短編シリーズ・人間のＫＵＺＵ
「半グレとホ・オポノポノ」
スピ助
「お久スピ～！！ みんな、せちがれのこと覚えているスピか～！ せちがれは、藤子不二雄先生原作の、キテレツなアレによく似てるって言われるスピが、別にアレとは関係ないんだスピ！ 下ユル子の書きかけスピリチュアル小説“スピの政”に登場する、愛と癒しのスピリチュアルフェアリー、スピ助だスピ！ そんでこっちが、せちがれがガイドスピリットとして守護している見習い中ヤクザ、政のアニィだスピ！」
政
「あ、どうも。みなさん初めまして。群馬県群馬郡群馬町出身、政っス。特技はラーメン作りっス。わけあって組長から、スピ世界を探訪するよう言われてるっス」
スピ助
「政のアニィ、画面の前のブログ読者さんは、せちがれたちに会うの、初めてじゃないスピ～。前に何回か、ユル子がブログにせちがれたちのことを連載してたスピ～」
政
「でも、すぐ飽きてやめちゃったじゃないか」
スピ助
「そうなんだスピ。あの女は飽きっぽいのがキンタマに傷だスピ。だからＢ型はって言われるんだスピ」
政
「だめだよスピ助。キンタマなんて悪しき言葉を使うと、愛と許しと癒しじゃなくなっちゃうよ」
スピ助
「それを言うなら政のアニィ、それさえも愛と癒しと許しのパワーで包んであげればいいんだスピよ。キンタマに愛していますって念を込めればいいんだスピ」
政
「キンタマに、愛、か……。なんだかアブないＤＶＤのタイトルみたいになっちゃうけど、それって今、流行の“ホ・オポノポノ”なんだっけ？」
スピ助
「そうだスピ！ ホ・オポノポノは、スピリチュアル天国のハワイからやってきた、とってもポリネシアンなスピ文化なんだスピ！「ありがとう」「ごめんなさい」「許して下さい」「愛しています」と、繰り返しつぶやくんだスピ！！」
※注）そういって羽ばたくスピ助。スピ助は、スピリチュアルエナジーがチャージされると、背中からエンジェルちゃんの羽が生えてくる謎の機構を備えている。
政
「こらスピ助、そんなに天使の羽で飛び回ると、あっちからくるいかにも半グレ兄さんにぶつかる……、ああっ！！」
※注）ごちーん！！！
男Ａ
「なんだこの変な生き物はぁぁぁっ！！ テメェが飼い主かゴルァ！！」
政
「す、すみません、止めたんですけど……」
男Ａ
「ぶつかったせいで首がおかしい！ 医者だっ！！ 治療費だっ！！ 慰謝料寄越せ、弁護士呼べゴルァ！！」
政
「あ、謝ってるじゃないですか。それに、そんなに怒ることじゃないでしょ」
男Ａ
「なんだとぉぉぉ～？？ やんかゴルァ！！」
スピ助
「ま、政のアニィ、今こそ“ホ・オポノポノ”だスピ！！」
政
「ええ？？ こ、ここで？？？」
スピ助
「そうだスピ！！ 今しかないスピ！！」
男Ａ
「わけわかんねぇこと言ってんじゃねぇ！ 気に入らねぇんだよそーゆう態度っ！！」
※注）ボカベキバキグキゴキッ！！！ ←殴られている音。
政
「うわぁっ！！」
※注）殴られて鼻血を出す政。すかさず叫ぶスピ助。
スピ助
「さぁ、政のアニイ！！ 今だスピ！！ 「ありがとう」「ごめんなさい」「許して下さい」「愛しています」だスピ！！」
政
「あ、愛して……、愛しています……」
男Ａ
「あ”あ”～？？？」
政
「ゆ、許して……、ください……」
男Ａ
「気でも狂ったかコンニャロー！！」
※注）ボカベキバキグキゴキッ！！！ ←殴られている音。
政
「あ、ありがとう……。愛しています……。ごめんなさい」
男Ａ
「キモチ悪りぃんだよゴルァ！！ なにがありがとうだコンニャロー！！」
※注）ボカベキバキグキゴキッ！！！ ←殴られている音。
男Ａ
「はぁっ……、はぁっ……。早くカネ出せよ、こんちくしょう！！」
※注）ボカベキバキグキゴキッ！！！ ←殴られている音。
政
「カ、カネは無い……。カネはないが、だがしかし、愛してる……。か、感謝します……。ありがとう……。許してください……。えへへ……」
男Ａ
「ぐっ……、ぐぎぎぎ……」
※注）男Ａ、政に振りかざした拳が震え、ついに拳を降ろす。
男Ａ
「負けたよ……。あんたには……。俺、親に捨てられてさ……。世を恨んで生きてきたけど、世間にはあんたみたいな人もいるんだな。あばよ。あんたに会えてよかった」
※注）男Ａ、政を突き放して去っていく。
スピ助
「すごい！！ すごいじゃないスピか、政のアニィ！！ ホ・オポノポノの効き目はすごいスピ！！」
政
「す、すごい……。すごいけどさ……。ホ・オポノポノ、すごいけどさぁ～……」
スピ助
「すごいけど、何だスピ？」
政
「殴られる前に逃げたほうが良くない？」
スピ助
「それもそうだスピね」
ＥＮＤ