星組公演、「鎌足 夢のまほろば 大和し美(うるわ)し」観てきました。
静かな感動のある舞台でした。
明るくて、楽しくて、キラキラ美しいショーが大好きだけど、お芝居も良いですよね。
観終わった後、ストーリーや登場人物に想いを巡らせることが出来ます。特に、次回作の『食聖』はコメディと予測されるので、プレサヨナラのこの時期に、心に残る作品を観れて本当に良かったです。
賢者の贈り物
劇中、鎌足は与志古こそ自分の希望であり、“志”なのだと言います。
最初は、与志古が“志”なの?ちょっと小さくない?って、違和感がありました。でも、突き詰めると確かにそうなのだろうなと思いました。
生まれに支配された人生ではなく求めるままに自由に生きたい、争いのない平和な世界を作りたい。でも、そのためには血を流す争いは避けれらない。きっと、それでも前に進んで行くためには、鎌足にとって、与志古という存在が絶対必要だったのだと思います。
なんかね。オー・ヘンリーの“賢者の贈り物”を思い出しました。
クリスマスに、妻は夫のために髪を売って金時計の鎖を買い、夫は妻のために金時計を売って髪飾りを買い…
与志古は、自ら進んで人質となり、天智天皇の妃となります。
鎌足は、自分の命をかけて、与志古を返してほしいと頼みます。
晩年の「色々あったけど私たちはこれで良かった」という言葉は、お互いがお互いをかけがいの無い存在と分かり合っている、だからこその言葉だと思いました。
紅ゆずるさん
鎌足を丁寧に演じていらっしゃいました。
歴史上では地味な藤原鎌足が魅力的に感じました。プレサヨナラにコンサートをするトップさんが多いけれど、きっとお芝居がしたいと望まれたのですよね。
お披露目でスカーレットピンパーネルを観た時、これがきっと紅さんの代表作で最高傑作だろうと思ったのですが、その後、アナワ、エルベ、そして鎌足と、紅さんの魅力を生かす素晴らしい作品に巡り会えて…私は本当に幸せ者だと思います。
綺咲愛里さん
10歳の与志古の可愛らしさ!綺咲さんの“可愛い”は鉄板ですね。
でも、それだけでなく鎌足を支える強くて聡明な女性も演じられていて、綺咲さんが演じたヒロインの中で、この与志古娘が最も魅力的と思いました。
花形ひかるさん
入鹿、熱演でした。やっぱり、鎌足と入鹿の関係を考えると、入鹿は鎌足より年長者が演じた方が説得力があります。
だけど、渋いばかりではない。スターとしてカッコよく、皇極天皇への熱い想いも切なく演じられていました。花形ひかるさんの存在が、この作品に深みを与えたと思っています。
有沙瞳さん
皇極天皇の有沙瞳さんがとても美しかったです。入鹿が自分の志を捨ててまで尽したいと思うのも、納得の美しさでした。憂いと勁さ、両方を感じるというか。有沙さんは、エルベのようなお嬢様役より、大人の女性の方が似合うと思いました。
天寿光希さん
私は天寿さんの抑えた重厚な演技が好きなので、船史恵尺はちょっとエキセントリック過ぎるかもと思いました。でも、僧旻を演じた一樹千尋さんとのバランスはとても良かった。なにより、恵尺の人外感が、“歴史は勝者が作る” この言葉の無常感をより際立たせたと思いました。
今回、バイトっていうんですか。
娘役さんが男役を演じたり、如月蓮さん、輝咲玲央さん、ひろ香祐さんといったベテランの方まで、早替わりをしてさまざまなシーンに出ていらっしゃいました。出演者全員が皆んなで協力して、一つの舞台を作っているのだ改めて感じました。