和泉宗章さん@真夏の占い死ね死ね感謝祭 その② | 占星術小説家@酒井日香の占い死ね死ねブログ

さて、私の大先輩



「和泉宗章さん」



を、勝手に話題にしている第二弾なんですが。






この本の中でたびたび、和泉さんは



「易原病」




という言葉を使っておられます。




「医原病」



という言葉を易に言い換えた言葉なのですが、

医原病とは何かと言うと、医者そのものが

原因になっている病気ということです。



占いも、占い師自らが相談者の不幸の原因を

作り出してしまう側面があると、そういうことです。




これは私にも経験があります。




私の場合西洋占星術でしたが、西洋占星術に限らず、

占いの所見では、ときどきずいぶんと断定するような

記述が出てくることがあります。




たとえばホロスコープですと、



「第五ハウスに土星があり、マレフィック(凶星)と悪い

角度を形成していれば子どもは死産、または流産、

奇形児、中絶」




とあります(門馬寛明著 「占星学入門」 より)。




んで、学ぶほうのこちらは、そういうホロスコープの持ち主

がいたら、それをそのまましゃべってしまうわけですね。




実は、私と同じ占い教室に通っていたある占い師は、

それをその通りに相手に話してしまい、ショックを

受けた相談者が産むことに恐怖を感じて本当に

中絶をしてしまった、という事件がありました。




それを得意になって、その占い師は話していましたが、

マトモな感覚ではありません。




それを聞いて怖いなぁと思いましたけどね。。。









占いとは時として、




「人間にひどく暗示を埋め込んでしまう」




諸刃の剣なのです。






たとえば、いろんな占い師に




「あなたは短命だ」




と言われていたある女性は、本当に死に急ぐように

30歳で交通事故で亡くなったそうです。




「あなたは離婚する」




と、結婚する前に占い師に観てもらったことが

暗示として作用して、特に問題がない夫婦なのに

本当に離婚してしまう。




当人は




「占いって当たるのね」




と笑っているのですが、和泉さんからすると




「占いが与えた強烈な自己暗示、自己催眠を

自分で、無意識のうちに実行しているだけなの

ではないのか」




と分析しています。






実は和泉さんのこの指摘は、占いの問題点を

見事に示しているのです。




私ごとになりますが、私にも、占いの暗示が自分に

与えた深刻な影響について心当たりがあります。




実は、私は、子どもの頃たまたま読んだ



「マイバースディ」



という占い雑誌で、自分のホロスコープに家庭不和の

相があることを知りました。(第四ハウスに凶星、

凶アスペクトいっぱい)



