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『「経理AIエージェント」ー“デジタル労働力”で仕事が回る―』

               (黒崎賢一著 クロスメディア・パブリッシング)

 

■         AIが人間に代わって働く、AIエージェントの時代が来ました(はじめに)

 著者の黒崎氏は、筑波大学情報学群情報メディア創成学類在学中の2012年に、現在のTOKIUMU(創業当時の社名はBear Tail)を創業しました。TOKIUMUは、デロイト・トーマツによる、テクノロジー企業成長率ランキング「Technology Fast 50 Japan」の20位(2025年)にランキングされる成長企業です。

 著者は、TOKIUMUの事業を通じた経験を基に、紹介本「経理AIエージェント」を著しています。そこで、紹介本の理解を深めるために、TOKIUMU(以下TOKIUMUをT社と表記)の事業の推移・特長を見てみたいと思います。(「TOKIUMUの事業の推移・特長」については〔注2〕の【図表1】P1を参照下さい。)

 T社の主な業務は代行業務と捉え(勿論、SaaSベンダー事業も運営)、その推移を見ていくと、人間がAIを補助ツールとして使っていた時代から、AIが主役として自律的に働き、人間が補助(確認など)に回る「AIエージェント」の時代になったことが理解できます。まさに「AI自動化の3ステップ」の最初の段階「ヒューマン・イン・ザループ」が始まったのです。(「AI自動化の3ステップ」については〔注2〕の【図表1】P5を参照下さい。)

 T社は、嘗ては、企業の経理事務(入力・書類保管など)を“主に、人間が作業を代行する”、代行業を運営してきました。この時代に、T社は、“AI/OCRで大枠をデータ化し、残りのエラーや不確定要素を、数千人規模のプロスタッフ(オペレーター:〔注5〕参照)が、目視・補正する”、「人とシステムの融合」によって、実務に耐えうる精度を実現してきました。これが、後のAIエージェント化において最も重要な「正確な学習データ」と「業務ノウハウ」の蓄積に繋がりました。同時に、Anthropic社のClaude Code等のエージェント型コーディングツールの出現、LLM(Large Language Model;大規模言語モデル)の進化など、AIの大きな進化がありました。

 これらを背景に、2025年5月、T社は、TOKIUM AIエージェント「TOKIUM AI経費承認」「TOKIUM AI出張手配」「TOKIUM AIヘルプデスク」「TOKIUM AI経費監査」「TOKIUM AI新リース判定」「TOKIUM AI請求照合」「TOKIUM AI明細入力」「TOKIUM AI納品明細」(2026年3月のリリース)など8つの経理AIエージェントサービスの提供開始を発表し、2026年5月には、経理を丸ごと委託(世界標準の、ERP<ex;SAP>と会計システム<ex; Blackline>導入企業であっても、速やかに連携し、データ入力、消込などの作業をアウトソース)出来る、『AI BPOサービス「AI Agentic BPO」』をリリースしました。即日、日経の記事になりました。(日経記事は、〔注1〕を参照下さい。残念ながら、この記事では「AIエージェントによる、BPO(Business Process Outsourcing)」という画期的なサービスには注目したものの、従来の「SaaS」から、新たな「SaS」への変化には気付いていません。

 著者はこの変化を、自身のnoteブログ(2026.5.11〔注2〕)で、次のように表現しています。『10ヶ月前、私は「経理AIエージェントの会社になる」と(noteブログに)書きました。今回、私たちは「経理を社会インフラにする会社になる」と言い直しています。10ヶ月で、ここまで解像度が上がりました』と。

 つまり、「SaaS」から「SaS」への変化(「経理AIエージェント」)に加え、その先の、多くの企業の経理を丸ごと受託する「ファウンドリ」(「経理の社会インフラ」)へと、更なる進化を遂げたことを言っているのです。(これについて、以下で詳細説明をします。)

【2つの大きな変化に注目しましょう;

