメ化。軒並み視聴率30%を超える国民的人気番組に。

4,1987年(昭和62年)、藤子不二雄のコンビ解消により、他の藤子不二雄作品は「藤子F不二雄」「藤子A不二雄」と明確な作者表記がされたのだが、「オバQ」だけは「藤子不二雄」名義のまま。

5,1989年、「黒人差別をなくす会」という団体が「国際オバケ連合の巻」の中に黒人差別を思わせる部分があると抗議。それを出版者側があっさりと認めてしまったため、それ以降、現在まで本屋で見かける事が少なくなり、古本屋では「国際オバケ連合の巻」が収録された単行本が高額で売買されている。


ね?意外に知らない事多かったでしょ?(って、俺もさっき調べたんだけど)
ネットってほんとに便利だなあ。


で、次に登場キャラの紹介。
まずは主人公Q太郎、そして弟のO次郎(オー次郎と読みます)、他にはアメリカオバケのドロンパ、女オバケのP子とU子。
オバケ以外ではQ太郎の居候先の子どもで正太、ラーメンばっかし食べてる小池さんっつうのもいたね。

個人的に興味深いのが兄弟であるQ太郎とオー次郎の会話だ。
オー次郎という小さなオバケは「バケラッタ」としか言わない。(たまに「ダメラッタ」とか言う時もあり)
怒った時には「バケラッタ!バケラッターーッッ!!!」と暴れ、嬉しい時には飛び跳ねながら「バケラッタ!バケラッタ!」とはしゃぐ。

とにかく全てがバケラッタ。

「はい」もバケラッタ。

「いいえ」もバケラッタ。

「おやすみ」もバケラッタ。

寝言もバケラッタ。

朝、目が覚めて第一声がバケラッタ(目をこすりながら)。

…ああ。…それぞれ微妙にニュアンスが違うのだけれどもこうやって文字にするとほんとに全部おんなじ…。


私:くーっ!このオー次郎め!何でお前はバケラッタしか言わねーんだよっ!

オー次郎:バケラッター。(すまし顔で)


…という具合に全ての会話が「バケラッタ」のみのオー次郎なのだが、ご存じの通り、兄のQ太郎にはオー次郎の言っている事が完全にわかるのである。


オー次郎:バケラッタ。バケバケラッタ、バケラッター。マダラッタ?

Q太郎:正ちゃん!オー次郎がこう言ってる。「昨日食べた鶏肉って、あの幻の鶏肉と言われる秋田県でしか飼育されていない比内鶏だとマスターは言っていた。でも本当かどうかは怪しいもんだ。だって本当の比内鶏を飼育しているのは秋田県でも十数軒のみらしいからね。大体、食材の産地の偽装が取り上げられて著しいこのご時世じゃ、それが本物の比内鶏かどうかなんてわかりゃしないよ。結局ね、その店を信じられるかどうかってことなんだよね。ところで昨日買ってきた白くまバーってまだ残ってる?」

…とまあこんな感じ。
Q太郎あってのオー次郎なのだなあ。



はい、以上、非常に長かった前置き終わり。

こっからがいよいよ今回の本題です。
人間関係に悩むあなたにひとすじの光を当てちゃう名言。


…それではいきます。これ!


「全ての人間はQ太郎かオー次郎に分けられる」(坂本サトル名言集より)


あなたの周りにはいないか。「バケラッタ!」的な途中説明の全くない話をすることが多い人が。
あなたの周りにはいないか。その途中説明の全くない話が、なぜか理解できる人が。

ある日、ふとそう思って周りを見回してみるとこれがもう当てはまること当てはまること。
しかも、見事なまでにオー次郎的人間のそばにはQ太郎的人間が、あたかも通訳のようにセットでいるのだ。

ほら、ちょっと自分の身近な人に当てはめてみ。
あいつはQだな、あの子はオーだな…と。


そしてもっと掘り下げると次の事がわかる。

「人は相手によってQ太郎になったりオー次郎になったりもする」


自分よりも「オー度」の高い人間に出くわした場合、普段はオーだった人がQに変化することがある。
それもほぼ無意識のうちに。
この場合、普段はオーだが、潜在的にQの資質も持っていた、ということになるだろう。
逆に普段はQだが、よりQ度の高い人間と一緒にいる時にはオーに変化するというパターンもある。

ということは人間は細かく4つの種類に分けられるということだ。

1「完全なるオー次郎」
2「普段はオー次郎だがQ太郎の資質あり」
3「普段はQ太郎だがオー次郎の資質あり」
4「完全なるQ太郎」
(ちなみに私は3です)

そして次の2つの事が言える。

・「完全なるオー次郎同志では会話にならない」
(まれに非常に相性の良いオー次郎同志の場合、他の人には全く理解できない会話をすることが可能)

・「完全なるQ太郎同志では、お互いに気を使いすぎて疲れてしまう」


よって結論。

「Qとオーの役割をはっきりさせるのが良い人間関係を持続させるコツ」

そしてもうひとつ。

「Qとオーならうまくいく」


さてと、学会にでも発表するかな。(何学会だよー)



子ども向けの何かが大ヒットする時に、そこには密かに大人へのメッセージが隠されている。
たとえそれが作者の意図するものではなかったとしても。
オバケのQ太郎が国民的人気漫画となったのは、意外にそういった理由からだったのかもね。

さて、あなたはQ?それともオー?



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久々に読み返してみると、「若いなあ」とちょっと照れつつも思い切りがあってよろしい。

日頃、人間関係で悩むあなたに参考までにお送りしてみました。
それにしてもなぜこの時にQ太郎を題材にしたのかが思い出せまへん。