そのときすでに、私の家庭は父親の怒声が絶えない

荒んだ一家だったので、私は


「ホロスコープって当たる!!」



と思って、すっかり刷り込まれてしまったのです。



そして、その後、15歳で母が亡くなり、18歳で父が亡くなり、

祖母も亡くなり、たった一人の兄は行方不明で、そのうえ、

親の残した借金のためホームレスで追い出されて

しまったのです。



私はホロスコープを調べました。



そうしたらやはり、



「第四ハウスに冥王星がある人は、一家離散」



とありまして。。。



んで、ついつい、門馬寛明氏を訪ねて、ホロスコープ鑑定

してもらったのがつまづきの始まり、長い迷路の始まりと

なってしまったわけですね。


親が早くに死んで、ホームレスなのは仕方がないのです

けれども、門馬さんはこの私の


「第四ハウス(家庭運のハウス)にあって、悪い星と

たくさん凶角を作っている冥王星」



について、ことあるごとに私に、


「酒井さんは家庭運がない。結婚できない。

結婚しても離婚するし、子どもにも恵まれない」



と言うもんですから、今の夫と結婚したときにも


「子どもは授からない」


と、自分でも思い込んでいました。



しかし、無事に授かりましてですね。。。



んで、ホロスコープの所見を持ち出しては


「子どもは障害児かも知れない」


とか、


「相当な難産かも知れない」


とか言うので、私も出産前に相当不安定になりましたが、

そもそも、そんなことを自信たっぷりに言うのって、

思いやりがないではありませんか。



「そんなことを、こんな時に、自信たっぷりに言う

こいつらって何なんだろう」



と、私はだんだん、ホロスコープに興じる人たちの

傲慢さ、気持ち悪さを感じるようになり、出産を境に

して占い教室とは縁を切りましたけれども。。。


んで、冷静に考えるとホロスコープの所見では


「一家離散」




と書いてあるだけで、



「一家全員死亡。天涯孤独の身」



とは書いてないわけです。



「一家離散」


と、



「天涯孤独」



では、イメージが似通っているだけのことであって、

その単なるイメージを勝手に自分で結びつけて

いただけなのですね。。。



私は本当は、子どもの頃から漫画家や作家に

なりたかったんです。



しかし、ホロスコープの先生に


「あなたは占い師が天職。作家には絶対になれない。

文筆の才能はまったくない」




と言われていて、だいぶ洗脳されてきました。



自分でも


「そうなのかも」



と、思い込み過ぎてしまって、それで、35歳で



「失敗してもいい。自費出版でもいいから小説が描きたい」




と、ふっきれるまで、呪いの言葉にずっと呪縛され続けて

きました。



あの占いがなかったら、もっと早くから失敗など恐れずに、

やりたいことをやっていたのに。。。



なんて、悔やむことが今でもあります。



和泉宗章さんが言っている


「易原病」



という言葉は、そういうことなのです。



悪い予言は、その人の潜在意識に変なプログラミング

を与えることになる。



その結果、なんだか



「占いの通りに行動しなきゃ

いけないような気がしてしまう」




のです。



だからこそ、占い師はイコール、呪術師でもあり、

霊を自由に操れる存在として、大昔から怖がられて

いたんですねぇ。。。



こう話すと逆に、



「いい予言を刷り込んでもらえたら、それじゃあ

いい結果になるってことじゃないか!」



と、思う方もおられるでしょう。



確かに、そういうケースもゼロではありませんが、

実はいいことを占いで言われたからと言っても、

逆にそれがその人の運を壊してしまうこともあるのです。



私が聞いたあるケースですが、占い師にたまたま、

飲み会で出会った男との相性を観てもらったところ、


「素晴らしい相性。運命の人」



と言われ、すっかり信じ込んでしまった女性がいました。



それで結婚したのですが、実は男はカネ目当ての結婚

だったようで、同居したとたんに彼女のカネを盗みまくり、

親の持ち物も勝手に売り払って、カネを取れるだけ取って

トンずらしてしまいました。



その人はその占い師を訴える、と息巻いていましたが、

立件は難しいようです。



なんというか、人間、


「いいこと」




を言われても、特に平穏なときだと、



「ふーん」



くらいなんですよねぇ。。。



まぁ、期待しないで待ってみるか的な感じというか。。。



それが普通で、そういう人はいい予言であっても

痛烈に信じこむということはないんですが、良い予言を

痛いくらいに信じ込んでしまう人は、それにすがらなきゃ

精神の安定を保てないくらいノイローゼ気味になっている

人たちばかりです。



そうなると、そもそもマトモな判断力ではない状態なんです

から、いい予言だって当たりっこないわけで。。。



でも、無意識の強烈な暗示が作用してしまっているため、

実は占い結果とは真逆の、よくない状況になっている

のにも関わらず、なかなかすぐに現実に対処できなくなる

というところがあります。



そう考えると、



「占い」



は果たして、開運のために必要なのか??



これは単に、心理学の領域の問題ではないのか??



