私も数十年前、潰瘍性大腸炎の診断を受け、3か月程入院治療をした経験があります。症状は、左下腹の痛み・下痢と粘血便でした。入院治療後数か月は同様の症状でしたが、いつの間にか回復し現在は全く異常は有りません。退院後投薬治療をしましたが、薬の名前は記憶にございません。ショボーン

検索しても、殆どで完治する治療法は無いと書かれていますので、私の場合は何になるのでしょうか?

私は緩解中が数十年も続くとは考えられませんので完治と自己診断しています。

 

大腸とは

大腸は、口に近いほうから盲腸、結腸、直腸に分けられ、肛門に続いています。

大腸とは

監修:インフュージョンクリニック 院長 伊藤 裕章 先生/看護師 阪上 佳誉子 氏

潰瘍性大腸炎(UC)とは

大腸及び小腸の粘膜に慢性の 炎症 または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を 炎症性 腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)といい、狭義にはクローン病と潰瘍性大腸炎に分類されます。


潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の 炎症性疾患 です。特徴的な症状としては、血便を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。この病気は病変の拡がりや経過などにより下記のように分類されます。

1)病変の拡がりによる分類:全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型

2)病期の分類:活動期、 寛解 期

3)重症度による分類:軽症、中等症、重症、激症

4)臨床経過による分類: 再燃 寛解 型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型

潰瘍性大腸炎(指定難病97) – 難病情報センター (nanbyou.or.jp)

 

原因

潰瘍性大腸炎の原因は明らかになっていません。 腸内細菌の関与や自己免疫反応の異常、食生活の変化(欧米型の食事)が考えられていますが原因は不明です 

潰瘍性大腸炎は家族内での発症も認められており、何らかの遺伝的因子が関与していると考えられています。 欧米では患者さんの約20%に 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎あるいはクローン病)の近親者がいると報告されています。

遺伝子要因と食生活などの環境因子が関係し異常な免疫反応が引き起こされて発症すると考えられるようになっています。

潰瘍性大腸炎とは|UC Tomorrow|ファイザー

潰瘍性大腸炎の原因

監修:インフュージョンクリニック 院長 伊藤 裕章 先生/看護師 阪上 佳誉子 氏
医師から難病指定を解除された潰瘍性大腸炎の改善例 | 大阪の整体 創輝鍼灸整骨院 (souki-bam.com)

潰瘍性大腸炎とクローン病は、若年者の肉類に偏った食生活に起因する生活習慣病とも考えられます。 牛乳が両疾患の発症に直接的に関わっているとは認められていません。

ストレスは、腸内環境の悪化や免疫力の低下につながるため、潰瘍性大腸炎のリスク因子の1つと考えられます。 なお潰瘍性大腸炎のリスクにおいて、男女差はありません。

 

症状

 

潰瘍性大腸炎(UC)の症状とは?-武田薬品工業|炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の情報サイト「IBDステーション 」 (ibdstation.jp)

 

初期症状

潰瘍性大腸炎でも軽症の場合はほとんど症状がありません炎症が進むと、下痢、下腹部の違和感、便に血が混じるなどの症状が出ることがあります。

潰瘍性大腸炎とは?

 

初期は下痢や血便以外の症状がほとんどみられません痔による出血と勘違いされやすいため、安易な自己判断は禁物です。 下痢が重くなると、1日に20回以上もトイレに駆け込むこともあります。 さらに症状がひどくなると、発熱や腹痛、貧血、体重減少などの症状が現れます。

 

軽症の潰瘍性大腸炎の場合、炎症によって粘液の分泌が増えるものの、血液が混じることは少なくなります。 炎症部に白血球が集まるため、これが粘液と混じり、白っぽくなって便と一緒に排出されます

 

重症化症状

 重症になると発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こります。 また、腸管以外の合併症として、皮膚の症状、関節や眼の症状が出現することもあります。

合併症

頻回の下痢によって腸内環境が乱れ、ガスが溜まっておならが増えることがあります。重症になると発熱や食欲不振、強い腹痛、排便回数の増加(1日6回以上)、発熱(37.5℃以上)、下血、倦怠感、体重減少などを伴うようになります。 また、粘血便を繰り返して貧血や脱水症状が引き起こされることによって、顔面蒼白(顔色が青白くなること)や動悸、めまいが現れるケースもあります。

 

