10年以上前の話です。
娘も妻も似たような症状で横浜市内の町医者に通っていました。
中々病名も分からず、無理をせず休養をするように等との事で栄養剤のような薬を
処方されていました。
私もネットで調べましたが・・・分からず・・・不定愁訴(自律神経失調症)では無いかと妻と娘に言いました。
娘は納得せず、ネットで検索をし甲状腺の病気では無いかとの事で原宿の伊藤病院を見つけて診てもらい、娘はバセドウ病と判明。妻は、甲状腺機能低下症と判明しました。妻は一過性だったようです。
現在妻も娘も完治しています。娘は年に数回経過観察に行くようです。
甲状腺の病は、女性に多いようなので、参考に成ればと思い書かせていただきます。
甲状腺の機能及び甲状腺の病の中でも、比較的多い橋本病・バセドウ病・甲状腺機能低下症について深読みしてみます。
そもそも甲状腺って何なの?
甲状腺とは、のどぼとけの下にある蝶ような形をした臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは、カラダ全体の新陳代謝を促進する働きがあります。通常、甲状腺ホルモンは、多すぎたり少なすぎたりしないようバランスが保たれていますが、甲状腺の働きに異常があらわれると、そのバランスが崩れてしまいます。
甲状腺ホルモンとは
甲状腺ホルモンはさまざまな作用を持っていますが、おおまかに言えば全身の代謝を高めるホルモンで、血液に乗って全身の細胞に影響を与え、新陳代謝を活発にする働きを持っています。 他にも、神経や骨、精神状態にも関わり、子どもの成長や発育にも必要な、人間にとってなくてはならないホルモンです。
甲状腺は脳の下垂体という部分から甲状腺刺激ホルモン(TSH)を受取ることで、トリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)を分泌します。ともに基礎代謝を高める作用を有するホルモンです。
甲状腺の働き全体のイメージ
甲状腺ホルモンには、4つのヨウ素を持つサイロキシン(T4)と、3つのヨウ素を持つトリヨードサイロニン(T3)の2種類があります。
甲状腺ではおもにT4が合成されますが、肝臓などでT4がT3に変換されることによってホルモンとしての働きを発揮するようになります。
T4、T3の大部分は血中の蛋白質と結合しています。実際に身体で働いているホルモンは、蛋白質と結合していない遊離T4(Free T4=FT4)、遊離T3 (Free T3=FT3)であり、採血ではこちらを確認しています。
脳下垂体の役割
体内では、血液中の甲状腺ホルモンが常にほぼ一定の値を維持できるような仕組みが働いています。これをコントロールしているのが、脳の下垂体という部分から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。TSHは、甲状腺を刺激し甲状腺ホルモン(T4、T3)の分泌を促す働きをしています。
血液中の甲状腺ホルモン(T4、T3)が多くなりすぎると、下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌が抑えられ、T4、T3の分泌も減少します。逆に血液中のT4、T3濃度が低くなると、TSHの分泌量が増えてT4、T3の分泌を促そうとします。こうした仕組みをフィードバック機構といいますが、これによって血液中のT4、T3の量は、常に一定の範囲を維持できるように調節されています。
これらの甲状腺ホルモンは全身の代謝に関係する役目を担っています。
甲状腺が悪いとどんな症状が出ますか?