ということになりますよね。



そこで最近の占いはやたらと



「心理学」



に結び付けて、自分たちを正当化し、世間の批判を

かわそうと必死です。



鏡リュウジなどはその筆頭ですし、心理タロットとか、

カラーセラピー、オーラソーマなども、中身は単なる

占いなのにもかかわらず、やたらと心理学のふりを

したがっています。



しかし、占いが心理学との融合を図ろうとすればするほど、

占いの醍醐味である


「ズバリ、運命大予言」



の部分が薄まってしまって、お客にはますます不満を

与える結果になるでしょう。



そんな



「あたりさわりのない占い」



なんか、お客からしたらツマらないんですものね。。。



んで、占いが必死で求婚している心理学では、

脳科学、認知科学との合体・融合が進んでしまい、

ロールシャッハテストに過ぎない占いなど、心理学の

ほうが相手にしていません。



占いは今、その存在意義自体を問われているのです。



占い師がこんなに多くならなければ、占いの神秘の

ベールも綻びずに済んだのでしょうが、これだけ世の中に

あふれると、必ず反動が来ますよね。。。



和泉さんは、そういうことを本書の中でするどく

問題提起している。



占いの学問を盲信することが、どれだけ人の人生を

破壊しかねない怖さを秘めているか。。。



自分も、算命学は鉄板だと盲信していて、こういう

ことになったのだと、自戒を込めて記述しておられました。



んで、和泉さんは本書の中で、ある中国人コーディネーター

から言われた実体験を書かれています。


本書P164ページからのくだり。



台湾を旅行し、現地の行政の偉いお役人さんや、

実業家の人たちといろいろかかわることになった和泉さん。



そのときはまだ、長嶋騒動の前だったらしく、現役の

易者でした。



なので、名刺として


「算命占星学・和泉宗章」


というのを差し出そうとしたところ、同行していた中国人の

知人に



「それはやめたほうがいい」



と言われてしまいました。



なぜ? と問う和泉さんに、中国人コーディネーターが

中国・台湾の占い事情を話すのですが――。



実はここのくだり、私も長年疑問だった、



「あんなに頭のいい中国人が、本当に無根拠な風水や

羅盤を、盲信し続けてきたのだろうか」




ということに答える、非常に興味深い記述でありました。



なぜなら、日本の、そこらへんにウヨウヨしている

アホ風水師や、易者、算命学バカは、私が占いの

矛盾点を指摘すると、


「だって中国4000年の歴史だよ??

諸葛寮だって占い師だったわけだし。文王の

時代から連綿と受け継がれてきた中国の伝統なんだよ」



みたいに言って、まるで中国人がみんな、



「占いを全員信じている」




みたいな言い方をする人がやたらと多かったからです。



あの賢い中国人が、全員オカルトバカだなんて到底

信じられない酒井でした。


だから、中国古代史や、易経をぜひ、勉強せねばと

思っていた矢先だったのです。



んで、本書の中で、和泉さんの知人の中国人は、

和泉さんにこう話すのです。


「中国人は、占い師などは、正当な職業としてみなしていない。

占い師などと名乗ったらひどい差別の目で見られますよ」



と。



私もこの本で初めて知りましたが、中国には揚子江とか、

長江とか、ものすごい大河が縦横に走っていますよね。



んで、大河の流域には町村が栄えるので、河を伝って

大道芸をして歩く人たちがいた。



そういう人たちのことを中国では


「走江湖(そうこうこ)」



と呼んでいた。



そして走江湖の人たちのことを



「騙食(べんちゃー)」



と言って、蔑みの目で見ていた。



騙という字は、訓読みだと送りがながついて


「だます」



と読む字です。



つまり、


「人をだまして食べている人」



のこと。



占い師のことを、中国人は昔から



「騙食」



と呼んでさげすんでいたのです。



それで騙食の人たちは、自分たちの身分をしっかり

明かした上で、どうしても喰えないことを説明して、

邪魔にならない程度に商売させてもらってきた。



中国人の優しいところなのでしょうか。



そういう騙食が悪ささえしなければ、中国ではそっと

しておいてやる風習というか、伝統があったらしいですね。



だから今でも、中国や台湾で占いの師弟関係に

なるときには、師匠がきちんと弟子に


「マトモな商売ではないこと」



を、ちゃんと言うのだそうです。



そして、できればきちんとした、他の仕事につきなさいと。



これを読んで長年の疑問がだいぶ解けました。


やっぱり、中国人だって、風水のことをうさんくさい

と思っていたのですね!!



そりゃあそうですよね!!



中森じゅあんに聞かせてやりたいっスよ。。。



さらにいろいろ調べていたら、中国では大乗仏教伝来時に、

道教(占い)と仏教が大論争を巻き起こした事件があった

そうで、それは京都大学文学部教授でおられる礪波護さん

がお書きになった


「隋唐の仏教と国家」 中央公論社 刊



という本に詳細が書かれているそうなので、実は

さっきアマゾンで衝動買いしてしまいましたけども。。。(汗)



そっちの本は、明日くらいに宅配されるので、お盆休みの

お楽しみにじっくり読んでみようと思います☆



それもまた感想文を書きましょう。。。ぜひ。。。



そんで、本書P208に、西洋占星術大家のM氏と、

和泉宗章さんの対談の件が載ってましたけども。




それってもしや、私のかつての師匠、

門馬さん・・・・????




門馬さんは確かに、本書の中に書いてあったよーな

トンでも占星術理論を、私らにもよく話してましたがな

和泉師匠。。。



あー。。。和泉さんがご健在だったらなぁ。。。



マジで飲みに行きたかった、一緒に。



わしは悪党になりきれず、印税も受け取らなかった

和泉さんは、正直な、善良な人だと感じましたです。



そんな感じで道教本が続々と我が家に到着中。。。



夏休みはいっぱい本を読むゾ☆



んじゃっ☆