短編小説シリーズ「人間のKUZU」~自己主張のKUZU~ その④ | 占星術小説家@酒井日香の占い死ね死ねブログ

(その③から続き)



A子「いいや、役所の人が来るときと、週3日の通院のときは外出したりもしますけど……。しょうがないじゃないですかぁ~……。世間の偏見とか視線とか差別が怖いから、
外に出られないんですよぉ~……。パソコンだけが外とつながる手段なんですぅ~……」



スタッフ「ネットが社会そのものってこと?」






A子「うん。そんな感じかな」






スタッフ「A子さんの今後の夢ってなんですか」






A子「そうですねぇ~……。自分のブログを1日1万PVくらい取れるような人気ブログに育ててぇ~……。ブログが書籍化されてぇ~……。それがミリオン売れちゃってくれればあたしも、生保から抜けられるしぃ~……。娘にもいい暮らしをさせてやれると思うんですけどぉ~……」



スタッフ「はぁ……」



A子「んで、本がミリオン行ったらトーク番組にゲストで呼ばれちゃってぇ~……。んで案外“A子ちゃんってトークもイケるね!”って話になってぇ~……、芸能事務所の人が契約しに来ちゃってぇ~……、そこから最終的には女優への道が開けたらなって思ってますけど」






スタッフ「そうしたら生保から抜けられるのに、と」






A子「そうです。だからあたしはあたしなりに、就職活動してます。ブログをひたすら書いて、ネットで自作自演の書き込みをすることが、果てないあたしの就職への努力なんです」






スタッフ「……最後に、このVTRをスタジオで見ている皆さんに、メッセージをお願いします」






A子「生保の人たちだってみんな、あたしみたいに必死で努力してるんです。どうか私たちを偏見の目で見ないでください。人権を尊重してください。差別とか、バカにしたりとか、そういうのは絶対にやめてください」






※注)カメラ、スタジオ内に切り替わる。










一同「む……



















































「無理だぁぁぁぁ

ぁぁぁぁぁぁ


!!!!!!!」








(完)