分子の「塊」が溶連菌の感染を抑制することを発見

神戸大学大学院工学研究科の森田健太助教・丸山達生教授と、藤田医科大学病院の池田真理子准教授、名古屋市立大学の長谷川忠男教授、藤田医科大学の港雄介教授、神戸大学大学院医学研究科の青井貴之教授の研究グループは、水中で「塊」状に凝集して働く酵素阻害剤を発見しました。この阻害剤は、現在全国的に感染が拡大している溶連菌感染症治療に役立つ可能性があります。今後、この現象を詳細に解明することでこれまでとは全く異なる視点での酵素阻害剤開発および感染症治療への応用が期待されます。

この研究成果は、4月16日に、米国化学会が発行する「JACS Au」に掲載されました。 

図:Mn007が水中で「塊」状に凝集して溶連菌が分泌する酵素を阻害するイメージ

ポイント

  • 低分子凝集体がDNA分解酵素を阻害するという酵素阻害の新しい様式を発見した。
  • この阻害様式を持つ阻害剤Mn007が劇症型溶連菌感染症の治療薬となる可能性を示した。  期待しましょう!!

2024-4-16 追記最新情報

 

妻が、あんたも気を付けなさいよ・・・と言ってスマホを見せた。

高致死率【劇症型溶連菌】早いペースで拡大中と書かれたローカルニュースのページ

が表示されていた。

記事には、今年に入って劇症型溶血性レンサ球菌感染症が多発しており昨年1年分の感染者数941名なのに、今年の2月25日までに378名も感染しているとの事でした。

同士の皆さまには、全て既知事項ではありますが、気に成り少し深読みしてみました。

 

劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは

劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは (niid.go.jp)

劇症型溶血性レンサ球菌感染症( streptococcal toxic shock syndrome ;STSS)は、突発的に発症し、急速に多臓器不全に進行するβ溶血を示すレンサ球菌による敗血症性ショック病態である

メデイアなどで「人食いバクテリア」といった病名で、センセーショナルな取り上げ方をされることがある。

 

 (A 群溶血性レンサ球菌: GAS と略称)(B 群溶血性レンサ球菌: GBS と略称)

(C, G 群溶血性レンサ球菌: SDSE と略称) の3菌種が症例数も多く,最も重要です。

 

初期症状としては四肢の疼痛、腫脹、 発熱、血圧低下などで、発病から病状の進行が非常に急激かつ劇的で、発病後数十時間以内には軟部組織壊死、急性腎不全、成人型呼吸窮迫症候群 (ARDS)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全(MOF)を引き起こし、ショック状態から死に至ることも多い近年、妊産婦の症例も報告されている。

劇症型溶血性レンサ球菌感染症は感染症法において、5類感染症に定められており、診断した医師は7日以内に最寄の保健所に届け出ることが義務付けられています。

 

原因

原因菌は、咽頭炎やとびひなどで有名な「A群溶血性レンサ球菌」とよばれるものです。 それが、損傷したバリア(皮膚損傷など)または粘膜を通って細菌が侵入し、さらに深部組織・血流を通って全身にまで広がることでSTSSに発展します

 

症状

最初に手足の強い痛みがみられることが多く、続いて発熱や悪寒、筋肉痛などのインフルエンザに似た症状が現れます。 また、めまいや錯乱状態を伴うことがあります。 

発病から病状の進行が非常に急激かつ劇的で、筋肉周辺組織の壊死を起こし、血圧低下や 多臓器不全からショック状態に陥り、発病後数十時間で死に至ることも少なくありません。

 

症状内訳比率

Stevens らの報告によると、本症の最も一般的な初期症状は疼痛であり、急激に始まり、重篤であるStevens,1992,Stevens et al,1989)。

 

続いて、圧痛あるいは全身症状が見られる。疼痛は通常四肢で見られる

疼痛の開始前に、発熱、悪寒、筋肉痛、下痢のようなインフルエン ザ様の症状20%の患者にみられる(Stevens,1992Stevens et al,1989)。

全身症状としては、発熱が最も一般的である(ただし、患者の10%はショックによる低体温を示す)(Stevens,1992Stevens et al, 1989)。

 

錯乱状態(confusion)が患者の55%でみられ、昏睡や好戦的な姿勢がみられることもあるStevens,1992Stevens et al,1989)。

 

局所的な腫脹、圧痛、疼痛、紅斑のような軟部組織感染の徴候は、皮膚の進入口が存在する場合によくみられる

 

発熱や中毒症状を示す患者で紫色の水疱がみられると、壊死性筋膜炎や筋炎のような深部の軟部組織感染を起こしている可能性が考えられるStevens,1995)。

 