直腸に炎症があると、肛門の内側や直腸付近が強く痛むことがあります。 それ以外にも、炎症や、ガスの貯留、炎症により便が上手く出せずに溜まるため、腹部全体の様々な部位に腹痛を生じることがあります。

 

粘液便と血便 腸の粘膜に炎症が起こると、腸液がたくさん分泌されます。 また炎症が起こるとともに、粘膜に白血球が集まり、腸液と白血球が合わさって白い粘液となり、粘液の混じった粘液便が排泄されるようになります。 症状が進行して炎症が広がると、粘膜から出血し、血便が出るようになります。

 

潰瘍性大腸炎の主な症状は、粘血便(粘液と血液が混ざった便)や、下痢、下腹部の痛みです。 潰瘍性大腸炎の患者さんは、大腸の粘膜が傷ついていて出血しやすいため、便に血液が混じることが多くなります。 症状の軽い人では、下痢もなく血液が便の表面に付く程度で、痔による出血と間違われることもあります。

 

治療

潰瘍性大腸炎は、現時点で完治させる治療法はなく、寛解(症状が治まった状態)を維持するため、継続して治療を行う必要があります。 再燃(再び症状が現れること)を防ぐことで、通常の日常生活を送ることが可能です。

潰瘍性大腸炎の治療の流れ

症状別治療方法

最も重症の場合は、大腸切除となります。

 

監修:インフュージョンクリニック 院長 伊藤 裕章 先生/看護師 阪上 佳誉子 氏

 

治療薬

潰瘍性大腸炎の治療に用いられる薬には、さまざまな種類があります。診断後に開始される寛解導入療法では、症状の重さや病変の広がる範囲に合わせて、医師が治療法や使用する薬の種類を決定します。寛解後に再燃を防ぐために行う寛解維持療法では、主に5-アミノサリチル酸(5-ASA)という薬が用いられます。
ここでは、潰瘍性大腸炎の治療に使われる薬について紹介します。

5-ASA製剤

5-ASA製剤は、潰瘍性大腸炎の治療において基本となる薬です。有効成分の5-ASAが、大腸の炎症を抑えます。寛解導入療法では主に軽症~中等症の患者さんで用いられます。寛解維持療法でも多くの患者さんが使用しています。
5-ASA製剤には飲み薬のほか、肛門から薬を入れる局所製剤(坐剤、注腸剤)があります。

5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤・大腸の炎症を抑える・主に軽症~中等症での寛解導入療法・寛解維持療法でも広く使用

ステロイド

ステロイドは、病気の勢いが強い活動期の炎症を抑えるのに効果的で、寛解導入療法で使用されます。寛解維持療法で長期にわたり使用することは基本的にありません
肛門から注入して病変部分に直接ステロイドを届ける局所製剤(注腸剤、坐剤、注腸フォーム剤)のほか、飲み薬、注射剤があります。局所製剤は、主に軽症~中等症の患者さんに用いられ、経口剤は中等症の場合に、注射剤はより重症で症状が強い場合に使用されます。

ステロイド・病気の勢いが強い活動期の炎症を抑える・寛解導入療法で使用・寛解維持療法では基本的に使用しない

免疫調節薬

免疫調節薬は、寛解導入療法でステロイドを使用していた患者さんが、ステロイドの減量や中止により再燃してしまった場合に用いられます。また、後述の抗TNF-α抗体製剤(生物学的製剤)の使用時に併用されます。

免疫調節薬・症状を抑えながらステロイドの減量・中止を可能にする・寛解の維持にも有用・生物学的製剤との併用もされる

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤

潰瘍性大腸炎は、何らかの免疫異常により体内で過剰に作られた炎症性サイトカイン(炎症を引き起こす物質)が、細胞内に信号を送ることで炎症を引き起こします。ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤は、信号が送られる過程で重要な役割を果たしているJAKに結合することでその働きを阻害し、炎症を抑える薬です。
JAK阻害剤は、ステロイドや生物学的製剤など他の治療で十分な効果が得られない場合に経口で投与します。

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤・JAKの働きを邪魔して、炎症を引き起こす信号が送られるのを防げる・ステロイドなどで効果が得られない場合に使用・寛解導入療法、寛解維持療法で使用

