タロットや占星術、スピリチュアルの日本における起源 その① | 占星術小説家@酒井日香の占い死ね死ねブログ

さて、占いという



「果てしない迷宮」



から脱出し、本当に怖れのない、強い心を培う方法を

ご紹介する前に、いまいちど



「西欧神秘主義思想」



について概観してみましょう。



「西欧神秘主義思想」



というと、なんだか難しそうですが、中身はなんの

ことはありません。要するに神秘的なもの、科学的に

実証できないたぐいのものをすべて大事にしよう、

というものの考え方のことです。



この



「西欧神秘主義」



の歴史的背景としては、人間の根源にはどこの国の者

だろうと



「死の恐怖」





「自然への畏怖」



というのはありますから、そういうものの一つの結晶化で

あることみることができます。



しかし、ヨーロッパではカトリックの思想統制力が非常に

強かったため、17世紀後半、蒸気機関の発明による



「産業革命」



が勃興するまで、そういったいかがわしくも

面白いものたちは、キリスト教的世界観の中に

押し込められていました。



それがニュートンとか、ダーウィンとか、コペルニクス

とか、そういう科学者たちが自然界の謎を次々と

暴いていく事実を受けて、自由に呼吸をし始めます。



他のヨーロッパ諸国に比べると当時のイングランド(英国)は、

植民地による莫大な貿易収支と、産業革命による技術力を

有し、さらにローマ・ヴァチカンとの決別でカトリックによる

縛りが少なかったので、本来ならば


「異端的」



とされる研究を、比較的自由におこなえる背景がありました。



科学という学問のインパクトはそれくらい強く、ヨーロッパ・・・、

なかでもとりわけイギリスでは、研究をしさえすればあらゆる事象に

真理があるはずだ、というような、ある種の



「論理的盲信」



が出来上がっていくのです。




上流階級の間では、死後の世界に関して具体的なことは

なにも答えてくれない近所の坊さんよりも、



「神秘的なものたち」



のほうが、安易に答えてくれるということで、

大々的に、真面目に


「研究」



されていくようになった。



それが18世紀の初め頃の、イギリスにおける

時代の空気感です。



そんな



「不思議なもの好き」



のイギリス人を大変に熱狂させる事件が、1848年にアメリカ、

ニューヨークで起こります。


ニューヨーク州郊外のハイズヒルという小高い丘の

一軒家に引っ越してきたフォックス家の次女と三女が

ベッドに入ると、決まってベッドの向こうの壁からノックの

音が聞こえてくるというのです。



驚いたフォックス姉妹ですが、なんと二人はノックする霊に

ノックを返してみた。


すると向こうがなんと、叩きかえして答えてくれる。



次第にいろんな質問をこの霊に向かってするように

なるのですが、この現象はイギリス本土にも広く

紹介されまして、



「いよいよ霊魂がいることの証明だ!!」



と、



「不思議なもの好き」



の間では大変エキサイティングな出来事だったのです。




ですけれども、のちにこのフォックス姉妹を




いんちき




呼ばわりする連中が現れ始めます。



んで、バッファロー薬科大学の研究グループが、

フォックス姉妹と壁の向こうの住人(?)のやりとりを

調査したところ



「膝の関節を鳴らしているだけ」



という調査結果を発表して、ブームは終わるかに見えた

のですが。。。。



しかし、



「西欧神秘主義思想家」



たちはあきらめません。



いや、調査方法が間違っているんだ、とか、

バッファロー大がカネでフォックス姉妹を

抱き込んだんだとか、喧々諤々の大論争を

繰り広げるわけですな。。。



んで、このままではヤバい、フォックス事件は

きちんと調査されるべきであると、



見た目は子ども、頭脳は大人、江戸川コナン

ですっかりおなじみ・・・・、




あ、間違えた、



「シャーロック・ホームズ」


シリーズで有名な作家、コナン・ドイルや霊媒師、

マダム・ブラバツキーなどを中心として



「神智学協会」



を発足させて、第二・第三のフォックス姉妹事件が

ないかとか、自分たちで起こせないかとか探究して

いくわけですが、なにを隠そうこの



「神智学協会」




こそが、日本におけるタロットブーム、占星術ブーム、

スピリチュアルブームの総本山なんですな。。。(汗)



占星術師としてアメリカでは有名なアラン・レオも、

この神智学協会の幹部をしていまして、占星術を

科学的に検証するとか、そんなよーなバカげた

ことを真面目にやったりして、


「魔女法違反」


として逮捕され、罰金を支払わされた過去があります。




アメリカの州法では今も、まじない・占いを軽犯罪と

して処罰する州があるのですね。。。




んで、アラン・レオは後年、活躍の場所を次第に

英国へ移していくのですけども。。。



英国ではもともと、イングランド王室が反ヴァチカンだった

ので、カトリックの制約に縛られないところがありました。


だから、ウィリアム・リリーという占星術師を

正式に国会顧問に任命し、占星術で国の方針を

決めていたというイタい歴史があります。



この歴史は今や、イギリスの暗部として機能していますが・・・。



とにかく、伊達にストーン・ヘンジを作ったケルト人の

末裔ではないのです、あいつらは・・・。



英国人の



「不思議なもの好き」



は筋金入りなんですね・・・・。




んで、そういう18世紀イギリスで主に勃興した



「この世のあらゆる不思議を愛しちゃうオタク文化」



が、そのまま毎日新聞や共同通信社などのプレスを

通じて、日本に紹介されるようになるわけですよ。



んで、新聞や雑誌がこぞって、イギリスの


「摩訶不思議ブーム」



を紹介した。




んで、戦前の不安な世の中の動乱に、この西欧神秘主義

はひそかに日本人にも好まれるようになり、戦後の

高度経済成長の中で爆発的ブームを作り出していくのです。




しかし、イギリスで



「神秘主義」



が大流行した背景には、まずはイギリスの植民地

政策があって、産業革命があって、イギリスの豊かさが

あったことを忘れてはなりません。



日本でのタロットブーム、占星術ブーム、スピリチュアルブームも



「高度経済成長」



や、



「バブル経済」



という、社会背景があったことを忘れてはいけないのです。



つまり、世の中みんな贅沢病になってしまって、

カネを持て余していたから、そんな子供のお遊び

みたいなものが流行るんだということ。



宗教学者・島田裕巳さんも同じことを指摘しています。



「新宗教、新新宗教や神秘主義が流行るときは、いつでも

時代が好景気のときである」



と。



(長くなったのでその②に続く)