日本テレビの「誰も知らない泣ける歌」という番組を観た。
取り扱われていたどの曲も、作り手・歌い手、彼らを取り巻く人々の魂のこもった歌ばかりだった。
なかでも、胸をつかまれたのは、『だからBaby』という歌。
「すろーらいだーず」という平均年齢45歳のインディーズおやじバンドが歌った曲だ。
以下は、日本テレビ「誰も知らない泣ける歌」のホームページからの引用。
2007年NHKの「第11回熱血!オヤジバトル」に登場した1組のバンドが、会場の人々を魅了した。
このバンドのボーカルを務める中畑昌也さんは、かつて河島英五さんのもとで、プロデビューを目指していた。しかし、なかなか芽が出ず、37歳の時、河島さんが止めるのも聞かず、歌手になる夢を諦めた。それから4年後、中畑さんのもとに、河島入院の知らせが入る。しかし、自分が行っても迷惑なだけ、と会いに行く事を拒否。河島さんはそのまま帰らぬ人となってしまった。その後、河島さんが病床で中畑さんの歌を聴きたがっていたという事を聞いた中畑さんは激しく後悔し、河島のためにも、再び歌う事を決意する。「だからBABY」には、中畑さんの河島さんへの熱い想いが込められている。( 「誰も知らない泣ける歌」 ホームページ より)
僕も、同じ世代。
僕もバンドをやっている。
僕もずっと小説を志して、なかなか芽が出なかった……。
中畑昌也さんの迫力あるボーカルに胸を打たれながら、テレビを見ていたが、次のフレーズを聴いたとき、涙腺が壊れた。
「どうしても越えられない壁が
僕らの夢に 立ちはだかる そんなときも
だからBaby そうさBaby 君のこと思うだけでさ
僕の胸の中は また勇気を取り戻すよ (『だからBaby』より)」
曲が僕の胸の中で、Aとの思い出に変わっていく。
あいつがいなかったら、僕は小説を書き続けていなかった。
僕が進路に悩んでいたとき、ずっとそばで愚痴を聞いてくれた。
自分のことのように悩んでくれた。
僕がだらしなく生きていたときも、僕がどんなにダメな作品を書いても、
口では厳しいことを言いながらも、いつも僕のことを信じてくれていた。
あいつが亡くなってから、もう20年以上が経つ。
それでも、あいつからもらったたくさんの言葉は、今でも僕を勇気づけてくれている。
「だからBaby そうさBaby
君のこと思うだけでさ
僕は大丈夫 僕は大丈夫
僕は無敵になる (『だからBaby』より)」
『もう、さよならは言わない』で、亡くなった妻に「ありがとう」を伝えたいという気持ちを書いたが、
今日、あらためて思った。
あいつに「ありがとう」って伝えたい。
お前のおかげで、今も小説を書いているよ。