抗TNF-α抗体製剤《生物学的製剤》

抗TNF-α抗体製剤は生物学的製剤(生物が作る抗体などのタンパク質を利用して作られた薬)の一つで、炎症の原因となるTNF-αやTNF-αを作る細胞に結合することで、その働きを抑制します。
TNF-α抗体製剤は、炎症の程度が強く、ステロイドなど従来の治療を行っても効果が十分に得られない場合に使用されます。

抗TNF-α抗体製剤・炎症を引き起こす物質TNF-αの働きを抑える・炎症の程度が強く、ステロイドなどで効果が得られない場合に使用・寛解導入療法、寛解維持療法で使用

抗α4β7インテグリン抗体製剤《生物学的製剤》

腸の病変部位は、何らかの免疫異常により大腸粘膜を異物とみなした白血球が集積・浸潤することで炎症が引き起こされています。白血球のうち、リンパ球が腸に移動する際に必要となる分子がα4β7インテグリンです。抗α4β7インテグリン抗体は、α4β7インテグリンに結合することでリンパ球が腸に移動するのを防ぎ、炎症を抑えます。
抗α4β7インテグリン抗体製剤は、ステロイドなどの治療を行っても効果が十分得られない場合に点滴で投与されます。

抗α4β7インテグリン抗体製剤・抗α4β7インテグリンの働きを邪魔してリンパ球が腸に移動してくるのを防ぎ、炎症を抑える・ステロイドなどで効果が得られない場合に使用

IL-12/23阻害剤《生物学的製剤》

潰瘍性大腸炎には、炎症を引き起こす細胞を活性化させるインターロイキン(IL)-12、IL-23という物質が関わっていると考えられています。IL-12/23阻害剤は、これらの物質の働きを抑えることにより、大腸の炎症を抑える薬です。寛解導入療法では点滴で、寛解維持療法では皮下注射で投与されます。

IL-12/23阻害剤・炎症性サイトカイン(IL-12、IL-23)に結合して、その働きを阻害する。・ステロイドなどで効果が得られない場合に使用する。・寛解導入療法、寛解維持療法で使用

免疫抑制剤

免疫抑制剤は重症の潰瘍性大腸炎で使用されます。即効性があるため、ステロイドによる治療を行っても十分に改善しない患者さんの寛解導入療法で使用されます。

免疫抑制剤・重症の潰瘍性大腸炎で使用・即効性・ステロイドで改善しない患者さんの寛解導入療法で使用

抗IL-12/23抗体製剤

抗IL-12/23抗体製剤は中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(点滴)または維持療法(皮下注)で使用されます。

・中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(点滴)または維持療法(皮下注)で使用・ステロイドやアザチオプリンなどで改善しない患者さんに使用

潰瘍性大腸炎の治療に使われる薬|UC Tomorrow|ファイザー
 

潰瘍性大腸炎食事

高脂質の料理(揚げ物、動物脂肪の多い食品など)を控え、また刺激のある香辛料、コーヒー、炭酸飲料、お酒なども控えます。 また冷たい飲み物や、不溶性食物繊維の多い豆類、きのこ、山菜類なども控えめにします。 高エネルギー、高たんぱく、低脂肪で食物繊維も控えめの食事内容が良いでしょう。

お腹にガスが溜まるのはなぜ?お腹が張る原因や考えられる病気について解説!|わかもとラボ (wakamoto-pharm.co.jp)

悪玉菌を増やす食べ物を控える

動物性たんぱく質や脂質が多い食事、食品添加物が多く含まれる食品(ハムやベーコンなどの加工品・コンビニ弁当など)は、悪玉菌を増やす原因になります。

 

抗生物質は、細菌の増殖を抑える働きをする薬です。そのため、抗生物質を服用したり、抗生剤を投与されて育った食肉を食べたりすると、腸内細菌のバランスが乱れる可能性があります。

 

悪玉菌を増やす食べ物は控えて、善玉菌を増やし、腸内環境を整える作用のある食品を意識的にとりましょう。

 

腸内環境を整える作用がある食品

①プロバイオティクス

腸内フローラのバランスを改善し、宿主の健康に良い影響を与える生きた微生物(善玉菌)です。

乳酸菌、ビフィズス菌、麹菌、納豆菌、酪酸菌などが当てはまり、味噌、ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、甘酒といった発酵食品に含まれています。

 

②プレバイオティクス

腸内の善玉菌のエサになり、善玉菌を育てる難消化性食品成分のことを指します

食物繊維・レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)・オリゴ糖などが当てはまり、冷えたご飯、海藻類、根菜類、大豆食品などに含まれます。

