「よあけ」ユリー・シュルヴィッツ作 瀬田貞二訳 1977年 福音館書店 定価1200円

 

絵本専門士2人のユニット、sakaguraです。

働く大人にもぜひ絵本を届けたいと願い、活動をしています。

 

早起きをしようと思っても、窓の外はまだ暗くて、

もう一度暖かい布団にもぐりこみたくなる今日この頃です。

 

日の出がもっとも遅い日は、冬至から半月ほど過ぎた頃だそうなので、

これから夜が明けるのも早くなっていきますね☺️

 

今日の絵本は「よあけ」です。

 

 

暗く静まりかえった夜。

おじいさんと孫が湖の木の下で寝ています。

次第に光が感じられるようになり、空が少しずつ明るくなると、おじいさんは孫を起こします。水を汲んで火を焚いて、毛布を片付けるとボートで湖に漕ぎ出していく。

あらすじにしてしまうとごく短いお話ですが、一つひとつの情景が実に繊細に、丁寧に描かれていきます。

 

例えば、おじいさんが火をおこす場面。

絵本作家の五味太郎さんは、著書「絵本をよんでみる」(平凡社1999年)の中で、

すーっと立ち上る煙を見るためだけに、この絵本を開くことがあると書かれていました。

 

それにしても真夜中から夜が明けるまでに、変化していく空や景色の美しいこと!

暗闇が、最後にはこうなります。

 

 

キャンプをするにはまだまだ寒い時期ですが、自然と一体になるってこういうことなんだろうなあと思わされます。

おじいさんと孫、というのもまた素敵です。

 

作者のユリー・シュルヴィッツは、1935年にポーランドのワルシャワで生まれました。

幼少期には戦争に遭い、パリやイスラエルでの生活を経てからアメリカで絵を学び、絵本作家として活躍するようになりました。

日本語訳は瀬田貞二さん。静謐な絵に寄り添うように、淡々と、最小限の言葉で物語が紡ぎ出されていきます。

 

早起きをするのはつらい季節。

絵本を通して、美しい夜明けを味わうのもいいですよね💕