甲状腺ホルモンと便秘・下痢の関係
便の性状で腸の健康状態をみるブリストルスケール
青枠は甲状腺機能低下症、赤枠は甲状腺機能亢進症/バセドウ病の便の状態です。
小腸と甲状腺[橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー検査 甲状腺 専門医 長崎甲状腺クリニック大阪] (nagasaki-clinic.com)
①「バセドウ病」
甲状腺ホルモンが分泌過剰な状態
甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、新陳代謝が過剰になる病気を甲状腺機能亢進(こうしん)症といいます。代表的な病気として、甲状腺を刺激する自己抗体(自分のカラダに対する抗体)ができることで甲状腺ホルモンが過剰につくられる「バセドウ病」があります。
症状
・疲れやすい
・汗をかきやすい
・暑がり
・体重が減る
・イライラ感、集中力低下
・息切れ、動悸
・筋力の低下
・手指がふるえる
・甲状腺が腫れ
・眼球突出
・希発月経(月経の回数が少なくなること)、無月経
・軟便
・甲状腺(首・喉元あたり)が腫れたり太くなる
・目が飛び出して見える
マーキングは娘の症状でした。
絶えず運動をしているような状態になるため、心臓をはじめ様々な臓器に負担がかかります。
「バセドウ病」の原因
バセドウ病は自己免疫疾患のひとつです。自己免疫疾患とは、細菌やウィルスなどから体を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にしてしまうことで起きる病気の総称です。下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)が甲状腺ろ胞細胞のTSH受容体を刺激することによって甲状腺ホルモンは分泌されています。バセドウ病は、このTSH受容体に対する抗体が体内で作られてTSH受容体を刺激し続け、甲状腺ホルモンが過剰に産生・分泌されることで起こる病気です。TSH受容体に対する自己抗体が作られる原因は分かっていませんが、バセドウ病になりやすい体質を持っている人が、何らかのウイルス感染や強いストレスや妊娠・出産などをきっかけとして起こるのではないかと考えられています。
患者数
人口1000人あたり0.2~3.2人と報告されています。20~30代の若い女性に多い病気です。男女比は1:3~5くらいと言われています。
●治療は
- 1.薬剤治療
通常は、抗甲状腺剤(メルカゾール(R)やチウラジール(R)=プロパジール(R))で治療を始めます。 抗甲状腺薬は歴史の古い薬で、その効果が知り尽くされている反面、最近の新薬と比較すると副作用は多い部類にはいります。 主な副作用としては、かゆみ(かゆみ止めを併用します)、肝障害、まれに白血球減少があらわれることがあります。 多くの場合、副作用はお薬の開始初期にあらわれますので、最初の3ヶ月間は2週間おきに副作用のチェックのための血液検査を行います。 万一、服用中に高熱が出たら、お薬をやめて医療機関を受診し、白血球の検査を受けて下さい。
薬は、最初多め(1日3錠~6錠)から始めて、徐々に減らしていきます。 甲状腺機能が落ち着いても、やめれば元に戻りますので、勝手にやめないことが大切です。 再燃すれば、一から治療を再開しますが、再開時の方が、副作用がでやすいともいわれています。 このようにして、通常は、2~3年で薬をやめてみますが、中にはやめると悪くなるために10年以上(副作用なく)薬を続けている方もおられます。薬は、妊娠中・出産後(授乳)も安全であり、むしろ、薬を勝手にやめて甲状腺機能亢進症のまま妊娠・出産する方が危険です。
ただし、妊娠・出産により、甲状腺機能はしばしば変動しますので、甲状腺専門医による治療をお勧めします。
- 2.手術療法
甲状腺内に腫瘍が合併している時には、最初から手術療法を行うこともあります。手術の前にお薬で甲状腺機能を落ち着かせておく必要があります。
- 3.アイソトープ治療 (放射性ヨード内用療法・甲状腺I-131内用療法) ※アイソトープ治療(131I内用療法)とは、甲状腺組織(がんを含む)がヨウ素を取り込む性質を有していることを利用し、131Iと呼ばれる放射線を放出するヨウ素(131Iカプセル)を内服して甲状腺内部から放射線を照射する治療です。 受けた方が良い人
