以前、なぜ動物病院によって扱う薬やフードが違うのかブログに書きましたが、

動物病院で扱う薬やフードが違うわけ | 動物病院の選び方と諸々 ~ペットと飼い主の幸せのために~ (ameblo.jp)

未だに動物病院が業者と癒着していて利益率を上げたいからと誤った情報を発信している人を見かけました。

 

動物病院の院長も人ですから、当然、業者の担当によって、仲良しの人もいれば気に入らない人もいるでしょうが、金銭面で癒着していて一定の業者の製品しか置かないというのは業者の立場からしても無理ですね。

 

自分が薬局を開いたときのことを想像すれば容易に分かることですが、客が欲しがる薬を全て在庫するのはスペース的にもマンパワー(管理)的にも不可能で、その必要性もありません。

 

動物病院に在庫する薬が多ければ多いほど場所や棚などの確保が大変で、それを管理する人の仕事も増えるため、コストが嵩みそれは飼い主負担額の増加に繋がります。

 

調べればわかることですが、あらゆる飼い主を満足させるために薬やフードを沢山在庫している動物病院はお高いはずです。

 

一般的な動物病院の場合、例えば、降圧剤であるACE阻害剤の有効成分には、エナラプリルマレイン酸塩(エナカルド錠、リズミナール錠など)、ベナゼプリル塩酸塩(フォルテコール錠、ベナゼハート錠、ワンハート錠など)、テモカプリル塩酸塩(エースワーカー錠など)、アラセプリル(アピナック錠など)などがありますが、各々の作用に大きな違いはないため、院長が何らかの理由(効果、副作用、利便性、価格など)でよいと考える製品だけを在庫していると思います。

 

フィラリアやノミダニ薬なども同じです。

 

どんな商売も同じで、動物病院も当然利益率は考えます。

 

しかしながら、薬の違いによる利益率の差は小さいため、どちらかというと、飼い主負担額を気にして、「同じ作用の薬なら出来る限り安く仕入れて飼い主負担額を下げる」志向の院長が多いのが実状です。

 

少なくとも筆者が知る院長に「薬で儲ける」派の人は一人もいません。

 

利益率が大きいのは、医療設備や獣医師の技術を要する手術領域です。

 

飼い主がネットで調べて、「うちの子にはこの薬を飲ませたい!」とかかりつけの動物病院に行ってそれがなかったからといってその動物病院に問題があると考えるのは大きな間違いです。

 

まずは、その薬を置いてない理由を獣医師に聞いてみてください。

 

その理由に納得できなければ別の動物病院に行けばよいでしょうが、獣医師に確認もせず、誤った一飼い主のブログ情報によって「動物病院が業者と癒着していて利益率を上げたいから」と決めつけ、その病院をよくないと考えるのはそれこそよくないことと思います。