ここで注意したいのが、腸内環境を整える作用がある食品が体質によってあわない人がいるということ。

 

先述したように、過敏性腸症候群(IBS)や小腸内細菌増殖症(SIBO)の人は、FODMAP(短鎖炭水化物)のような小腸内で分解・吸収がされにくい糖類を摂取すると、ガス溜まりやお腹の張り、下痢などの症状が現れる可能性が高いです

お腹にガスが溜まる原因はさまざまなので、症状が続くようなら医師に相談するようにしましょう。

 

チーズやヨーグルトなどの発酵食品は、乳酸菌の働きで乳糖がある程度分解されており、乳糖不耐症の人が食べても問題がないことが多いとされています。 発酵食品はタンパク質もある程度分解されていますので、消化吸収にも優れています。

 

潰瘍性大腸炎の人はラーメンを食べてはいけない

炎症性腸疾患の人が食事指導で「脂質を一度に多く摂り過ぎないように」と指導されるのは、腸管が刺激され、腹痛や下痢を招く恐れがあるからです。 麺類の中で脂質が多いものといえば、ラーメンでしょう。 特にスープを鶏ガラや豚骨をベースにしているものは脂質が多くなりがちです。

潰瘍性大腸炎になり易い性格

 

 

かかりやすい人の特徴ってあるの? 科学的根拠に基づいた根拠があるわけではありませんが、潰瘍性大腸炎に罹患しやすい人の特徴として、日々ストレスを受けやすく、生活全般や病気・仕事などさまざまなことを気にする方や神経質な方が挙げられます。
ストレスは、腸内環境の悪化や免疫力の低下につながるため、潰瘍性大腸炎のリスク因子の1つと考えられます なお潰瘍性大腸炎のリスクにおいて、男女差はありません。
 
再燃
潰瘍性大腸炎の症状は再発します。 ときに突然再発して重症化することがあり、典型的には、粘液と血液を含む激しい下痢、高熱、腹痛のほか、ときに腹膜炎(腹腔の内側を覆う膜の炎症)がみられます。 このような発作の間は、体調が非常に悪化します。
よくある再燃のきっかけは、食あたり、過労・ストレスの蓄積、感冒・インフルエンザ感染症などですが、原因なく再燃することもあります。 特に環境の変わる新年度や、秋期から冬期にかけて感冒やインフルエンザ感染症の流行期は注意を要します。
潰瘍性大腸炎の発症時や再燃時(再び症状が現れること)には、「寛解導入療法」により症状が治まった状態(寛解)を目指します。 寛解に至った場合は、「寛解維持療法」により、再燃(再び症状が現れること)を防ぎ、寛解の状態をより長く保つことを目指します。
潰瘍性大腸炎の重症の再燃時には、腹痛が強く、口をきくのもつらくなることがあります。
 
潰瘍性大腸炎その他
患者数最も患者数が多い「難病」は、瘍性大腸炎です
以前はまれな病気とされていましたが、近年増加の一途をたどり、現在わが国には潰瘍性大腸炎は約22万人、クローン病は約7万人の患者さんがいると推測されます。

 

潰瘍性大腸炎の緩解と完治

緩解とは、治療を続けながら病気の症状がほぼ消失した状態を指します。病気が治る可能性もありますが、再発する可能性もあるため、治療の継続や定期的な検査が必要です1。緩解には「臨床的緩解」「構造的緩解」「機能的緩解」の3つのタイプがあり、それぞれ病気の活動性の低下や身体機能の改善を示します

 

一方で、完治は、治療を終えた後も病気の症状が消失し続ける状態を意味します。完治は、病気が完全に治癒し、再発のリスクが非常に低い状態です

 

緩解状態がどの程度続けば完治と見なされるかは、病気の種類によって異なります。例えば、がんの場合、再発がなく緩解状態が5年以上続いた時に完治とされることがあります

 

しかし、これは一般的な目安であり、個々の病気や患者さんの状況によって、完治を宣言する基準は変わる可能性があります。

潰瘍性大腸炎(UC)は、原因不明の慢性疾患であり、治療の継続が必要な病気であるため「完治」という言葉は通常使用されません。

 

クローン病とは
大腸及び小腸の粘膜に慢性の 炎症 または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を 炎症性 腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)といい、狭義にはクローン病と潰瘍性大腸炎に分類されます。

