最近、私は佳子さまの影響で

とあるファッションブランドにハマっている。

種類豊富で素材も良くて、なによりお安いのだ照れ

会社の皆は、ときたま私が1990円のトップスを着ていることなんて、知らない。


さて、皇室のニュースを見るたびに

思い出す男子がいる。


その人の名は、М。

職業、医師。

循環器内科の開業医だった。


医者、という響きは、

ほかの難点を、おおむね隠してくれる。


医者は、

医者になるための勉強しかしていないんだから、

変わっているし、

世の常識なんて知らなくて当たり前だ。


『医者だから仕方ない』で、

なんでも許せる、のである。

条件、基準なんて、関係ない。


さて、Мと食事に行った時のエピソード。


なぜか皇室の話題になった。

М『ユージンさまも大きくなったよね』


会話の中に出てくるユージンさまを 

私は知らない。


少し経って、まさかと気づいたのだが、

この人、悠仁(ひさひと)さまのことを

ユージンさま、と呼んでいるのである。


私はこれまで男子のこと言うことに

否定や訂正したことはない。


このときも、訂正することなく、そのまま終わった。


また、こんなエピソードもあった。

その時はこれまたなぜか、政治の話題だった。


М『かんさんも、大変だよね』


かんさん?

民主党の菅さんが総理大臣だったのはもう十年くらい前のことで、今やニュースにも出ないけど…


まさか、この人、現在(当時)の

総理の菅(すが)さんのこと、

かんさん、って言っている、、、


なんでだろう、

普段、テレビを見ていれば、決して間違えることのない名前なのに、どうやったらこんな間違いをするのだろうか。


なんとなく、その理由が分かった時があった。


それは、私の誕生日。


『何が食べたい?』と聞かれたので

本当はフレンチ、とでも言いたいところだっだが

フレンチ、などは女性から言うことではないし

私はただでさえ、お高く見えがちなので

『イタリアン』と答えてみた。


イタリアンだったら、お店は沢山あるし、

カジュアルな所もあって、きっと選びやすいだろうと、私なりに考慮した結果だ。


予想どおり、Мからは『了解!!』と

明るい返事が来た。


そして、当日を迎えた。


着いたお店は、

まさかの、、、

鉄板焼。


鉄板焼といっても、

ステーキをシェフが目の前でジュージュー焼いてくれるステキなお店で、食べ物としてもとても好みだ。


しかし、なぜに鉄板焼になったのか?


別にいいが

あの時、たしかに私はリクエストを聞かれたし、

確実に答えた、あのイタリアンはどこへ行ったのか?


彼の中では、鉄板焼もイタリアンの一種なのか?


とても謎めいた一日だった。


要するに、彼は、人の話を聞いていないのだ。

だから、ニュースも、耳に記憶されていないのだ。


その後もいろいろあった。


こんなこともあった。

私が珍しく風邪を引いた時のことだ。

風邪を引いてしまった、とラインしたら

『風邪なら◯◯と◯◯かな』と来た。

普通は、第一声の返事としてはまずは『大丈夫?』というところだが

なぜか◯◯(←薬の成分の名称)が来たのだ。


風邪が余計に悪化して、発熱しそうだった。


いずれにせよ、

この人とは、

ずっと噛み合わないと思った。


そう、誰に対しても

相手に対する尊敬、関心、共感、

思いやりがないのだ。


友だちいるのかな?

