木立ちが季語になっているのは夏と冬、夏は「夏木立ち」冬は「冬木立ち」です。それぞれに木の存在感があります。春は芽や若葉、秋は紅葉に目が行って木立ちそのものからちょっとずれますね。

 高浜虚子の句に「博奕舟しづかに繋(か)かる夏木立」があります。川岸の夏木立ちに博奕舟が繋がれている風景です。木陰を得て舟の中では賭場が開かれているのでしょうか。ちなみに、東京で「ホトトギス」が発行されるようになったとき、その発行所は賭場だった家でした。座敷に博奕の台を置いた跡があって、その跡に机を置いて編集作業をしたそうです。いい話(?)です。