短編小説シリーズ「人間のKUZU」~自己主張のKUZU~ その③ | 占星術小説家@酒井日香の占い死ね死ねブログ

(その②から続き)



スタッフ「何してるんですか」




A子「2ちゃんですね。毎日訪問してるスレッドがあってぇ~……。そこに悪口とか、根も葉もない噂とか自作自演で自分のブログの宣伝とか書き込むとぉ~……、ちょっとスカッとするんですよねぇ~……」



スタッフ「娘さん、そろそろ学校から帰ってきますよ。おやつとか夕食の準備とか、しなくていいんですか」






A子「ちょっと今日は体の調子悪くて……。大丈夫です。娘が自分でやりますから」





スタッフ「………………」






ナレーター「その後、娘が帰宅しても知らん顔でネットをし続けるA子さん。ハローワークのホームページを見に行くわけでもなく、夕方になると今度は、自分のブログの記事作りです」






※注)画面の中に、A子作のブログが映る。ちなみにアメーバ。






【今日はMHKの人が取材に来てる。生保の特集だって。欝……。あたしってそんなにダメ人間かなぁ~】※注、A子のブログの文章。






ナレーター「もともと感受性が人一倍強く、繊細だったA子さんは学生時代から、小説家志望でした。書くことはまったく苦になりません。自身のブログにも1日に3回も4回も原稿をアップしています。ブログはここ10年、1日も欠かしたことがありません。娘のチエミちゃん(仮名)は、そんなお母さんのネット生活をどう見ているのでしょうか」






「うーん……。正直、ブログなんかやめて欲しい」






A子「なんで」






「バカじゃないの」





A子「バカじゃないよ。ブログは毎日更新しないと、すぐにダメになっちゃうんだよ」





「そういうのキモい。それがおカネになるんならともかく……。毎日誰に義理立てして書いてんの? お母さんのブログなんか別に、誰も気にしてないよ」






A子「そんなことないよ。これでも見てくれてる人はいるんだよ」






「だからそーゆうのがキモい。バカだと思う」







A子「そうかなぁ~……」






ナレーター「結局この日、A子さんがパソコンに向かい続けた時間はなんと、15時間にも及びました。眠っている時間と、トイレやお風呂以外はずっとパソコンの前にいました」






スタッフ「毎日こういう生活なんですか」



(その④に続く)