星組公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』観劇しました。
とにかく楽曲が素晴らしかった。
そしてそれを演じる星組の皆さんの歌唱力と躍動感!
今、私は素晴らしい舞台を観ている…そう素直に思える公演でした。
星組の歌唱力
深く響く、それでいて天まで届くような伸びやかな歌声。今更ですが礼真琴さんの歌唱力が本当に素晴らしく、よりロナンに感情移入できました。
そして、礼真琴さんだけでなく舞空瞳さん暁千星さんをはじめとする星組の皆さんの歌唱力もアップしていたと思います。
以前星組の『ロミオとジュリエット』を観劇した時にね。礼真琴さんの歌唱力が突出し過ぎていて、礼真琴さんの歌だけがしっかり耳に届き歌詞もはっきり聞こえて、まこっちゃんが登場すると突然音のボリュームが変わってしまう。そんなバランスの悪さを感じたのです。
でも、今回は違いました。舞台が一つになっていました!
そのためロナンだけでなく、舞空瞳さん演じるオランプにも暁千星さん演じるデムーランにも極美慎さん演じるロベスピエールにも、“それぞれが自らの信じた道を生きたんだな”と感情移入することができました。
1789 月組と星組
実は宝塚ファンになって初めて観た大劇場公演が、龍真咲さん主演の月組公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』なんです。そのためとても印象に残っています。
龍真咲さんのロナンは、歌唱力もさることながらとにかくカッコ良かったです。
背がすらりと高く手足が長く小顔で、本当に同じ人間かと思うほど超絶スタイルでした。黄緑色の上着とスリムなパンツがとても似合っていて、少年と青年の狭間にいるロナンの若々しさが際立っていました。デムーランやロベスピエールが上流階級でロナンは貧しい農民の子のはずでしたが、正直まさおさんのロナンの方がノーブルで高貴な生れに見えました。誰よりも歌が上手く、誰よりもカッコ良く…だからトップスターなんだって納得したことを覚えています。
礼真琴さんのロナンはどちらかと言うと、等身大というか雑草感がありました。
仲間といっても住む世界が違うと葛藤し、そして最後に全てを受け入れて“どんな人間にも自由に生きる権利がある”と力強く語る。よりリアルなロナン像だったと思います。
それぞれに個性があり、初演が龍真咲さん、再演が礼真琴さんで本当に良かったと思いました。
唯一???と思ったところ
ラスト、バスティーユ要塞陥落のシーンで革命家の皆さんが「ロナンがバスティーユを登っている」と口々に叫んでいて、それで逆にこの場面、月組では龍真咲さんが実際にバスティーユの壁を登っていたはず…と思い出しました。
非常に体力を使うシーンだと思うので変更するのは全然構わないのですが、ちょっと間延びした印象になったので、もう少し上手にリニューアルして欲しかったと思いました。
※私の勘違いでした。壁を登ったのはおそらく帝国劇場で観た『1789』だったと思います。
礼真琴さんの休養の理由
1789、星組の皆さんの熱量が凄かったです。
素晴らしい楽曲、ストーリー、それを表現するために必要な体力と集中力は並大抵ではないと思いました。特に主役の礼さんが負うものは大きかったはずです。
長年トップスターの重責を担って、今年スタンダールの『赤と黒』そして『1789』と自身の代表作になるうる作品に巡り合った。“やりきった!悔いはない”と思っても不思議ではないです。
それが、110周年イベントのために継続を依頼されたら…確かに休養と充電の期間が必要になりますよね。集中力が続かない。1789を観て納得しました。
個人的には、トップスターに休養が必要なほど長い任期を科すべきではないと思っています。
宝塚ファンの私 今昔
当時
月組1789の配役はアルトワ伯美弥るりかさん、デムーラン凪七瑠海さん、ダントン沙央くらまさん、ロベスピエール珠城りょうさん、フェルゼン暁千星さんでした。
宝塚ファンになりたてで出演者の名前すら分からない状態でしたが、
アルトワ伯は個性があって面白い
3人の中で一番ロベスピエールが光っている、デムーラン、ダントンは印象が薄い
マリーアントワネットに比べフェルゼンが子ども過ぎる、なぜ?
そう思った記憶があるのです。
う〜ん。案外的確?
宝塚のスターシステムを知らなくても、対象として比べるものがあれば初心者でも何となく”路線“とか”抜擢“とか宝塚人事が推測できるのかもと思いました。
現在
1789を観劇しながら思ったのです。
宝塚の公演って“玉石混交〝振り幅が大きいって。
1789の1つ前の大劇場公演は雪組の『ライラックの夢路』でした。
1789演出の小池先生の1つ前の大劇場公演演出は宙組の『007カジノロワイヤル』でした。ハッキリ言って両方とも“駄作“です。
同じ宝塚の公演なのにこんなにレベルに差がある。しかも同じチケット代金。
でもフランス革命!と違って、誰も抗議も暴動も起こさない。
宝塚ファンは私を含めて、それを文句を言いつつ受け入れてずっと見続けている集団なんだと思いました。