占い肯定に用いられるユング心理学について。 その① | 占星術小説家@酒井日香の占い死ね死ねブログ
どもども。



酒井日香です☆




鏡リュウジさんという占い師をみなさん、
知っていますか。



わしは別に鏡さん個人に恨み・辛みがあるわけ
ではないけれど、この人の書く占い本は誇張、
隠ぺい、歪曲が多くて、心理学や宗教学、占いを
学ぼうとする人が鏡さんを真に受けるのは非常に
危険だと思うので、わしはこの人の危うい部分を
指摘しておこうかなと思うのです。




鏡さんは、ご自分が



「占い師」


扱いされることにはどうしてもジレンマがある
みたいで、


「占いはなぜ当たるのですか」


というこちらの著書↓   ↓    ↓

占いはなぜ当たるのですか (講談社文庫)/講談社
¥660
Amazon.co.jp


でも、職業を聞かれたら冷や汗とともに翻訳家
だと答えていると書いていた。



そんな鏡さんはスイスの分析心理学者


「カール・ギュスタフ・ユング」


をやたらに自著に取り入れます。



まるで、ユングの権威をかさに着れば、なんでも
OKであるかのような書きっぷりなのです。



鏡リュウジさんを、ユング心理学の代表者のように
扱う女性誌や、そのように紹介するメディアなども
ありますが、では、鏡リュウジさんがご自分の権威づけ
に頻繁に利用する


「ユング心理学」



とは、いったい何なのでしょうか。



そういうわけで、ユング心理学初心者の酒井日香にも
読みやすい文献はないかなぁと探していたら、講談社
ブルーバックスにこんな本を見かけやした。

↓   ↓   ↓
マンガ ユング心理学入門―心のタイプ論、夢分析から宗教、錬金術まで (ブルーバックス)
マンガ ユング心理学入門―心のタイプ論、夢分析から宗教、錬金術まで (ブルーバックス)




この本の著者である


「マギー・ハイド」


なる人物は、バリバリの占星術オカルティスト。




鏡リュウジさんとコラボって、ユングの名を語った
タロット本なんかも出している人です。


そういう人なんだけれども、もう一方ではユング
分析学の研究家としても知られています。


講談社ブルーバックスという


「一応老舗の科学文庫」


に、本を書けるくらいだから、すごい人なんだろう
けど、そういう権威効果のためにユングや鏡さんや
マギーさんを


「科学なんだ」


と誤解したとしたら、それは大変危険です。





イギリスではどういうわけか、




「占星学」=「心理学」





という主張をしてやまない心理家が
大勢いましてですね。


その論拠として、このユングがお決まりのように
持ち出されるのです。



果たして占いは、心理学なのか?


みなさんは、どう思われますか。




当て物式のホロスコープ鑑定や、各種占いの実践家
からしてみれば、占いを心理学扱いされることには
抵抗ある人もいるでしょう。




反面、占いの現場では、占いは心理学なのだと前置き
しておくことは、言い逃れを作れるので占い師側には
有利です。



実は私は、確かに占いは単なる
心理学でしかないと思っています。


うん。


その実感は生涯、覆ることはないでしょう。




ただ、私は、占いは、心理学というよりかはむしろ



「呪術」



と言ったほうが的を得ているのではないかと思います。





占いを



「心理学だ」



と言ったとき、問題になるのは







「んじゃあ、惑星の影響力や、
星座の影響力や、方位による
吉凶などは結局あるの? 
ないの??」






ということなんですね。




だって、ホロスコープが単なる心理学的な
問題なのであれば、それは思い込みだけで
成り立つ世界ですから、そこに運・不運を想定して
金運だの、健康だの、未来予測をするのは
間違っています。





逆に、占星術が心理学でないのならば、
本当に吉惑星の木星からは何らかの
人体に影響を及ぼすエネルギーが出ているし、
凶惑星の土星からも人間を不幸にさせる
ビームとかが放出されていることになる。




しかし、もしも、本当に占いが、単なる心理学的な
問題だけで成り立つ世界であるならば、それは単なる
思い込みなだけですから、むしろ





「なぜあなたは、ホロスコープを

見て“そうだ”と思うのですか」



という部分を掘り下げていかねばなりません。





この問題に関しては以前、





「今まで封印されてきた、占いの真実です」
という、こちらのブログ記事に書きましたので、
ぜひ今回の記事と併せてお読みください。
↓  ↓   ↓

http://blog.livedoor.jp/ajishirabe/archives/3474884.html





しかし鏡リュウジさんも、このマギー・ハイド女史も、
占星術を心理学だと吹聴しておきながら、その一方で、
本来は本人の努力次第でしかない



「恋愛運」


だの、



「金運」



だの、


「職業運」




だの、クライアントに有料で
教えているわけですよ。



心理学を標ぼうしながら、当て物を
やっているわけです。



鏡さんなどは、自分は実際の占いをやっていなくて、
単なる星占いを書いているだけ、というスタンスの
ようですが、その星占いがすでに


「当て物」




を意識されて書かれている以上、言っていることと
やっていることが一致しておらず、やはりこの人は
生活費を稼ぐためならハッタリでも詭弁でも使う
不誠実な性格なのだなとどうしても感じます。


これは激しい矛盾であるし、単にオカルトビジネスを
やる上で都合が良いから、心理学という言葉を用いて
自分を正当化させて、人を騙しているように見えて
仕方がありません。



とにかく、これらの人々が決定的に誤っており、
なおかつ、汚い手口なのは、



「心理学」



という言葉をカネ儲けのために
悪用していることなのです。



第十宮に土星がある人の職業運は?




