望海風斗さん主演の『ファニー•ガール』千秋楽を観劇しました。
SNSに投稿された観劇の感想がすべて“絶賛”で「いったいどんな舞台だろう?ぜひ観てみたい」と興味を持ったのです。東京にいるとよほど大人気の公演以外は直近でも探せば定価でチケットを手に入れられることが多い、ありがたいことです。
観て良かったと思いました。『ファニー•ガール』自体がとても素敵なストーリーだったし、そして何よりタイトルロールのファニーを演じた望海風斗さんが本当に素晴らしかったです。
皆んな良い人
古き良きアメリカのミュージカルだと思いました。ファニーを取り巻く人々に根っからの悪人が一人もいないんですよね。だからこそファニーが可愛い魅力的な女性に見えたのだと思います。
まず中尾ミエさん演じるファニーの母親ブライト夫人。もし自分の娘が一躍スターダムに駆け上ったら舞い上がって過度の干渉をするケースもあると思うのです。“ハリウッド映画の有名子役の末路”なんて記事を読むと、大体親が勝手に金を引き出したり契約を結んだり毒親化していくのが定番になっていますよね。
でもブライト夫人は地に足がついたしっかりした人です。ファニーを心から愛しユーモアがあり、そして何より冷静沈着。例えばニックの行動を一方的に責めるのではなくニックの辛さも理解しているし、愛するがゆえのファニーの行動が逆にニックを追い詰めたことも理解している‥完璧。
この母親に育てられたからファニーは明るく素直で前向きなのだろし、この母親がいるから安心して子どもを預けて仕事に邁進できるのだろうと思いました。
プロデューサーのジーグフェルドと友人のダンサー、エディもそうです。
ファニーの勝手や気まぐれに振り回されている立場なのに温かく見守りフォローしている。興行や名声よりもファニーが幸せになることが一番良いことと思ってくれている。
この二人の行動を見ていると、ニックのこととなると愛は盲目で“猪突猛進”してしまうけれども、普段のファニーは生まれ持った才能に胡座をかかず努力を怠らない真面目で頑張り屋の女性なのだろう。だから応援したくなるのだろうと思いました。
そして何より坂本昌行さん演じるニック・アーンスティン!
ギャンブラーだけど“クズ男”じゃないんですよね。ニックがどうしようもない“クズ男”だったとしたらね。自分に依存しているファニーを利用して引き出せるだけ金を引き出し、人気に陰りがみえるとサッサとファニーを見捨てて若い愛人に走る‥そんな展開になったと思うのです。
そしてもしニックがそんな男だったとしたら、騙されて捨てられたファニーは哀れではあるけれど自分の意志を持たない愚かな女になってしまったと思うのです。
『ファニー•ガール』のニックは違います。上品でハンサムで、ファニーが世に出るきっかけを作りファニーに美しいとささやき自信と希望を与えてくれた。決してファニーの金をアテにしないし何よりファニーに対して愛がある。
ファニーが恋に落ちる気持ちも分かるし、自分の稼いだお金をすべてを彼のために使いたいと思う気持ちも理解できます。
前向きな結末
何とか自分の力で成功しようと功を焦るあまりに詐欺に手を染めたニックを「今度は自分が変わる、仕事を辞めニックの人生を共に生きる」と心に決め、刑期を待つファニーが健気でいじらしかったです。
でも予感はあったのでしょう。別々の道を歩んだほうがお互い自分らしく生きられると、ニックの別れの言葉を静かに受け入れたファニーが凛としてカッコ良かったです。
寂しいけれど前向きで素敵な結末だと思いました。
望海風斗さんが圧倒的主役
最初ポスターを観た時、望海風斗さんと坂本昌行さんダブル主演のラブストーリーだと思っていたのです。でも圧倒的に望海風斗さんが主役でした。
物語はすべてファニーを中心にファニーの人生を巡って回っていたし、常にファニーが真ん中で歌って踊ってしました。そしてラストはもちろんこと、主要なシーンの曲はほとんどファニーが一人舞台に立って歌い上げていました。またカーテンコールで舞台中央から登場したのはファニーを演じた望海風斗さんだけでした。
そして素晴らしい歌唱力と存在感でその期待に応える望海さん。もうミュージカル版“座長公演”でした。ただ圧倒されました。それは観劇された方々皆さん絶賛するだろうし、こんな素晴らしい舞台を観れたことに感謝しました。
日生劇場
会場となった日生劇場は再来でしたが何年振りか記憶にないほど久しぶりでした。
各階のロビーには広々としたスペースがあり休憩用の椅子とテーブルが置かれていました。座席もゆったりしていました。今回の座席はB席だったのですが、お隣の宝塚劇場だったらA席の最前列ではと思う距離感で観やすかったです。東京宝塚劇場はとにかく座席数を確保することに特化して設計された劇場だったのだなと比べて気づきました。
螺旋階段や貝をモチーフにした曲線の壁面が美しくこのまま建替えせず維持して欲しいと願いました。
