静かに妄想 うたかたの恋。 | riririのブログ

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「うたかたの恋」観劇後、名古屋から東京に戻る新幹線の車中で、“宝塚って、なぜこんなに美しいのかしら”って考えました。そして、“若くて美しいジェンヌさんが演じているからだ”と、当たり前の結論に改めて至りました。

 

今回の舞台でね。“男役さんにしては小柄な人だなぁ”と目に留まってお顔を見ると、大輝真琴さんで、“ずいぶんお顔が真ん丸の人だなぁ”と思うと、桃堂純さんだったのです。

 

そして、そう思った自分にビックリしました。

 

何故なら、前日に前泊して出待ちをしたときに、ファンの方とお話しする大輝さんをみて、“やっぱり男役さんは背が高いのだな”と思い、出口ですれ違ったと桃堂さんをみて、“やっぱりジェンヌさんはスラッとしている”と思ったからです。一般人に混じると際立つ容姿の人ですら、スタイル難に見えるジェンヌさんの集団って…改めて凄いと思いました。

 

 

そして、思い出したのは、一昨年、花總まりさんと城田優さん主演の「エリザベート」を観に行った時のことです。宝塚以外の舞台にあまり興味はないのですが、宝塚ファンになった以上、12年間トップを務めた伝説の娘役、花總まりさんが現実に存在している姿を、一度は拝見しなければならぬと思ったのです。

 

観劇して、東宝版のエリザベートは、“暗い、地味、怖い”って思いました。きっと演劇ファンの目線で見れば、重厚で迫力ある舞台なのでしょう。でも、“明るく、華やかで、楽しい”宝塚を基準にするとそう感じました。

 

まずね。男性ダンサーさんの顔の大きさにビックリ。頭の大きさが、絶対ジェンヌさんの3倍はある!肩幅も広くゴツくて、身長も全然揃っていないし、だから、踊りも、“変身後の妖怪人間ベム”が蠢いているみたいで、ちょっと怖かったです。

 

また、トートを演じた城田優さんも、映像で見た時は、“人外の美しさ”と思ったのですが、そして確かにそうだったのですが、とにかくすべてがデカい。顔も大きいし、躰に厚みがある。だから、耽美にみえるはずのフリルやシースルーの衣装が、何だかプロレスラーのコスチェームのように見えて、やっぱりちょっと怖かったです。

 

改めて気付きました。

 

…宝塚ってショーがあるから出演者が多い。だから、例えば、舞踏会の場面などはぶあーって一気にドレスや燕尾の人が溢れて、まるで花が咲いたよう。本当に華やか。東宝版は人が少なくて寂しかったです。

 

そして、何より他と違うと思ったのは、太ったおじさんも、意地悪そうなおばあさんも、すべて若く美しい役者さんが演じていること。これって、全員女性ってこととともに、凄い特徴だと思いました。

 

今回の「うたかたの恋」も、紅ゆずるさんの父親役を十碧れいやさんが演じていました。自分より年下の人が自分の父親役を演ずるなんて、普通の配役では絶対ないですよね。リアルじゃない。そりゃ~口の悪い人は学芸会って言いますよね。でもだからこそ、明るくて美しい夢の世界なのだ…ってそう思い至りました。

 

 

 

静かに妄想

 

でね、突然思ったのです。タカラジェンヌさんの条件を未婚としているのは、良い悪いは別として理に適っている制度なのじゃないか、この仕組みがあるからこそ、新陳代謝が自然にはかれるのではないかって。

 

以前、ツアーの宣伝文句を見て…たぶん読売旅行だったと思うのですが、ちょっと嫌な感じがしたのです。“未婚の女性だけで構成されている世界でも珍しい劇団”って…。完全に色物扱いじゃないですか。

 

 

でも、確かに宝塚ファンになって、何故?って訊かれたら一番困るのが、この質問だと思うのです。

 

女性だけというのは、伝統や様式美で説明ができますが、結婚したからと言って、その人のスキルや能力がなんら変わる訳ではありません。現にOG公演にだってちゃんと男役さんがいます。

 

それを何とか説明しようとすると、恋愛感情だとか、夢とか憧れの存在だとか、一般人にますます引かれる返答になってしまうので、口ごもってしまうのです。

 

それに、もし万一誰かが、“結婚したけど退団はしない、不当解雇だ”と、訴訟を起こしたら、そしてそれを強制的に辞めさせたりしたら、劇団として凄いダメージですよね。

 

 

 

でも、この条件があるからこそ、美しい夢の世界が保てるのだと思いました。

 

ジェンヌの皆さんは、いつまでも居られるところではないと、自らそのタイミングを見極めて辞めていく。ファンの皆さんも、涙を流しながらも精一杯見送る。

 

もし、この条件がなかったら…

トップさんは、次の人にバトンを渡さなければならないし、激務なので、たぶん変化はない気がします。でも、一般のジェンヌさんの居方はずいぶん変わってくると思うのです。

 

恵まれた練習環境、安定した仕事。特に男役さんは、長年、色々なものを犠牲にして苦労して身につけた男役のスキルを、しかも退団後は全く役に立たないスキルを、わずか数年で捨てるなんて勿体ない、もっと極めたいと思うのではないでしょうか。

 

また、プロ野球のように、人気があろうが、体力が衰えたら戦力外と割り切れる世界ではない。逆に年齢とともに深まってくるものがあります。もし、この仕組みがなければ、組織の形態を根本的に変えないと、この美しい夢の世界は保てないだろうなあと思いました。

 

 

しかし…

それと同時に、未婚という仕組みが、新陳代謝を高めて“若くて美しいジェンヌさん”による夢の世界を維持させるためだとすると、

若くては醸し出せない役を演じるために存在する専科の皆さんに、同じ条件を強いる必要は全くないと思いました。

…でも、どこで線引きするか、この基準を決めるのがすごく難しい。だからずっと、このままなのだろうなあ。でも、専科の皆さんが、どんどん辞めちゃったらどうするのだろう…ってちょっと考えました。