- 抗甲状腺薬で副作用が出現した
- 抗甲状腺薬中止後に再発した
- 手術後にバセドウ病が再発した
- 抗甲状腺薬で十分コントロールできない
- 糖尿病、心臓病、肝臓病などの慢性疾患を持っている
- アイソトープ治療を希望する人 受けられない人
- 妊婦、または現在妊娠の可能性がある女性
- 近い将来(6ヶ月以内)妊娠する可能性がある女性
- 近い将来(6ヶ月以内)パートナーの妊娠・出産を希望する男性
- 授乳婦 副作用 まれですが、アイソトープ服用後に一時的に眼症状が悪化することがあります。 そのため、眼症のある方では予防的にステロイド剤を服用することがあります。 また、副作用とは言えませんが、アイソトープ治療後に甲状腺機能低下症になることがあります。 アイソトープの投与量は患者さんの病状を計算して決めますが、アイソトープの作用には個人差があるため、バセドウ病を確実に治すためには、アイソトープの量を多くする必要があります。 そうすると、将来機能低下症になる可能性が高くなります。しかし、甲状腺ホルモン剤さえのめば、全く問題はありません。 甲状腺ホルモン剤は体の中の甲状腺ホルモンと同じものですから、基本的には適正な量をのんでいる限り副作用はありませんし、1年以上経過すれば検査の頻度も年に1回くらいになります。 娘は、アイソトープ治療を受けました。授乳中でしたので、治療の間は子供とは一切会えず。我が家で孫は隔離状態でした。病院からOKサインが出た時は、娘も孫も大泣きでした
。私も妻も、もらい泣き。
甲状腺ホルモン分泌が不足状態
②「橋本病」
甲状腺に慢性の炎症が起こり、甲状腺が腫れてくる良性の病気です。
進行すると甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが足りない状態)になることがあり、むくみ、寒がり、便秘、物忘れなどの症状が出てきます。
病気自体は治りませんが、甲状腺ホルモン剤を服用し、足りない甲状腺ホルモンを補えば問題ありません。甲状腺ホルモン剤は体の中の甲状腺ホルモンと同じものですから、適正な量をのんでいる限り副作用はありません。
ヨウ素(ヨード)は甲状腺ホルモンの原料ですが、摂とりすぎると、甲状腺ホルモンは作られなくなりまので、ヨウ素を大量に含む昆布(コンブ)の摂取は控えめにしましょう。
甲状腺ホルモンの分泌量が減り、新陳代謝が低下する病気を甲状腺機能低下症といいます。代表的な病気として、甲状腺を障害する自己抗体ができることで甲状腺ホルモンの分泌が減る「橋本病」があります。(橋本病と診断された方の全てが甲状腺機能低下症となるわけではありません。)
原因
橋本病も甲状腺臓器特異性自己免疫疾患の1つで、体質の変化により甲状腺を異物とみなして甲状腺に対する自己抗体(抗サイログロブリン抗体TgAb、抗甲状腺ペルオキシダーゼTPOAb)ができます。この抗体が甲状腺だけを破壊していき、徐々に甲状腺機能低下症になっていきます。しかし、甲状腺が腫れたり、のどの違和感を訴える方がいますが、橋本病と診断されても、すべての橋本病が甲状腺機能低下症を伴うわけではありません。約40%の人に機能異常があります。
症状
無気力で頭の働きが鈍くなり、忘れっぽく、ひどくなると認知症の原因の1つにもなります。寒がりで皮膚も乾燥してカサカサになったり、体全体がむくみ、髪も抜け、眠気がありボーッとして活動的でなくなります。
治療
橋本病の治療についてですが、甲状腺機能が正常であれば体に影響がなく自覚症状はないので薬は必要ありません。ただし、甲状腺腫がかなり大きい場合は、甲状腺ホルモン剤を服用すると腫れを小さくする事ができます。甲状腺機能低下症がある場合は、不足している量の甲状腺ホルモンを薬として服用します。しかし、単に足りない分を補充しているだけですので長期間の治療が必要となります。薬の効果がでれば、すべての症状は消失し日常生活は薬を服用しながら運動、仕事、妊娠、授乳など何でもできます。
なお最近、マスコミなどでヨウ素が体に大変良いと宣伝され、根昆布などの健康食品も流行しています。ヨウ素を多く含む昆布やイソジンガーグル液のうがいは、一部の人や橋本病の人には甲状腺機能低下を助長させるので、普通以上に食べない方が良いです。
③甲状腺機能低下症
「甲状腺機能低下症」とは、血中の甲状腺ホルモン作用が必要よりも低下した状態です。
