動物にとって最も辛いのは、食欲はあるのに口の中が痛くて「食べられない」、元気はあるのに「歩けない」ではないでしょうか。

 

この「食べられない」病気の代表格として「猫の難治性口内炎」があります。

 

猫の難治性口内炎の原因としては、ネコカリシウイルスなどのウイルス感染症、細菌感染、口腔内微生物に対する免疫の過剰反応などがあげられています。

 

香港メトロポリタン大学の研究者らは、22頭の猫の口腔内から54の分離株を同定した結果、

1.パスツレラ菌(35.2%)、ナイセリア菌(14.8%)、ブドウ球菌( 13.0%)の順に多かった。

2.腸内細菌が口腔内細菌叢から単離された。

3.パスツレラ菌、バチルス菌、ナイセリア菌、エシェリヒア菌、ブドウ球菌など14種類の多剤耐性菌が検出された。

と2023年発表しました。

 

腸内細菌の分離株は、猫がセルフグルーミングする際、排尿後や排便後に生殖器や肛門を舐めて口腔内に腸内細菌が付着したものと考えられます。

 

また、猫の口腔内細菌叢は、食べるフードによってその種類が異なり、細菌が身を守るために形成するバイオフィルムの数は、口腔内の温度や塩分濃度などの影響を受けるとされています。

Oral flora of domestic cats in Hong Kong: Identification of antibiotic‐resistant strains - PMC (nih.gov)

 

良好な口腔内細菌叢を保つには腸内細菌叢と同様に食生活が重要です。

 

猫にとって最も辛い病気の一つである難治性口内炎を予防するには、良好な食生活や口腔内ケアにプラスして、多剤耐性菌を生まないよう抗生物質の使用は極力控え適正に使用すること、排泄後はその部位を優しく拭くなどケアしてあげることなどが重要なのかもしれません。

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