クローン病も、この炎症性腸疾患のひとつで、1932年にニューヨークのマウントサイナイ病院の内科医クローン先生らによって限局性回腸炎としてはじめて報告されました。

クローン病は主として若年者にみられ、口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こりえますが、小腸と大腸を中心として特に小腸末端部が好発部位です。非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在すること)を特徴とします。それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。
 
クローン病と潰瘍性大腸炎の相違
大きな違いは、潰瘍性大腸炎が主に大腸粘膜でびらんや浅い炎症を起こし、クローン病は口から肛門までの消化管全域に炎症を起こして炎症が深部に及ぶ傾向があるという部分です。 これによって、クローン病は栄養障害を起こすことが多いため栄養療法が必要になるなど治療法が一部異なります。 そのため、診断では正確な鑑別がとても重要です。
 
 
原因
はっきりとした原因は不明ですが、遺伝的な要因食事や腸内細菌などの環境的な要因を背景に免疫機能の過剰・異常が生じ、病気が発症・持続するものと考えられています。 環境因子では脂質や糖質の過剰摂取との関連が指摘されており、我が国の研究でも脂肪や糖質を多く含むファスト・フードとの関連が知られています。
潰瘍性大腸炎とクローン病は、若年者の肉類に偏った食生活に起因する生活習慣病とも考えられます。 牛乳が両疾患の発症に直接的に関わっているとは認められていません
 
症状
クローン病の症状は患者さんによってさまざまで、侵される病変部位(小腸型、小腸・大腸型、大腸型)によっても異なります。 その中でも特徴的な症状は腹痛と下痢で、半数以上の患者さんでみられます さらに発熱、下血、腹部腫瘤、体重減少、 全身倦怠感 、貧血などの症状もしばしば現れます。
炎症がひどくなると、発熱、下血、体重減少、倦怠感、貧血などの症状が発現することもあります。 潰瘍ができたり、治ったりするうちに、腸は徐々に細くなり狭窄を起こすことがあります。
 
クローン病の症状は過労や過度のストレスによって悪化する場合がありますので、日々の生活においては適度な安静と十分な睡眠をとり、ストレスのない生活を送るようにしましょう。 趣味の時間を楽しむなどストレスをためないよう、自分なりの対処法を身につけておくことも大切です。
 
検査
治療
クローン病の治療としては、内科治療(栄養療法や薬物療法など)と外科治療があります。内科治療が主体となることが多いのですが、腸閉塞や穿孔、膿瘍などの合併症には外科治療が必要となります。
 
【外科治療】
高度の狭窄や穿孔、膿瘍などの合併症に対しては外科治療が行われます。その際には腸管をできるだけ温存するために、小範囲の切除や狭窄形成術などが行われます。また難治性痔瘻などの肛門病変には切開排膿やドレナージ術が行われます。適用が限定されますが難治性痔瘻にはヒト体性幹細胞を用いた治療も試みられています。
症状が治まっている寛解状態でも、クローン病はひそかに進行しているケースが多いため、定期的に受診して状態を確認しながら治療を続けていく必要があります

クローン病の治療は、寛解期になってからも少なくとも2〜3年は寛解維持療法として栄養療法や薬物治療を継続することが必要です。 しかし寛解維持療法を中止すると再燃することも多く、現在のところ明確な治療終了の基準はありません
 
【内視鏡的治療】
クローン病の合併症のうち、狭窄に対しては、内視鏡的に狭窄部を拡張する治療が行われることもあります。
 
【内科治療】
治療薬

まずは薬物治療について解説します。クローン病の治療では主に以下の薬物が使用されます。
・5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤
・ステロイド
・免疫調節薬
・生物学的製剤
それぞれがどのような薬物でいつ使用するのかを順番に確認しましょう。

5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤

剤形:経口剤

クローン病治療の基本薬で、以前から使われてきました。内服した薬は腸で放出され、直接腸の粘膜の炎症を抑えます。寛解の導入だけでなく寛解の維持にも用いられます。

 

ステロイド

剤形:経口剤、注射剤

5-ASA製剤の効果が不十分だった場合や炎症が強いときに、短期間用いて寛解導入をはかるのが一般的です。再燃を防ぐための寛解維持療法にステロイドを長く用いることはありません。

 

