細菌が抵抗力をもち、抗菌薬が効かなくなる耐性菌を増やさないようにするため、国は抗菌薬の使い方に規制をかけ、医師らも積極的に取り組んできましたが、耐性菌は、減るどころか増え続けています。

 

2019年には、世界で127万人が耐性菌により死亡しています。

新型コロナの2020年の死者数は188万人ですので、規模感は掴めるかと思います。

 

2020年の米国における耐性菌による院内感染例は、少なく見積もって前年比15%増で、耐性菌が原因で約3万人(新型コロナによる死者の約10%)が死亡しています。

コロナ下忍び寄る耐性菌: 日本経済新聞 (nikkei.com)

原因は、新型コロナ流行初期、患者を助けようと抗菌薬が過剰に投与されたためとされています。

 

英国の調査レポートでは、何も対策を講じなければ、2050年に耐性菌で1,000万人が死亡し、がんによる死者数を上回ると試算しています。

 

抗菌薬を使うこと自体が耐性菌を生むリスクになります。

 

とはいえ、抗菌薬はなくてはならない存在で、感染症による肺炎などだけでなく、抗がん剤治療や開腹手術、輸血などにも必要で、使わないわけにはいきません。

 

重要なのは、命に関わらない風邪や皮膚病などで安易に抗菌薬を使用しないことです。

 

人医療だけでなく獣医療においても、農水省の規制のもと、抗菌薬を適切に使うよう取り組んでいますので、安易に抗菌薬を使う獣医師は減ってきていると思います。

 

感受性試験をせず、最初から広域抗菌薬を使ったり、適当にA剤を使ってみて効かなかったらB剤を使う、B剤も効かなかったからC剤を使うなどの抗菌薬の使い方をしている獣医師はもういないとは思いますが、もし、そういう場面に出会ってしまったら、「ちょっと待った!貴方は本当にそれでいいと思っているのか!?」獣医師に問いかけていただきたいと思います。

 

耐性菌を増やさないようにするには、医療従事者だけでなく、患者や飼い主一人ひとりが取り組んでいかなければなりません。

 

人類自らの所業が原因とはいえ、温暖化、未知の感染症、耐性菌など...難題山積ですが、個々人がしっかり向き合っていく必要があると思います。

 

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