近年、動物福祉倫理学者や獣医学者らは、ペットを人間らしくするための行為が行き過ぎではないかと疑問を投げかけています。

 

人として扱えば扱うほど、ペットは自分の持って生まれた性質を自由に表現することができず、生活は制限され、飼い主に依存するようになり、病気を発症したり問題行動を起こしたりするようになると彼らは主張しています。

 

その昔、自由に家の外に出て捕食を楽しんでいた猫、庭で走り回っていた犬、大空を飛び回っていた鳥たちが、一生の大半を屋内で過ごすようになって40年以上が経ち、レストラン、オフィス、店舗、ホテル、ドッグランが設置された公園など、ペットを連れて行ける人間の空間は増え続けていますが、ペットの自立性の向上にはつながっていません

 

閉じ込めたり隔離したりすることは、動物の分離に対する不安と攻撃性を増大させます。

 

動物を飼いならすということは、常にその動物の性質と我々人の性質とのバランスをとる必要があります。

 

バーナード大学の犬の認知研究博士は、「自由に歩き回る犬は寿命が短く、食べ物の保証もないが、すべての選択を自分で行うことができる。社会全体を危険にさらさずに、犬の人生を選択肢でより豊かにする方法だ。」と言います。

 

スウェーデンでは、ペットを長期間家に一人で置いておくことは違法で、スウェーデンとフィンランドでは、家庭内で動物をクレートに入れることは違法です。

 

動物と人間の関係を研究するウェスタンカロライナ大学の心理学名誉教授は、「犬猫を自律的な生き物として見れば見るほど、ペットとして飼うことを正当化できなくなる」と述べています。

 

そして彼は、休暇を過ごしたトバゴ島で沢山の野良犬を観察し、「マンハッタンで甘やかされて暮らすのと、トバゴで友達と遊ぶ犬になるのとでどちらがいいかと聞かれたら私はトバゴの犬になりたい。」と結論づけました。

Are We Loving Our Pets to Death? - The New York Times (nytimes.com)

 

我々飼い主は、動物を飼う以上、動物は人間ではないこと、動物は自分の子供ではないことを念頭に、本能をもつ動物の自由を必要以上に奪わないよう愛をもって動物との共同生活をエンジョイしていきたいものです。

 

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