猫の腎性貧血の治療薬として、今月、世界初の猫用のエリスロポエチン製剤が発売されました。

エポベット(AHB1).pdf (zenoaq.com)

 

この製剤を腎性貧血の猫に2週間に1回皮下注射すると、8週後、12週後にヘマトクリット値が25%以上回復し、84.2%の子に有効だったとされています。

 

腎臓病などによって腎機能が低下すると、腎臓からエリスロポエチンというホルモンが正常に分泌されなくなり、赤血球を作る造血機能が低下し、貧血状態に陥ります。

 

赤血球は全身に酸素を運ぶ役割をもつため、赤血球が少なくなると、体中の臓器が酸欠になり、腎臓含め全ての臓器の機能が低下し、命が危険に晒されます。

 

軽度の貧血なら、食事やサプリメントにより赤血球を作るを補給することである程度改善しますが、腎臓病の進行とともに貧血状態が重度になってくると、鉄の補給だけでは間に合わず、これまでは、ヒト由来のたんぱく製剤で治療するしかありませんでした。

 

異種たんぱくを体内に入れると、当然、アレルギー反応などの副作用の発現や、抗体ができて効かなくなることなどが懸念されましたが、この猫のエリスロポエチン製剤は、薬効時間が長く、副作用が少なく、貧血の初期段階から継続して投与することも可能と考えられます。


慢性腎臓病は高齢猫の死因第一位の留意すべき疾患なので、猫用の腎性貧血の治療薬が出たことは猫の飼い主にとっては朗報ですね。

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