苦手はチャンス | 榊邦彦 OFFICIAL BLOG new

榊邦彦 OFFICIAL BLOG new

けれど一方で、言葉や愛がまったく立ち向かうことのできない不安や困難も、
また、存在しないのではないか……僕は、今そう思っている。
『100万分の1の恋人』榊邦彦(新潮社)

榊邦彦の公式ブログです。
ご連絡はこちらまで
evergreen@sakaki-kunihiko.jp

今までの人生で出会ったすごい奴の話の続き。

この間は、「最初に出会ったすごい奴」の話でしたが、今回は、「一番最近出会ったすごい人(「奴」とは言いにくいので……)」の話です。

その人は、理系の研究者なのですが、紹介するのは、若い頃の海外での学会での話です。

今でこそ、英語も堪能な人ですが、駆け出しの研究者の頃は、英語も苦手で、特にリスニングがからっきしダメだったとのこと。そんなわけで、海外での学会では、発表者の講演内容が、よく聞き取れずに、困っていたそうです。
そこで、彼が考えた学会での取り組み方。
 ①発表者の過去の論文を徹底的に読み込む。(リスニングはダメでも、読むのは得意)
 ②学会での発表にむけて、質問を準備する。
 ③発表が終わったら、必ず一番に挙手、最初に指名してもらい、質問する。

肝心なのは、とにかく、一番目に指名してもらわなければダメだということ。
なにせ、リスニングがダメだから、もしも、指名されそこなったら、前の質問者の発言内容が聞き取れない。もしかしたら、自分の用意していた質問と同じかもしれない。聞き取れないから、同じかどうかもよく分からない。
しかし、一番目に指名されたなら、その心配は無用。拙い英語でも堂々と質問できる。

ということで、海外の学会のたびに、いつも一番目に指名されるように、手を挙げつづけたのだということです。

そんなことの積み重ねで、彼は世界でも有数の大学の教授、その分野の世界的権威にまで、上り詰めていくことになります。