「もっちゃんとノリくん」~イチローと回転寿司~ その⑥ | 占星術小説家@酒井日香の占い死ね死ねブログ
【全12話完結】



(その⑤から続き)




男B「ウソだ」




男A「ウソじゃないよ。イチローだって

   打席に立って、打てないたびに死にたい、

   もう恥だ、無理だ、死んでお詫びとか

   思うんだよ」





男A「えー??? 

   イチローがぁ???」





男B「当たり前じゃないか」





男A「んじゃあ世界のイチローと、高校生に

   勤まる寿司屋のバイトさえ勤まらない

   俺との違いはなんだ」





男B「だからそこだよ。問題はそこなの」





男A「そこって何」





男B「だから、なんであちらは

   “世界のイチロー”で、こちらは

   “ただのダメな37歳独身”だって、

   線引きしなきゃなんないんだってことさ」





男A「だってそうじゃないか」





男B「そこんところの思い込みをまず、

   外して行こうぜもっちゃん」





男A「思い込み?」





男B「そうだ。思い込みだ」





男A「んじゃあ、俺とイチローには

   大した差はない、と」





男B「そういうことだ」





男A「何言ってんだ。大した差じゃないか。

   俺はこの年で時給830円、あちらは

   年棒20億円とかだ。一人で

   サラリーマンの生涯賃金20人分だぞ!」





男B「んじゃあ、もっちゃんは、

   まんが日本昔話を見て

   落ち込んだり自分と比べたりするのか」





男A「いいや」





男B「つまりそういうことだ」



(その⑦に続く)


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