中でもどのように深い集中に達するのか、その比喩が非常に興味深かった。著者は集中する過程を潜水にたとえ、水圧に徐々に身体を慣らすように、少しずつ深い集中へと自らを導いていくのだという。あまりに深く潜り過ぎると元に戻れないような恐怖感に襲われ、潜ることを焦ってしまうと集中の浅瀬でジタバタしてしまうのだそうだ。
本書では幼少期から名人戦に至るまでの試行錯誤も語られているが、将棋への尽きない愛が著者を盤面に向かわせ、根拠を重ね続けたことが直感的な決断を支えたのだろう。天才棋士は将棋への愛に満ちた探求者であった。
決断力 (角川oneテーマ21)/羽生 善治
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