(その⑥から続き)
男A「もうちょっと
わかるように言ってよ」
男B「つまりだな……。人間にとって、
自分の周囲のニュースとか、
お話なんてぇのは、ももたろうとか、
浦島太郎と同じことなんだよ」
男A「単なるお話にすぎないってこと?」
男B「そうだ」
男A「でも、イチローは回転ずしなんかで
働かないよ。イチローは店長にだって
叱られないし、高校生バイトにだって
笑われないよ」
男B「いいやもっちゃん。イチローだって
回転ずしで働くんだよ!!」
男A「え……?」
※注)もっちゃん、ようやく涙顔を
上げてノリくんを見る。
男B「う……、うそだ……。イチローが
時給830円の回転ずしなんかで
働くもんか」
男A「うーん、そこを信じられるように
なれれば、もっちゃんの
“俺はダメ人間だコンプレックス”も、
ちょっとは回復するのかなぁ~」
男B「そうだよ。ノリくんがヘボい
回答をしたら、俺の人生は
終わっちゃうんだ。見事に
信じさせてくれよ、俺とイチローが
同じだってことを」
男A「うーん……」
※注)ノリくん、腕組みして熟考中……。
男B「あ!!」
※注)何かを思いついたらしいノリくん。
男B「そうだ!! イチローだって
寿司屋で働くんだやっぱり!!」
(その⑧へ続く)