免疫調節薬

剤形:経口剤

免疫調節薬はもともと臓器移植の際に免疫反応を抑えるために開発された薬です。主に中等症以上の患者さんの寛解導入目的や、ステロイド依存の患者さんでステロイド薬の減量および中止と寛解維持を目的に使用されます。

 

生物学的製剤

剤形:点滴、注射剤

剤形:点滴、注射剤 生物学的製剤とは化学的に合成したものではなく、生体が作る物質(タンパク質)を薬物として利用する薬のことです。従来の治療ではなかなか炎症を抑えられない場合に用いられる強力な治療薬です。寛解の導入だけでなく寛解の維持にも用いられます。

 

新たな治療薬

クローン病の新たな治療薬として、スキリージ(一般名:リサンキズマブ)が加わりました。 実際にクローン病の患者さんに投与できるようになったのは2023年1月からです。 このお薬は、クローン病の他にも乾癬という免疫の異常によって皮膚炎が起きる病気の治療薬としてすでに使われています。

血球成分吸着除去療法
薬物療法以外の治療法のひとつに、血球成分吸着除去療法があります。肘のところにある太めの血管(静脈)から血液を一旦体外に取り出して、特殊な筒(カラム)を通過させることで、炎症に関与している血液成分を除去する治療法です。薬物療法による治療効果が得られにくい場合や、副作用により薬を使用できない場合に導入が検討されます。
【栄養療法・食事療法】
栄養状態の改善だけでなく、腸管の安静と食事からの刺激を取り除くことで腹痛や下痢などの症状の改善と消化管病変の改善が認められます。

栄養療法には経腸栄養と完全中心静脈栄養があります。経腸栄養療法は、抗原性を示さないアミノ酸を主体として脂肪をほとんど含まない成分栄養剤と少量のタンパク質と脂肪含量がやや多い消化態栄養剤があります。完全中心静脈栄養は高度な狭窄がある場合、広範囲な小腸病変が存在する場合、経腸栄養療法を行えない場合などに用いられます。

病気の活動性や症状が落ち着いていれば、通常の食事が可能ですが、食事による病態の悪化を避けることが最も重要なことです。調子の悪いときには低脂肪・ 低残渣 の食事が奨められていますが、個々の患者さんで病変部位や消化吸収機能が異なっているため、主治医や栄養士と相談しながら自分にあった食品を見つけていくことが大事です。
 
クローン病その他
予後 ⇒クローン病の手術率は発症後5年で 33.3%、10 年で 70.8%と高く、さらに手術後の再手術率も5年で 28% と高率であることから、再燃・再発予防が重要である。 診断後 10 年の累積生存率は 96.9%と生命予後は良 好と考えられている。
癌化海外からの報告では、クローン病の患者さんの大腸癌が発生する危険度(相対危険率)は、一般の方と比較し2.4倍、小腸癌は28倍と報告されています。 患者さんの数が少ないため、不明な点もありますが、日本でも欧米と同程度の発生率という報告もあり、定期的な内視鏡検査をお勧めします。
遺伝⇒クローン病は遺伝病ではありません
完治⇒長期に渡って寛解(症状がない状態)を維持している患者さんもおられます。 しかし、クローン病は 再燃 することが多く、現時点では原因も明らかにされておらず、また完全に治すための治療法も開発されていません。 したがって、長期にわたってこの病気とうまく付き合っていくことが最も重要なことでしょう。
クローン病を完治させる治療法は残念ながらありません。 そのためクローン病の治療では活動期の症状を素早く抑え、寛解期をより長く持続させるよう努めることをゴールとしています。
 
患者数⇒現在、日本には、約7万人のクローン病の患者さんがおり、その数は年々増加しています。 クローン病は10~20歳代の若年者に好発し、発症年齢のピークは、男性で20~24歳、女性で15~19歳です。 男女比は約2:1と、男性に多くみられます。

保険適用⇒クローン病は厚生労働省による難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)です。 都道府県が指定した医療機関(難病指定医)でクローン病の診断を受け、医療費助成1を申請して認定されると、治療(保険診療)の医療費自己負担に対して、公費助成が受けられます。 (受付窓口は、都道府県・指定都市により異なります。
まとめ
いずれの病も、原因不明なので注意のしようが有りません。
なので、できる事は食事に注意する位だと思います。
医食同源と言います。
同士の皆様、病を知り極力上記の病に成らない様努めましょう。
 
最後まで読んでいただきありがとうございましたお願い
それではまたお会いしましょうねバイバイ