 

疫学

劇症型溶血性レンサ球菌感染症は1987年に米国で最初に報告され、その後、ヨーロッパやアジアからも報告されている。

日本における最初の典型的な症例は1992年に報告されており、毎年100-200人の患者が確認されている。そして、こ のうち約30%が死亡しており、きわめて致死率の高い感染症である。

 

主な病原体はA群溶血性レンサ球菌である。A群溶血性レンサ球菌感染による一般的な疾患は咽頭炎であり、その多くは小児が罹患する。

一方、劇症型溶血性レンサ球菌感染症子供から大人まで広範囲の年齢層に発症するが、特に30歳以上の大人に多いのがひとつの特徴であるIASR 2012年8号参照)。

 

 

溶連菌と劇症型溶連菌の違い

溶連菌による一般的な疾患は咽頭炎であり、その多くは小児が罹患します。 一方、劇症型溶連菌感染症は子供から大人まで広範囲の年齢層に発症しますが、特に30歳以上の大人に多いのがひとつの特徴です。 咽頭炎を起こす溶連菌と劇症型感染症を起こす溶連菌は全く同じ菌です。 侵入経路や基礎疾患の違いなどが考えられます。

原因は、突然変異のようです。

人間も同じですね~

オギャーと純粋無垢で生まれても、善人に育つ者も居れば極悪人に育つ者もいます。

これも突然変異?

病原体

劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、主にA群溶血性レンサ球菌Streptococcus pyogenes により引き起こされる

 

 

感染経路

原因と感染経路 実際の感染経路は明らかになっていない部分が多いが

  1. 皮膚の傷口からの感染(接触感染): 傷や手術などによる皮膚の損傷を通じて細菌が侵入します。特に足の傷から入る事が多い。
  2. 鼻やのどの内側の粘膜からの感染(飛沫感染): 粘膜を通して細菌が侵入します。コロナ5類移行後多発傾向にあるようですよビックリマークビックリマークビックリマークビックリマーク

感染し易い人

  • 最近手術を受けた人
  • 帯状疱疹や水ぼうそうのように皮膚に潰瘍をつくるウイルス感染を直近で経験した方
  • 糖尿病やアルコール障害のように感染抵抗力の弱い方
  • 免疫力が低下している人

予防

  1. 接触感染対策:
    • 手洗いと手指消毒: 頻繁に手を洗い、手指消毒を行いましょう。
    • 傷の管理: 傷がある場合は清潔に保ち、適切に処理しましょう。特に足の傷から入る事が多いので、水虫・ひび割れ・靴擦れ等あった場合は、早めに皮膚科を受診する。
    • 温泉やプールの利用を避ける: 傷や皮膚感染症がある場合は、温泉やプール、川や海に入るのを控えましょう。
  2. 飛沫感染対策:
    • マスクの着用: 感染リスクの高い状況でマスクを着用しましょう。

緊急受診すべき状態

  1. 急速に広がる皮膚の赤みや熱感、腫れがある
  2. 強い痛みや赤みのある部位を超えた痛みがある
  3. 意識がはっきりしない

 

治療

  1. 抗菌薬の使用:
    • ペニシリン系の抗菌薬が第一選択です。また、クリンダマイシンも効果的です。細菌密度が上昇するとβラクタム系薬の効果が低下するため、クリンダマイシンを併用することがあります。
  1. 全身管理:
    • 多臓器不全を防ぐために、患者の全身状態を管理します。
    •  
  2. 壊死した軟部組織の切除:
    • 重症化して壊死に陥った軟部組織はできるだけ広範囲に切除する必要があります。

感染を早期に検出し、適切な治療を行うことが重要です。

 

抗生物質に耐性を持つ場合の対策

**抗生物質耐性(AMR)**は、細菌が抗生物質に対して耐性を持つ現象であり、感染症の治療が困難になる可能性があります。以下は、抗生物質耐性を防ぐための対策です:

  1. 適切な使用:
    • 医師の指示に従って抗生物質を服用しましょう。必要な場合に、適切な量を適切な期間服用します。
    • 不要な場合は抗生物質を使用しないようにしましょう。風邪などウイルス感染には抗生物質は効きません。
  2. 感染予防:
    • 手洗いやうがいを徹底し、感染を予防しましょう。
    • マスクの着用など、感染リスクを減らす対策を取りましょう。
  3. 医療の適正使用:
    • 医師に症状を詳しく説明し、適切な診断を受けましょう。
    • 処方された抗生物質を適切に服用しましょう。必ず、最後まで飲み切るようにします。

抗生物質耐性の拡大を防ぐために、私たち一人ひとりが正しい知識を持ち、適切に行動することが大切です。

 

その他知っトク情報(上記と重複あります)

人喰いバクテリアが多い都道府県は?