      ―『「SaaS」から「SaS」へ』&『自社内作業からBPOへ』―】

 2025年5月の、「経理AIエージェントサービスの提供開始を発表」の背景には、「SaaS(Software as a Service)」から「SaS(Service as Software)」へのパラダイムシフトがあるのです。つまり「ソフトウエアを契約し、人間が、入力する“SaaS”」から「AIが、書類の読み取りから処理まで全て自律的に行う“SaS”」へと、大きな仕組み・機能の変化があるのです。この大きなパラダイムシフトが、次に説明する、2026年5月に発表した、“BPO”と“SaS”のハイブリッドの画期的なサービス「AI Agentic BPO」に繋がるのです。(「SaaS」と「SaS」の違いについては、〔注3〕の【図表1】P4を参照下さい。)

【「AI Agentic BPO」はなぜ画期的なサービスか】

 結論から言いましょう。「AI agentic BPO(BPOとSaSのハイブリッド<〔注3〕の【図表1】P3を参照>)」は、製造業における「ファブレス(工場を持たない会社)」と「ファウンドリ(受託製造工場)」の関係と同じビジネス・モデルを、経理などのバックオフィス業務領域に於いて、生み出したのです。

 つまり、委託企業は、成果物の確認のみとなる「ファブレス」に、TOKIUMUは、AIエージェントに必要なソフト・インフラ( 「AIエージェントを構成する4つの部品<〔注3〕のP9を参照>」)や、ハード・インフラである、データセンター(レンタル)、受託書類の保管用の倉庫などを有して、受託作業をこなす、「ファウンドリ」になったのです。

 「AI Agentic BPO」は、世界標準の、ERP<ex;SAP>と会計システム<ex; Blackline>や、その他のシステムとも、速やかに連携でき、スピーディに「ファブレス」に移行できる、まさに、AIエージェント時代のBPOツールと言えます。

 加えて、大企業の財務・バックオフィス業務を預かるプラットフォームとして、いずれの領域でも、東証プライム上場企業やグローバル企業の監査に耐えうるレベルの体制を構築しています。

 具体的には、監査認証(SOC1 Type2 レポート)の取得 <米国公認会計士協会(AICPA)の基準>、 ISMS認証(ISO/IEC 27001)の取得、プライバシーマークの取得や、危機管理体制対応(BCP<事業継続計画>など)を、整備・獲得しています。

 (『「AI Agentic BPO」の画期的なサービス(卓越性)』については、〔注3〕の【図表1】P2を参照下さい。)

【「AI Agentic BPO」の「経済効果」と「人的効果」を視る】

 ここで、「AI Agentic BPO」の効果を試算してみました。(試算の前提は、15,000件/1か月の経理処理を、11人<派遣10+正社員1>でこなしている、大企業をモデルケースとし、導入しない企業と導入した企業(自社内製の導入とBPOによる場合)の3ケースを、5年累計金額で比較してみました。)

 「経済効果」は、5年累計で、導入しないケースと比較し、1億7900万円の改善効果が有ります。BPOをしないで、自社内製で「AI Agentic BPO」を導入した場合は、導入しないケースと比較し、1億3000万円の改善効果が有ります。

 「人的効果」(BPO<丸投げ>のケース)は、T社の増加(1名)も含め、導入前の11名が2名迄(約▲80%の削減)の省力化ができます。この省力化による余剰人員は、新たな職務・業種に移動できます。(「AI Agentic BPO」を企業が導入した場合の「経済効果」「人的効果」については〔注3〕の【図表1】P6、P7を参照下さい。)

 著者は、「2035年には、850万人の人手不足が生じ、一方、AIの活用(AIエージェントやフィジカルAI等)により、1,170万人の労働力を補える(みずほリサーチ&テクノロジーズのレポート<〔注3〕の【図表1】P8を参照>を引用)」と指摘しています。日本の総経理事務員を230万人とし、「AI Agentic BPO」等のサービス導入した場合、最大、その約80%の180万人を省力化でき、不足労働力を補えます。