甲状腺ホルモンというホルモンを作っています。このホルモンは、血液の流れに乗って心臓や肝臓、腎臓、脳など体のいろいろな臓器に運ばれて、身体の新陳代謝を盛んにするなど大切な働きをしています。甲状腺ホルモンが少なすぎると、代謝が落ちた症状がでてきます。甲状腺ホルモンの産生は脳下垂体より分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)により調節されます。
症状甲状腺機能低下症による症状には、一般的に、無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などがあります。軽度の甲状腺機能低下症では症状や所見に乏しいことも多いです。甲状腺機能低下症が強くなると、傾眠、意識障害をきたし、粘液水腫性昏睡と呼ばれます。また、甲状腺ホルモンは、代謝の調節以外にも、妊娠の成立や維持、子供の成長や発達に重要なホルモンなので、甲状腺機能低下症では、月経異常や不妊、流早産や妊娠高血圧症候群などと関連し、胎児や乳児あるいは小児期の成長や発達の遅れとも関連してきます。
甲状腺に慢性の炎症が起こるのが橋本病ですが、炎症の程度が軽度であれば甲状腺機能は正常であり、炎症が進行すると甲状腺の働きが悪くなり、甲状腺機能低下症となります。橋本病と甲状腺機能低下症は、橋本病は炎症が軽く、甲状腺機能低下症は炎症が重いという事です。(解り易くするため重複記載しました)
甲状腺機能低下症と橋本病は同じでない[長崎甲状腺クリニック大阪] (nagasaki-clinic.com)
甲状腺機能低下症は、障害部位別に下記分類される。
③-1【原発性甲状腺機能低下症】
【原発性甲状腺機能低下症】とは自己免疫(自分の体でつくられた抗体が自分の体の臓器に作用すること)の異常によって、甲状腺の細胞がゆっくりと破壊され、最終的には甲状腺ホルモン不足に陥る、主に女性に多く見られる病気です。
- a)
- 臨床所見
無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、便秘、嗄声等いずれかの症状 - b)
- 検査所見
遊離T4低値(参考として遊離T3低値)およびTSH高値
a)およびb)を有するもの
③-2【中枢性甲状腺機能低下症】
中枢性甲状腺機能低下症とは、脳の視床下部や下垂体の病気で、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が不足しているために甲状腺が刺激されず、甲状腺ホルモンが少なくなっている状態です。
- a)
- 臨床所見
無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、 便秘、嗄声等いずれかの症状 - b)
- 検査所見
遊離T4低値でTSHが低値~基準範囲内
a)およびb)を有するもの
甲状腺の腫れや甲状腺ホルモンの異常が疑われると、検査で病気を探します。
①超音波検査(エコー)
- 超音波検査でしこりや腫れを観察します。
腫れ方の様子やしこりの形状を観察します。 手軽に検査が可能です。腫瘍が疑われる場合には、注射器で細胞を少しとって調べます。 血液検査と同じ太さの注射針でチクッとする程度です。 もし、血がとまりにくい体質であったり、血液をサラサラにするお薬を飲まれていたりするときは、事前にお知らせください。
②血液検査
血液検査でホルモン濃度を測定します。
甲状腺機能を評価するために測定されるのは、以下になります。
- 甲状腺から分泌される甲状腺ホルモン(FT3、FT4)
- 脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)
甲状腺刺激ホルモン(TSH)から疾患を判断していく
甲状腺機能検査から推測される甲状腺疾患
甲状腺ホルモンと、それを調節しているTSHというホルモンを測ります。 病気の原因となっている「甲状腺に対する抗体」の量も調べます。 甲状腺ホルモンの濃度に異常があると、コレステロールや肝臓の数値にも異常が現れます。 また、貧血になる場合がありますので、それら一般の血液検査もしておきます。
甲状腺機能を評価するために測定されるのは、以下になります。
- 甲状腺から分泌される甲状腺ホルモン(FT3、FT4)
