【アイスクライミング】層雲峡③ 銀河の滝 | 群馬境町山の会 "SAKAIMACHI Alpine club"

【アイスクライミング】層雲峡③ 銀河の滝

2024年01月03日

参加者:草田(フリー)・桐林

 

ついにきた。

銀河の滝に。

 

まずは渡渉

ウェーダーの草田氏は良いが、桐林は長靴+ゴミ袋 90ℓ

あ!っと思ったら、石狩川の水があらあら、ゴミ袋へ。

靴下が濡れた瞬間、終わった…。草田さんごめん!っと思い、一時撤退。

草田氏の声はなく、心配さえしていない模様。

行くしかないか…と覚悟を決め裸足をゴミ袋に突っ込み長靴で再度渡渉。

もうちょっと心配しろよと毒つくがどんどん先へいく草田氏…。

 

今年はまだ入っていないようで、ラッセルで滝の取り付きに。

1P目は良いが、それ以外はプロテクションが取りづらい。

ラストの4P目はボコボコなシビアなバーディカルで、桐林リードだったが、引き立て役になって撤退。

草田氏リードで落口へ。

プアな条件でも行ける自信がなければ越えられない壁だった。

 

自分でもわからないぐらいフロー状態で登り続けられたが、

4P目のステ縄を見た時、撤退の文字が脳内を占めた瞬間のあの恐怖感。

フォローでもパンプパンプ。

ボコボコバーディカルを登った草田氏に乾杯。

あなたがいなければ、撤退で銀河を終えていた…。

 

滝の様子は、後尾の草田氏追記の文章から

 

銀河の滝 落口にて

 

1P目 40m 草田氏リード

 

2P目 40m 桐林 雪壁リード

 

3P目 40m 草田 シビアな雪壁リード 

 

4P目 プアプロの最終ピッチ 桐林リードでいくも、右壁に取り付けず左岸側のステ縄で懸垂撤退

 

4P目 シビアなボコボコなバーティカルを果敢に取り憑き、乗り越した草田氏

 

銀河の滝 全体図

 

追記ーーー草田氏より

 

実際に見るまでは、登れるかは半信半疑だった。

 

写真から見るその姿は圧倒的で、他の滝をどんなに登っても自信になるコトはなかった。

でも現地で見た時、登れると確信した。根拠はない。 

寒空にそそり立つその大瀑布に凌駕され、畏敬の念も抱いた。

それでも畏れはなかった。今年初めて落ち口に立つであろうその喜びの方が大きかった。

 

下見と打ち合わせをして 1 月 3 日、満を持して挑む。

新しく買った X-DREAM も馴染み、不安はない。

渡渉し、ラッセルで進み、取りつきに着く。

気温はマイナス一桁台。風はなく、やや暖かめ。

遠目から見た時、最終 4p 目の凍り付きが甘かったように思えたが、真下から見る限り大丈夫だろう。

午前 10 時、予定通り私からリードをする。

幅広の 1p 目。

どこでもいいから、豪快に真ん中を進んでいく。

難易度はそこまで難しくない。

アックステンションをせずとも行けそうなくらいだが、初の大瀑布。

腕がパンプしては何しに来たのか分からない。

慎重に、安全策で進んでいく。

上部に差し掛かると、積もった雪のせいでスクリューの効きが悪い。

気休め程度だなと思いながら、サクサクと登っていく。

そうして最後に雪稜を横切って 1p 目の終了点にたどり着いた。

拍子抜けするほど、案外あっさりとしたものだった。

2p、3p 目はアルパインといった感じで、アイスクライミング感はない。

支点は氷が露出している所にスクリューを差し込む。

面白味はないが、高度感はある。アルパイン好きとしては嫌いではない。

が、 せっかくの大瀑布の大半の高度を雪上で稼いでいるのは、虚しさもあった。

そうしてあっという間の 4p 目、桐林氏が満を持して落ち口を目指した。

テラスから見ると中央にライン取りするべきように思える。

しかし彼は右岸に沿って登っていく。

やがて見えなくなってから、「懸垂で下りる」との声がした。どうやら断念したようだ。

時間は 13 時半を過ぎた頃。

日が暮れるのが早い北海道でも、まだ時間はある。

せっかくここまで来たならその頂点に立ちたい。

そう思い、リードを代わってもらった。

滝の中央目指して進む。

が、雪氷でグズグズの氷に、アックスが逃げる。

真下への荷重はかかるが、少しでも横へ力をかけようものならすぐすっぽ抜ける。

この状態でのトラバースは危険だ。

結局私も、桐林氏と同じルートに収束する。

やがて彼が行き詰ったであろう場所まで辿り着いた。

この先は 15m 程度のバーティカル。

アックスは真下にはしっかり刺さるので、技術的にはそこまで難しくないだろう。

 

ただ、支点がない。

スクリューが刺さらない。

 

辛うじて取れてもスカスカで気休め。

絶対に落ちられない本チャンが始まった。

 

身体を反らしながら、一手ずつ登っていく。

手も足もよく決まる。不安はない。

支点が取れないコトを除けば。

余裕はあったが、万が一も起きないようアックステンションでのレストを挟む。

できればその間にスクリューをぶち込みたかったが、それは叶わぬ願い。

考えるだけ無駄なので、無心で登った。

そしてようやく最後の乗越まで辿り着いたが、雪に埋もれて肝心のアックスが氷に刺さらない。

片手にぶら下がりながら、必死に雪を落として氷を探す。

流石に腕も疲れてきた。そんな頃ようやく刺せる氷が現れた。

 

今年初めて銀河の滝を攻略した瞬間だった。

 

不完全燃焼だった 3p 目までとは違い、 4p 目は充実感があった。

凍り付きが甘い氷瀑を攻める。

先駆者の跡はない。

そういった中で会心の登攀ができた。

これは今後への大きな自信になるだろう。

そうして再び駐車場へ戻って滝を振り返った時、大瀑布がなんだか朝よりもちょびっとだけ大きく見えた。

ありがとうと呟いて、夕暮れの温泉へと消えて行った。