聞きたかったが聞けなかった。 

が、そういえば、会話に

友だちは一人も出てこなかった。



さて、この話には続きがある。


昔からお世話になっている

デザイナーのSさんに、

当時、彼のことを話した。


すると『一度、うちに連れておいでよ!料理振る舞うからさ』と言われた。


Sさんは、料理がとても上手だ。


よく打合せの後は、決まって

つまみとお酒が出てきた。


なので、打合せは常に夕方に設定していた。


『もう(打合せ終えて)いいか?』と

仕事を早々に切り上げて

大きなテーブルから書類やデザインカンプを

さっさと片付けていたのが懐かしい。


そんなわけで

そこまでSさんが言うなら、と

そうすることにした。


私が少し思案したのは

彼をどう誘い出すかだった。


すでにレストランを開いているのなら

話は簡単だが、

あくまでもマンションの一室、事務所なのだ。


そこで、私は

『デザイナーの先生が、最近

小さなレストランを開くことになって、

味見に来てほしいと言われている。

一緒に行かない?』


と誘い出すことにした。


彼は不思議に思うこともなく、誘いに乗ってきた。


そうそう、書いていて思い出したことがある。


当日、駅で待ち合わせしたのだが

普通、『駅の改札を出たところ』と言えば

SuicaやPASMOをピッとタッチした先のことを

指す、と思う。


彼はなぜか、そこではなく

階段を上がって遙か地上にいた。


待ちあわせもロクにできない男だった(笑)


それはさておき、二人でSさんちを訪問した。


どうせお金は受け取らないので

途中、赤ワインを買って持参した。


その日のSさんは

普段以上にお洒落で

シェフらしい素敵なエプロンをして

カウンターも、まるで本当のレストランのような

ランチョンマットに箸置きにワイングラスが準備されていた。

BGMだってバー並みに流れていた。


Sさんは、次々に料理を出してくる。


ちなみに、事務所は改装されて

カウンターで食べられるいい感じになっている。


程よいタイミングで

Sさんは、自分の体のことを相談し始めた。

(過去、胃の手術をしている)


もちろん、わざと、だ。


まずは、本当に医者なのかを見極めているのだ。

私は隣で見ていて、笑いそうになった。


彼はマジメに医療用語を交えて答えている。 

一応、本当の医者だ(笑)


その後もいろいろ、私が聞けないことを

代わりに聞いてくれた。


ふと、冷蔵庫を見ると

『本日のメニュー』のメモが

鉛筆で書かれていた。


涙が出そうになった。


事前にかなり考えてくれていたことや

今日の振る舞いに

本当に感謝の気持ちで溢れた。


宴も酣になったころ

Sさんは『いい店あるから、軽く外で一杯行こう』と、近くのバー二軒に連れ出した。


一軒は、以前Sさんと行ったことのある

女性バーテンダーのお店だ。

もう一軒も、女性店主の小洒落た店だった。


もちろん目的は分かっている。


Sさんの愛情を感じた良い一日だった。


さて、数日して

仕事帰り、Sさんちに挨拶に立ち寄った。


案の定、Sさんは、あれから

バーテンダーの彼女たちに

『彼をどう思ったか』ヒアリングに行っている。


それを含めて『良いんじゃないか?ここらで手を打とうじゃないか』と言うのだ。


そして、そのまた数日後、

私は彼と会った。


私だったら『この間は良い時間だったね。Sさんに宜しく伝えてね』くらい言うだろう。


が、彼は自分からは一言も言わない。


私から話題を出してみると

『明るくいいオジサンだったね』の一言だった。


さすがに頭に来た。


言葉もだったし、言い方にも全く

想いが感じられなかった。


いつも私は、自分のことを何か言われることよりも

大切な人に対して、礼儀のない態度を取られることが、何よりも嫌いだ。


だいたい、デザイナーの大先生に対して

オジサンはないし、

宜しく、の一言も添えられないのか?


やはり、何より、心がないから

言葉が出ないし、

そんな育ちの人はゴメンだ。


こういう人は、

誰かにご馳走になったり

お世話になったりした時、

次に会った時にきちんとお礼も言えない人だ。


その後、Sさんとは

Мのことは一つの笑い話になっている。


ブログを書いていて、久しぶりに

Sさんに連絡しようと思った。


Мのことを書いていたのに

Sさんとの思い出が溢れてきた。


一方で、この男子から学んだこともある。


それは、誰かを見極める時、

『仮にこの人と結婚したとして

翌日にこの人が事故で半身不随になったとして

見捨てずに介護できるか?』

と考えることが判断の一つの目安になるのではないかということだ。


ニュースに出てくるような相当なお金持ちであればお金で解決できるので話は別だが

一般的に、こう考えると

相手を心の眼で見られるはずだ。


以上、噛み合わない男、Мとのエピソードだった。