という風に論文を書くのは間違っていて、
第十宮に土星があると教えられた人は、
こういうキーワードによってこんなイメージを
植え付けられ、ネガティブな気持ちになるが、
そんなものに負けてはいけません。占星術は
単なる心理学なので、言葉による呪いに
過ぎないのですと、



「anan読者」


に、キッパリ言い切ってやらなきゃダメなんです。



その呪いを超越するために、仏教が説くように、
きちんと心を鍛えましょう、素晴らしい人間性を
培いましょう、と、教えてあげられる人。



そういう、占いを呪術だと心底認識できる人間しか、
人様を占うなど、本当はできないのではありませんか?



鏡リュウジさんはその点、自己弁護とカネ儲けの
ためだけに占い・心理学を用いていますから、
やはり問題が無いとは言えない人だと思います。




さて、そんなマギー・ハイド女史が書いたこちらの、
ユング入門の本なんですが。




やはり読んでみると、




「なんだよ、やっぱり、ユング自身が
星の影響なんて否定してるんじゃないか」



という記述があって一安心しました。




私がユングを気にするとき、鏡リュウジさんが
しきりと自著で書いていた



「ユングによる占星術実験の話」



が、すごく気になっていたのです。




鏡さんはどうしても、自己弁護に終始した
書きっぷりになる人なので、ユングの実験に
関してもよく自著に書いているのですが、
その内容がどうしても歯切れが悪くて、
まるでユングが占星術を丸ごと肯定しており、
占星術を心理分析の現場で積極的に用いていた
と誤解させかねない書き方なのですよ。。。



でも、この本を読んだら、鏡さんとオカルトビジネス
をしているマギー・ハイド氏本人が、ユングの占星術
実験について書いていて、しかも最終的に実験結果は
占星術の正当性を否定するものであったときっぱり
書いています。


なのに、本人は占い鑑定をして
メシを喰っているという、



「二枚舌にもホドがある状態」



なのが、



「そんなにおカネが欲しいの??」



と、資本主義のむなしさを感じてしまうんですが。



実はユングは、1911年、36歳くらいの頃から、
占星術の研究をし始めるのですけども。




それを占い師側が勝手に誇張・歪曲して、あたかも
占星術の正当性を調べていたかのような書きっぷり
だから、無知・無学な占い師がたくさん増えるんです。





ユングは


「星の力は人間に影響をするか?」


という研究をしたのではありません。



なぜ、占星術が当たったと感じる人間がいるのか。




占いが当たったと感じるとき、そこにはどのような
心理的メカニズムがあるのか。



そういう、むしろ、占星術を盲信する目線では
なくて、初めから星の影響なんかないのはわかった
上で、そこに意味を見出す人間は、いったいどういう
心理なのかということを研究したのであります。



ここを絶対に誤解してはなりません。




だから、星が人体に与える力を盲信しすぎて
狂信的体系になりすぎている占星術をユングが
擁護していたと考えるのは、誤りなのです。




ユングは単に、人間の霊魂のありかを探るために、
占星術というものを実験素材に使ってみただけなのです。




ユングが行った占星術の実験は、2種類あります。




一つは、既婚のカップルを調べてみる実験です。




ユングは、数十組の現実のカップルのホロスコープを
取り寄せました。



伝統的に占星術では、以下の3つの条件が
もっとも結婚に強く働く相性であると考えられています。





相性A 片方の上昇宮の星座と、片方の月が
    同じサイン(星座)にある。


相性B 片方の太陽の星座と、片方の月が
    同じサイン(星座)にある。

相性C 片方の月の星座と、片方の月が
    同じサイン(星座)にある。




↑ こういう、出生天球図を双方が持っていた場合、
結婚にもっともふさわしい相性であると、伝統的に
言われていた(実際に今でもそう言われています)。




それで、ホロスコープを取り寄せてみたわけですが、
やはり送ってくれる方々のタイミングなどもあるので、
いっぺんにホロスコープを集めることは出来なかった
わけです。




最初に届いた夫婦の出生天球図を見たとき、ユングは
喜びました。



と、いうのも、最初に届いた複数組のカップルの
ホロスコープは、相性Aを示すものが統計的優位性
を持って現れたからです。


「これはすごい! 本当に占星術が言うように、
ホロスコープには不思議な“何か”があるのかも
知れない」



と、ユングは興奮しましたが、それと同時に、



「もしかしたら、この次の群が別の結果になる
としたら、それはいよいよ、自分の仮説が正しい
ことにもなるに違いない」



とも考えました。




続いて届いた第二群のカップルたちは、
相性Bが優位でした。




さらに第三群では、相性Cが優位だったのです。


つまり、


「ユング本人があらかじめ期待していた通りの
データが現れた」



ということなのです!!!



これは占星術による、星の影響を決定的に
否定する結果なのです。




ユングは続いて、第二の実験をしました。




性格をよく知る自分の分析患者を3人集めて、
結婚相性の調査のときに集めたたくさんの
ホロスコープを、くじで順番に引き出して
もらったのです。



すると、性格的に激しやすい傾向を持つ女性は、
占星術で怒りや破壊を表す火星が非常に目立つ
ホロスコープを引き当てました。




同じく、抑圧傾向を持つ女性は、月と地平線が
合になるホロスコープを選びました。




3番目の女性は自分の中に、心理的な葛藤を
抱えており、それを統合することが目的だった
ので、それを象徴するように月と太陽の合の
ホロスコープを引き当てました。



これが何を意味するのか。




その②に続きます。。。