 さらに言えば、経理事務だけではなく、自治体の定型作業などにも応用可能です。著書が示す、「AIエージェントを動かす設計図―マイクロタスク分解―」と同様の設計が描ける、定型業務の全てに活用できます。人手不足社会に変革をもたらすツールと言えます。勿論、業種・職種間のミスマッチ解消は課題です。(「AIエージェントを動かす設計図―マイクロタスク分解―」については、〔注4〕の【図表2】を参照下さい。)

 著者は、この様なAIエージェントによる変化を「変革」と言い、『変革は「経理」から始まる』と述べています。次項では『「経理」から生まれるイノベーション、そして、全社へ』の視点で、見てみましょう。

〔注1〕日経2026.5.25記事「TOKIUM、AIによる業務代行サービス、3年で売上高50億円目標」は、以下URLから参照下さい。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC231HK0T20C26A5000000/

〔注2〕「noteブログ黒崎賢一2026.5.11」は、以下URLから参照下さい。

https://note.com/ken1kurosaki/n/n52a3d90374c6

〔注3〕『私の本棚2026.9.22【図表1】“著者が代表を務める「TOKIUMU」の事業の推移とAIの進化”』のURLは下記です。

URL:https://ameblo.jp/sakaigmo/entry-12979427774.html

〔注4〕『私の本棚2026.9.22【図表2】「AIエージェントを動かす設計図―マイクロタスク分解―とは(経理業務-経費精算-を例に、マイクロタスク分解をしてみました)」』のURLは下記です。

URL:https://ameblo.jp/sakaigmo/entry-12979428540.html

〔注5〕TOKIUMUの「プロスタッフ(オペレーター)」の仕組みについては〔注3〕【図表1】のP3の〔注〕を参照下さい。

 

■         「経理」から生まれるイノベーション、そして、全社へ

 著者は、AIエージェントの実用化し易い領域としてバックオフィス業務を挙げています。その中でも、経理・財務の分野は、定型的な業務が多く、業務プロセスが段階的で判断基準がマニュアル化されており、法制度や基準に従う必要があり、決められた手順を機械的に実行し、ログ(履歴)を残せる、AIエージェントの活用に適した分野であるとします。

 また、経理業務は、顧客を直接巻き込まない領域で、営業や製造のように、AIが間違えたことにより、信用や品質に問題が起こることはなく、あくまで自社内で完結できる業務が殆どです。

 従って、AIエージェントの導入を「まずやってみる」と言う視点で考えたとき、経理業務は最適であると、著者は言います。そして、経理業務の自動化は、成功すれば明らかに時間が削減され、利益に直結します。AIエージェントへの投資の回収も容易です。

 この様に、経理業務の自動化は、リスクが少なく、効果も出やすいのです。経理業務から導入を進めることで、AIエージェントのインフラとノウハウが蓄積され、他の分野に広げやすくなります。全社でのAIエージェントの活用が進むことで、企業の競争力の強化にもつながります。(「AIエージェントのインフラ」については〔注3〕の【図表1】P9を参照下さい。)

 また、経理業務の自動化は、旅費・接待交際費の清算、発注・納品、通勤費・住宅手当の清算起票など、全社員と関係してきます。導入前と比べ、作業が簡潔・正確になり、全社的に生産性が向上すると同時に、AIエージェントの効果が社内で認知され、ほかの業務でも活用したいという声が生まれ、AIエージェント化が全社的に広がっていきます。

 

■         AIエージェントを活用し、未来を切り拓こう(むすび)

 AIエージェントの活用により、本来人間が望んでいない単純作業から解放され、より創造的な領域に集中できるようになると同時に、人手不足社会の変革も出来ます。

 社会の課題解決を果たし、生まれた時間で「創造的活動」に挑戦し、社会の幸福感を高め、さらなる経済成長を遂げましょう。

 

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

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