- 脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)
3つの検査のうち、最も安定していて、信用のおける検査は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。
ホルモン検査は、免疫反応を用いて測定するため、精度管理の難しい検査です。
基準値(正常値)は、施設や用いるキットで異なりますので、その施設の基準値と照らし合わせての評価が必要になります。
例外的な珍しい病気を除けば、TSHが低い人は、甲状腺ホルモンが過剰(甲状腺機能亢進症)で、TSHが高い人は、甲状腺機能低下症です。
甲状腺ホルモンが多すぎる人は、身体の反応として分泌刺激をしなくなり(TSH低下)、足りない人は、身体の反応として分泌を刺激するようになるのです(TSH上昇)。
TSHが高いと甲状腺機能低下、TSHが低いと甲状腺機能亢進です。逆なので、ご注意ください。
例外的な稀少疾患に気付けることが専門医の役割ではありますので、少し詳しい情報は別表に示します。
甲状腺疾患 | TSH | FT4 | FT3 | 必要な検査など |
---|---|---|---|---|
バセドウ病 | ↓ | ↑ | ↑ | TRAb、TSAb、放射性ヨウ素摂取率高値 |
無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎 | ↓ | ↑ | ↑ | TRAb(陰性)、TSAb(陰性)、摂取率低値、CRP |
中毒性結節(プランマー病) | ↓ | ↑ | ↑ | 超音波検査(結節性甲状腺腫)、シンチグラフィー |
潜在性甲状腺機能亢進症 | ↓ | → | → | TRAb、TSAb |
原発性甲状腺機能低下症(橋本病など) | ↑ | ↓→ | ↓→ | TgAb、TPOAb |
中枢性甲状腺機能低下症 | ↓→ | ↓ | ↓→ | MRI、TRH負荷試験 |
潜在性甲状腺機能低下症 | ↑ | → | → | TgAb、TPOAb |
低T3症候群 | ↑→↓ | → | ↓ | 基礎疾患あり |
不適切TSH分泌症候群(SITSH) | ↑→ | ↑ | ↑ | 下垂体MRI、T3受容体遺伝子、TRH負荷試験 |
自己抗体の測定
バセドウ病や橋本病では、甲状腺に関わるさまざまな自己抗体が発症に深く関わっています。これらの血中濃度測定は、診断や経過観察、治療効果の判定に有用です。
分類 | 項目名 | |
---|---|---|
バセドウ病の診断に有用な自己抗体の検査 | TRAb | TSAb |
橋本病の診断に有用な自己抗体の検査 | TPOAb | TgAb |
甲状腺の腫瘍
甲状腺の腫瘍は、ほとんどの場合良性ですが、まれに悪性のもの(がん)があります。 甲状腺がんとの診断をされた患者さんは強いショックを受けられるでしょう。 しかし、甲状腺がんの約90%が甲状腺乳頭がんであり、他の臓器のものとは異なり、比較的たちがよく、すぐに命を脅かすものではありません。
甲状腺がんの基本治療は手術です。その他のがんで使用する化学療法や放射線療法は一部の腫瘍以外には効果がありません。
他のがんと比較して予後がいいといっても、首には大切な血管、神経、気管、食道が存在します。また、甲状腺疾患には若い女性も多く、美容的な影響もあります。 手術できれいになおる場合がほとんどです。
良性の場合は、もちろん手術の必要はありません。
甲状腺病の診断
甲状腺の病の診断は診断ガイドラインによる
甲状腺疾患診断ガイドライン2021|日本甲状腺学会 (japanthyroid.jp)
甲状腺の病の特徴
専門医でないと、診断される場合どちらも、いわゆる「不定愁訴」等と混同されてしまうことがあるようです。
甲状腺の病気は、男性よりも女性に多くあらわれるという特徴があり、自己免疫疾患としてバセドウ病や橋本病があります。自己免疫疾患とは、免疫系が自分の細胞を異物だと認識して攻撃してしまうことで症状が引き起こされる病気です。
また、このような甲状腺の病気は、月経周期の異常や不妊・流産の原因になることもあります。
