サプリメント(以下、サプリ)は、我々にとっては不足しがちな栄養素を手軽に補充できる便利なもので、ビタミン、カルシウム、鉄、グルコサミン、プロバイオティクス、魚油など、美容や健康のために摂取している人は多いと思います

 

これに対し、ペットに与えるサプリは、医薬品に近い位置付けとして捉えている飼い主が多いように思います。

 

動物における医薬品とサプリの一般的な信頼性について高い順に並べると、

1位:動物用医薬品

2位:人用医薬品

3位:米国製サプリ

4位:米国製以外のサプリ

でしょうか。

 

医薬品は、動物用より人用の方が厳格な基準で製造されていますが、人用医薬品は、対象動物での有効性や安全性が確認されていないため、動物用医薬品の方が信頼性が高いと考えられます。

 

医薬品は、GLP(Good Laboratory Practice)基準に従い毒性試験や安全性試験を行い、GCP(Good Clinical Practice)基準に従い臨床試験を行い、国の審査を受けて信頼性基準に適合し安全で有効と評価されたものだけが、認可を受けた工場でGMP(Good Manufacturing Practice)基準に従い製造され市場に出回ります。

 

このGLP、GCP、GMPの基準は厳格なもので、承認前と、GMPは市販後も5年ごとに国の査察が入り不正が許されないしくみになっています。

 

食品に分類されるサプリには基本、医薬品のような厳格な基準はありませんが、米国では2010年、サプリの品質確保のためGMP基準が義務化され、FDAによる製造設備の定期検査も行われています。

 

米国製サプリは品質や表示などに対する信頼性が高いことになります。

 

外部による定期的なチェック体制がないと気付かないうちに緩々になり、日本ハム、雪印、不二家、赤福、小林製薬のような知名度の高い企業でも不祥事を起こしてしまうのです。

 

有効性や安全性に関しては、サプリも「臨床試験の結果、プラセボ(偽薬)と比較して〇〇の効果において有意差が認められた」などの論文はありますが、この臨床試験は、医薬品の臨床試験(GCP)とは雲泥の差があります。

 

医薬品の有効性や安全性を評価するための臨床試験(GCP)は、国に認められた科学的なプロトコルに基づき実施されます。

 

定められた症例数をエントリーさせ、実薬群かプラセボ群かなどの割付けはランダムに行われ、通常ブラインドがかけられ、試験が終わるまで医師(獣医師)も患者(飼い主)も何を投薬されているかが分からないで評価するなど、企業の介入が許されない仕組みになっていますが、サプリはそもそも基準がなく、結果が思わしくなければ都合のよい症例を後から追加したりなどいくらでも操作できるため、容易に思い通りの結果が出せます。

 

 

そのため、医療行為としてサプリを勧める医師はいませんが、動物病院の獣医師にはいます。

 

医学部と獣医学部の教育の違いもあり、動物病院の獣医師に医薬品のGLP、GCP、GMPなどを理解している人は殆どおらず、飼い主側も安価な治療を求める人が多いことから、獣医療の一環としてサプリを勧める獣医師が多いのが実状です。

 

「病気を予防したいから」、「何もしないよりした方がよいから」、「薬は高いから」などの理由で、医薬品ではなくサプリを選択している飼い主は、本当にそのサプリは必要なのか?、このメーカーの製品でよいのか?、など今一度見直してみてもよいかもしれません。