 

人食いバクテリアはどこで感染する?

経口感染は、海産魚介類に付着して、刺身や過熱不足の料理を食べて感 染する場合と、皮膚に傷のある人が河口近くの海に入って、傷口から感染する場合があります

 感染する部位としては、呼吸器や皮膚で、具体的には、鼻の粘膜やのどの粘膜、扁桃腺などに感染するのが一般的です。

 

感染経路 患者の咳やくしゃみによって飛び散る飛沫を口や鼻から吸い込み感染します。 また、患者と握手、だっこ、キスなど直接接触した場合や、患者の病原体の付着した手で触れたドアノブ、遊具、手すりなどに触れ、間接的に接触した場合に感染することがあります。

 

劇症型溶連菌の感染経路は?

感染経路 皮膚や粘膜から、通常は菌の存在しない筋肉、脂肪組織や血液に溶血レンサ球菌が侵入することによって病気を起こします 実際の感染経路は明らかにならない場合が多いですが、がんや糖尿病のある方、ステロイドなど免疫を低下させる薬剤を使用している方は発症する危険性が高いとされています。

 

劇症型溶連菌感染症はうつりますか?

なんとも恐ろしい呼び名ですが、正式な病名は「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」といい、インフルエンザやノロウイルス感染症などと同じ“うつる病気、つまり感染症の一種です。

 

人喰いバクテリア症
病原菌は皮膚の小さな切り傷、かき傷などから侵入します。 初期の症状は熱、感染部位の痛み、腫れ、傷口の発赤、ときに紅斑がみられます。 喉が痛かったり、扁桃腺が腫れた場合は、医師にかかることが大切です。 この菌が検出された場合は、適切な治療が必要です。

 

劇症型溶連菌感染症はどこにいる?

劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、レンサ球菌による感染症です。 通常は、レンサ球菌に感染しても無症候のことも多く、ほとんどは咽頭炎や皮膚の感染症にとどまります しかし、稀に通常は細菌が存在しない組織(血液、筋肉、肺など)にレンサ球菌が侵入し、急激に症状が進行する重篤な疾患となることがあります。


溶連菌は大人でも死亡する病気ですか?

溶連菌の中に劇症型というものがあり、日本では1992年にはじめて報告され、現在までに100人以上の患者が確認され、約30%が死亡するという重い病気です。 この疾患は元気な人に突然発症し、急激に進行します。 数十時間で足などが腐り、腎不全、ショック状態になります。30-70歳代の大人に多いのですが、小児でもみられます

 

溶連菌感染症は誰がかかりやすい?

飛沫感染ということからわかる通り、 人と接触しやすい方や学童期のお子さんが最も感染しやすく なりますので、ご家族で溶連菌感染が判明した場合は、特に感染防止対策をお願いいたします。

 

溶連菌は大人にも感染する?

溶連菌感染症は冬から春にかけて学校などの集団生活の場で流行し、大人にもうつることがあります適切な治療をすれば早期に症状がとれて楽になり、問題無く治る病気ですが、合併症による重症化を防ぐために注意が必要な点もあります。

 

大人が溶連菌に感染する原因は何ですか?

主な症と経過 溶連菌感染症の感染経路溶連菌に感染する原因の多くは、くしゃみやせきによって飛び散った菌を吸い込むことで感染する「飛沫感染」によるものです 菌の付いたタオルやドアノブなどに触れることで感染する「接触感染」が主な感染経路として知られています。

 

溶連菌を予防するにはどうしたらいいですか?

A:溶連菌感染症はうつる病気です。 予防のためにはうがい、手洗いをしましょう 感染予防のため、タオル、コップ、お箸等は同じものを使わないようにしましょう。 家族内に溶連菌の保菌者がいる場合は、家族内でうつしあい、感染を繰り返す場合があります。


溶連菌感染症は自然に治る?

溶連菌感染症とは、A群β溶血連鎖球菌(グラム陽性嫌気性菌)という細菌によって起こる感染症です。 無治療で、発症後3週間で抗体が産生され、2週間以内に自然治癒することもあります

自分で行う溶連菌感染症の判断と知識 - 吉耳鼻咽喉科アレルギー科 -鹿児島市 川上町 (yoshi-ent.jp)

 

まとめ

私を含め同士の皆さんは、比較的リスクが高いようです。

十二分に予防対策をすると共に、疑わしい症状が出たら速やかに内科等の診察を受けましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございましたお願い

それではまたお会いしましょうねバイバイ