甲状腺の病は「内分泌科(代謝内科)」または「耳鼻咽喉科」が対応しますが、甲状腺の病気は似た症状の病気も多く、誤って診断されることもあります。 また症状によっては対応科が変わることもあります。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが不足している状態で、無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などの症状があります。これらの症状は、不定愁訴や自律神経失調症と重なる部分が多いため、誤診される可能性があります。
不定愁訴や自律神経失調症は、ストレスや生活習慣の乱れなどによって、身体的・精神的な不調を感じる状態です。めまい、動悸、息切れ、胸痛、腹痛、下痢、便秘、頭痛、肩こり、不眠、イライラ、不安、抑うつなどの症状があります。しかし、これらの症状は、甲状腺機能低下症や他の内分泌疾患、心臓病、消化器病などの有機的な病気の表れであることもあります。
甲状腺機能低下症と不定愁訴・自律神経失調症の鑑別は、血液検査によって行われます。甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモン(T3、T4)の値が低く、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値が高くなります。不定愁訴や自律神経失調症では、甲状腺ホルモンの値は正常範囲内にあります。
誤診されやすい病気
1.「不定愁訴」
不定愁訴とは以下のような状態です。 『明らかな身体的原因が認められないにも関わらず、頭痛や筋肉痛、腰背部痛、不眠、めまい、疲労感、腹痛、悪心、食欲不振など多彩な症状を訴え続ける状態。』
不定愁訴の主な症状と原因
症状 | 考えられる主な原因 | 考えられる主な病気 |
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だるい、 疲れやすい |
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頭痛 |
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肩や首のコリ、 腰痛 |
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目の疲れ |
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冷え |
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便秘、下痢 |
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イライラ、 不眠 |
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不定愁訴は自律神経が原因ですか?
不定愁訴の多くは自律神経の崩れからです。
心身のストレス、不規則な生活習慣、ホルモンバランスの乱れなどが要因となり、自律神経のバランスが崩れたときにあらわれることが多いといわれています。
女性に不定愁訴が多い訳とは?
その理由は、女性のカラダがホルモンバランスの影響を受けやすいため、内臓、血管、呼吸、体温など体内のさまざまな機能を調節する自律神経バランスの崩れにつながり、不調を引き起こすと考えられています。
冒頭に挙げたような不調は、病気が特定できなければ、原因不明と片付けられがちですが、女性の場合、不定愁訴の原因の可能性としていくつかのケースが考えられます。 代表的なものは、更年期症状、甲状腺の異常、鉄不足・栄養不足。 ほかには、ストレスや睡眠不足が原因である可能性も少なくありません。
2.自律神経失調症
症状
- だるさがある
- 疲労感がある
- めまいがする
- 息切れや動悸、息苦しさがある
- 喉や口の不快感がある
- 片頭痛がある
- 耳鳴りがある
- ひどい肩こりがある
疾患名:甲状腺がん 都道府県:全国 表示年度:2021年
順位 | 病院名 | 退院患者数 |
---|---|---|
1 | 伊藤病院 | 945 |
2 | 医療法人 神甲会 隈病院 | 821 |
3 | 医療法人社団 金地病院 | 519 |
4 | やました甲状腺病院 | 433 |
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